さあライセンスをとろう
一昔前。まだバブルは膨らみ続けてて,セナが生きてて,世間のあちこちでモータースポーツの話題が活発に飛び交ってたころ。
当時,クルマ好きの間では「○○君はライセンスを持ってるらしい」「○○さんなんてA級ライセンス持ってるんだぜ」なんて会話がよくありました。芸能人でも,ちょっとクルマ好きのヤツは「実はA級ライセンス持ってるんです」なんて自慢してたりしましたよね。
しかし時代は変わり,若者もオッサンもクルマやレースに興味を抱かなくなりました。モータースポーツやってるなんていうと嫁さんやご近所からは変人扱い。競技ライセンスなんて持ってても何の自慢にもなりませんし,合コンで女の子に見せても軽くスルーされるでしょう(笑)。
それでも。
ライセンスは必要なんです。公式戦に出るためには。
さあ,練習会や初心者向け競技会を走ってジムカーナにはまってしまったアナタ。
ライセンスを取って,しっかり公式戦にデビューしましょう。
公式戦には,「これぞ正統派,これぞ本物のジムカーナ」という,公式戦にしかない独特の雰囲気があります。その分,プレッシャーや緊張感も強くなりますが,それを乗り越えて良い結果が出た際の満足感・喜びは公式戦でしか味わえないものです。ちゃんとしたトロフィー,JAFメダルなんかももらえますし,公式結果として記録に残ります。公式戦で勝つことこそ,ジムカーナ競技の究極の喜びではないでしょうか。もちろん腕によっては先々,地区戦や全日本戦など上のカテゴリーを目指していくことも可能です。
・・・・・・
ライセンスってどんなもの
ライセンスの本体はカード型で運転免許証などと同じサイズです。
表面には名前,生年月日,顔写真,ライセンス番号(JAF会員番号と同じ),ライセンスの種類などが記されています。裏面には免停の記録...なんてありません(笑)。自筆サイン欄と所属クラブのハンコを押す欄があるぐらいです。
↑おと−さんの実際のライセンス(国内B級) いつの顔写真使ってるねん!?
以前にも書いたとおり(→どんな大会があるの?)日本のモータースポーツを正式に統括しているのは日本自動車連盟(JAF)です。したがってモータースポーツに関する公式ライセンスもJAFから発行されるんですね。要するに,ライセンスをとるためにはまずJAFに入らないといけないってことなんです。
最近では自動車保険にロードサービスが付帯しているためJAFに入ってない人も結構いると思いますが,公式モータースポーツを楽しむためにはJAFに加盟しないといけません。これを機にJAFに入っておきましょう(ライセンス申請と同時に入会することができます→後述)。
ライセンスの種類には大きく分けて「国際」と「国内」があり,国内にはA級とB級があります。何台かで同時にスタートし抜きつ抜かれつで順位を争う狭義の「レース」には国内A級,基本的に1台ずつスタートしてタイムを競う「ラリー」や「タイムトライアル」は国内B級ライセンスが必要です。
ジムカーナはこの「タイムトライアル」に属する競技ですので,公式戦では国内B級ライセンス(以下Bライと略)が必要となります。ただこのBライさえ持っていれば,全日本の頂点に立つことも可能です。
国内A級ライセンス(以下Aライと略)の取得には,まずBライを取って,ジムカーナなどのタイムトライアル競技を1回でも完走することが必要となります。ただ必要とされるのは「完走」であって,「優勝」でも「入賞」でもないので,技術も経験も不要です。「Aライ講習会」ではAライを取るためだけのジムカーナ競技会がこっそり開かれますので,極端な話,ペーパードライバーに近い人でもAライは取れます。
ライセンスの格付けではAライ>Bライということになりますが,このように実際のドライバーの腕とは関係ないものですので,今年度中にレース競技に出るという予定でもない限り,ライセンスはB級で十分だと思います。
・・・・・・
B級ライセンスを取ろう!
Bライをとるには3つの方法があります。
@Bライ講習会に参加して申請する
Aライセンス不要の公式競技会に出て完走し,完走印をもらって申請する
B大きいモータースポーツクラブに入ってクラブ推薦を受ける
です。以下に1つずつ説明しますね。
まず@の「Bライ講習会に参加してJAFに申請する」方法です。おそらくこの方法が最もポピュラーと思われます(おとーさんもこの方法でライセンスを取ってます)。
この講習会は全国の色々な会場でしょっちゅう行われており,最寄の会場で受けられます(住所地の隣の都道府県でもOKです)。ディーラーのお店の一角で行われることもありますし,モータースポーツショップの片隅で開かれてることもあります。もちろんちゃんとした教室のような場所で開かれることもあります。
いつ,どこで行われるかは,JAFに入ると自動的に送ってくる「JAFメイト」の最後の方のページ(最後の通販ページの直前のお知らせページ)にひっそり載ってますが,JAF公式サイトの中のここを見る方が早いでしょう。
適当な講習会があったら,主催者に電話をかけ申し込みをしましょう。氏名や住所,JAFに入っているかどうかなどを伝え,費用や必要な物を確認しておきましょう。もしこの時点でまだJAFに入っていなかったら,当日JAFに入会申し込みをすることになりますので,その旨を伝えておきましょう。
後は実際に講習会に参加するだけです。
講習の内容は1時間半〜2時間ぐらいの座学のみです。試験はありません。
講習会の受講料は当日その場で払うケースが多いと思います。確か受講料と資料代で1万円数千円ほどしたように思います(額は必ず各自で確認して下さい)。その分,車両規則や競技規則のルールブック(表紙の色から赤本とかオレンジ本とか呼ばれるものです)などいろいろな資料一式をもらえます。
講習会に参加した後,各自でJAFにライセンスを申請するわけですが,講習会のその場で書類を書いて提出して終わり,という場合もあります(主催者によります)。このライセンスの申請には受講料とは別に3000円かかります。また当日JAFに入る人の場合は入会金2000円と年会費4000円の計6000円もかかります。
...ということで,この方法だと,短時間の講習を受けるだけでライセンスが手に入るわけですが,JAF入会と別に1〜2万円ほどのお金がかかるのが欠点です。
実際にライセンス不要の競技会に出ている人,出る予定のある人ならば,Aの方法の方がお勧めです。
これはミドル戦や県戦などの公式戦の中に設けられている「ライセンス不要の初心者クラス(クローズドクラス,クローズド競技)」に参加して「完走印」という証明書のようなものをもらって,それでライセンスをJAFに申請する方法です。
もちろん完走印をもらうためには,競技走行2本のうちどちらか1本でもミスコースせずに「完走」しないといけません。パイロンに触ったり脱輪したりの「ペナルティ」は大丈夫ですよ。別にビリでもいいんです。
この方法ですと,自分で競技に出て完走し,自分でJAFに申請しないといけないという手間はありますが,かかる費用の方は,競技のエントリー代(10000円ぐらい)とライセンスの申請代3000円だけ,@よりも若干お得です。もちろん新たにJAFに入る場合は,その費用はかかりますけどね。
またこの方法ですと,車両規定や競技規定のルールブック(赤本)が手に入りませんので,自分で地元のJAFに行って買うか,ネットでダウンロードする必要がありますね。
Bのクラブ推薦の方法は初心者の方にはあまりお勧めしません。
というのは,どのようなクラブに入るかというのは今後のモータースポーツ人生においてかなり重要な意味を持つからです。
右も左も分からない状態でいきなり大きいモータースポーツクラブに飛び込んでも,ジムカーナに関する十分な情報やサポートが得られるとは限りません。ライセンス推薦のためだけにクラブに入られるというのも,クラブの方からしても有難い話ではないでしょう。推薦を受けるためには,オフィシャル参加○回以上などの条件があったり,高い推薦料を払う必要がある,なんて話も聞いたことがあります。
初心者の方こそ,クラブは慎重に決めてほしいものです。ですから,初めてライセンスを取るという方は,@かAの方法をお勧めします。
Bライの取得方法についてはJAFの公式サイトにも説明があります(→ライセンスの取得方法)。こちらもご覧下さい。
・・・・・・
ライセンスを取ったら
さあ,あなたもいよいよライセンスホルダー。これで晴れて公式戦のライセンスありのクラスにエントリーすることができます。
しかしここで忘れてはいけないことがいくつかあります。
まず一つは,ライセンスには毎年「更新」の手続きが必要ということ。というかライセンスは毎年,その年の分が発行される形になるので,有効期限1年なんです。
で,この有効期限は毎年1月から12月まで,つまり毎年年末に期限が切れます。ですから全ての競技ライセンスは毎年,年末に更新することになるんです。JAFの会員証の期限は入会した日から起算されますし,運転免許証の更新は誕生月が基本ですよね。でも競技ライセンスは年末で更新なんです。
次に大事なことが「クラブへの所属」と「JMRCへの入会」です。
モータースポーツというのは自動車という非常にハイパワーで重量のある「機械」を使ったスポーツです。いくらジムカーナが安全とはいっても一定のリスクは伴います。そしてこのリスクは自分だけでなく,周囲の人をも巻き込むリスクです。
したがってモータースポーツを嗜む人間はみな,安全に最大限配慮し,きちんとしたルールに則って,スポーツマンとして,競技に参加しなければなりません。
しかしこういったルールや安全性への配慮というのは,一人で勝手に走っていたのではなかなか身につかないものです。そのためにJAFではライセンスを持っている人はみな「クラブ」に所属することを強く推奨しています(以前はクラブに所属していなければライセンスの更新を認められなかったのですが,現在はクラブ所属は強制ではありません)。
この「クラブ」というのも,峠仲間数人で勝手に名乗っているだけの○○チーム,とかいうのではなく,きちんと所定の手続きをしてJAFに登録された「JAF登録クラブ」です。全国に1000団体ほど存在し,大規模なものからメンバーが十数人ぐらいの小規模なものまでいろいろです(→JAFのクラブ検索ページ)。
そして,こういったJAF公認のモータースポーツクラブが各地区ごとに集まって形成しているのが「JAF登録クラブ地域協議会(JMRC)」です(→各JMRCへ)。
ジムカーナの公式戦というのは正式には,地区戦シリーズはJAFとJMRCのダブルタイトル(併催),ミドルや県戦シリーズはJAFではなくJMRCの主催です。
したがって,その地区のJMRCに入会していないと,ミドル戦や県戦で優勝・入賞しても「シリーズポイントがつかない」ということになります(エントリーはできますし,当日走ることも問題なくできます。ポイントがつかないだけです)。
で,このJMRCに入会しようと思うと,やはり「クラブ」に入ってないとダメなんですね(JMRCというのはその地域のJAF登録クラブの協議会ですからね)。
したがって,ライセンスをとって公式戦に出場し,シリーズポイントを積み重ねていくためにも「クラブ」と「JMRC」に入ることが必須になってくるわけです。
このクラブとJMRCへの入会については次の項でもう少し詳しく説明しますね。
今回のまとめ
・ジムカーナ公式戦には「これぞ本物のジムカーナ」という雰囲気があり,公式戦で勝つことこそジムカーナ競技の究極の喜び(だと思う)。
・公式戦に出るためにはJAF競技ライセンスが必要。
・ジムカーナ競技では,全日本戦であってもB級ライセンス(Bライ)でOK。
・競技ライセンスはJAFが発行するもの。ライセンスを受けるためには「必ず」JAFに入会しないといけない。入会は随時可能。
・Bライを取る方法@はBライ講習会を受けること。
・Bライを取る方法Aは実際に公式戦のライセンス不要(クローズド)クラスに出て,1本でもいいからミスコースせず完走し「完走印」を受けること(ビリでもOK)。
・ライセンスには1年間の有効期限があり,毎年年末に更新が必要。
・実際に公式戦でジムカーナを戦っていくためには,ライセンスだけでなく,「クラブに所属すること」と「その地域のJMRCに入会すること」が必要になる。
・クラブやJMRCに入らなくても競技には出られるが,シリーズポイントがつかないし,競技の楽しさも半減する。
Updated on Jan 9, 2012.