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他の競技との比較

ジムカーナがどんなモータースポーツかちょっと分かったところで,ジムカーナ以外の各カテゴリーについて見てみましょう。


まず,一番分かりやすい,誰でも知ってるカテゴリーが「レース」ですよね。

これは,サーキットで,何台かがヨーイ・ドンで同時にスタートして決められた周数を走り,ゴールラインを通過した順位で結果が決まるものです。これの最高峰が誰でも知ってるF1とかGTシリーズですな。

林道や狭い峠道などの一般道を貸し切って,1台ずつ決められたルールに沿って走り,そのタイムや走りの正確さなどで順位をつけるのが「ラリー」。これの最高峰がご存知WRCです。

ランエボやインプレッサなどそこいらで普通に見かけるクルマが,狭い峠道をとんでもないスピードのフルドリフトで駆け抜けて行く迫力は,そりゃもう,他では絶対に見られないものです。助手席に「ナビゲーター」を乗せて,共同作業で走るのも他にはない点です。

非舗装のダート路面でもってジムカーナと同じような1台ずつのタイムトライアルをするのが「ダートトライアル」略して「ダートラ」。ラリーと同じように土煙を上げながらの豪快なフルドリフト走行が魅力の競技です。

レースと同じようにサーキットを何台かで一緒に走りますが,抜きつ抜かれつで順位を競うのではなく,レースの予選のように,各車,1周のラップタイムを競って順位をつける競技が「サーキットトライアル」です。略して「サートラ」とか...言いませんか,そうですか。

サーキットや広い駐車場の特設コースでもって派手なドリフトをかまし,進入速度(スピードガン計測)やドリフトの姿勢・角度・ラインなどを総合して審査員が「採点」する競技が「ドリフト」です。純粋にタイムを競う競技ではないのでモータースポーツに含めるのかどうか議論のあるところですが,最近人気の競技です。


ジムカーナ以外にもいろいろ面白そうな,カッコいいモータースポーツがあるんですね。いやもちろん,どんなカテゴリーに参加するのもあなたの自由ですよ。


でも,

「大人にはいろいろ制約がある」

そうでしたよね?

前のページにも書きましたが,思慮も分別もある大人のあなたがモータースポーツを始めるとなると,いろいろな制約が問題になってきます。


まず,わざわざ競技のためにクルマを別に用意することができない。

クルマの購入資金の問題だけでなく,マンション住まいとか都心に住んでるとかだと,2台分の駐車場を確保するだけで相当な経済的負担になります。あなたが参加するのが「レース」であれば,そのクルマは完全に競技専用となって公道を走行できませんから(ナンバーなし),あなたの家族から見れば非常に無駄な出費です。

ラリーやダートラに出るのであっても,競技車として仕上げた時点でかなり特殊な(笑)クルマになりますから(ロールバー必須),そのクルマを街乗りで普通に使用するのはちょっと難アリとなります。少なくとも家族はきっと乗るのを嫌がります。

その点,ジムカーナの入門イベントであれば,家族を普段乗せるクルマでも使えます。クルマによってはほとんど改造の手を入れないでも十分,戦力になりますから。


お小遣いやヘソクリの範囲内でしかお金をかけられない。

レースにはケタ違いのお金がかかることはみなさんよくご存知の通りです。よほど経済的に余裕があるか,何らかのスポンサーでもついていない限り,初心者が,いきなりレースのカテゴリーに飛び込むのは不可能です。クルマを作るのにもちょっと練習走行をするのにも,全て結構な額のお金がかかりますし,ちょっとしたクラッシュでそれら全てが水の泡となります。

最近はパーティーレースのように「お金がかからない」のがウリのレースもありますが,それでも本気で入れ込むと結果的には結構な額のお金がかかってしまうのが現実のようです。

ラリーも,レースほどではないにせよ,何だかんだでお金がかかるそうです。クルマを作ってしまった後でも,ランニングコストに結構かかってしまうとか。初心者のうちは,よくクルマ壊すでしょうしね。

ジムカーナも本格的にやるともちろんお金かかりますが,それでも他のカテゴリーと比べてかなり安い資金で始められますし,ランニングコストも割安。


クルマが壊れたり,自分がケガをしたり,まさか死んだりしないよね。

レースやドリフトではクラッシュは日常茶飯事,ですよね。ラリーやダートラではクルマがひっくり返ったり,路肩に落ちたりが日常(?)です。サーキットトライアルでは,直接バトルをするわけではありませんが,他のクルマと混走してますし,スピードレンジが高いですから,常にクラッシュのリスクはあります。

もちろん,ちゃんと安全装備をしていれば死亡事故までは滅多に起こりませんが,クラッシュすればケガやムチウチぐらいは当然起こります。

ジムカーナでもクルマがひっくり返ったりクラッシュすることはありますが(体験者談),他のカテゴリーと比べて,クルマは壊れにくく,最も安全性が高い競技です。何せ実際の走行時間が短いですし,平均速度も低い目ですから。


仕事忙しいし,たまに休日出勤もあるし,家族との時間も犠牲にはできないし。

どんなカテゴリーのスポーツでも,練習時間は非常に大事です。ところが,特殊なクルマで特殊な状況を走るカテゴリーほど練習はしにくくなります。

その点,ジムカーナは最も普通に近いクルマで最も普通の路面状況を走りますから,最も練習がしやすいカテゴリーということになります。

実際,普通に通勤の行き帰りに運転してるだけでも基礎練習はいくらでもできます。ちゃんとサイドターンの練習なんかをしたくなったら,練習会へGO! ジムカーナだったら練習会もあちこちで開かれてますし,平日や土曜日にやってる練習会もあります。

あとは,いかに家族の理解を得るか,です(汗)。


初心者なんで,あんまり遅かったら,カッコ悪い以前に危なくね?

レースやサーキットトライアル,ドリフトの練習会など何台かで一緒に走る場合は,1台だけ遅いクルマが混じってると,全体のペースが乱れてキケンということがあり得ます。初心者の人が最初にクルマの流れに入る時はかなり注意が必要です。

ラリーやダートラでは,初心者が最初から無理をすると,走行そのものが危険です。たぶん,落ちたり刺さったりして大ケガします。

ジムカーナでは,いくら遅くても誰にも迷惑はかかりませんし,遅ければ遅いほど安全です(笑)。もちろん遅くてカッコ良いということはありませんけどね。

でも,ジムカーナは競技人口が多く,競技者の平均年齢は高いわりに初心者もいっぱいいますから,誰も笑ったりする人はいませんよ。


年寄りだしぃ,若い子ばっかりの中で走って遅かったらあまりに情けねぇ。

きちんとライセンスをとって競技をするカテゴリーほど,参加者の平均年齢が高い傾向にあります(笑)。

レース界はまだ比較的年齢が若いように感じますが,ジムカーナ,ダートラ,ラリーなどの世界では40歳台を超えている人達がごくフツーです。還暦を迎えてもがんがん走ってる全日本ドライバーもいますし,20歳台の若者はむしろ少数派になりつつあります。

反対に,参加者の平均年齢が低いのはドリフトでしょうか。もちろん中には時々結構な年齢のおっちゃんも混じってますが(笑),何故かドリフトの人はみな若く見えます。

地方の草ジムカーナのパドックではみな「腰が痛ぇ」「膝が痛ぇ」とか言いながら日向ぼっこしてますし,昼休みには糖尿の薬のんだり血圧の薬のんだりしてるヤツもいて,さながら年寄りのゲートボール大会のようです(笑)。ジムカーナは年齢に関係なく初心者大歓迎ですぞよ。



・・・・・・

どうでしょう。
ジムカーナだったら,様々な「大人の制約」をクリアできることがお分かりいただけますか。

さてもう一度,モータースポーツの各カテゴリーと,仕事も家庭も思慮も分別もある大人が初心者として入門する際の利点/難点を表にしてみました。思いつく限りの様々な要素を書いて見ましたのでご笑覧下さい。

ジムカーナ レース ラリー ダートラ サートラ ドリフト
家族を乗せる車でも参加できる×
とりあえず車種を選ばない×
準備にお金がかからない×××
ランニングコストがかからない××
クラッシュ/転倒の危険なし××××
大ケガ/死亡事故の心配なし××
とりあえずライセンスが不要×
体力がなくても始められる×××
練習がやりやすい/練習会多い×
一人でコツコツできる××
ルールが分かりやすい×
家族を応援に呼びやすい×
競技者の平均年齢が高い×
派手で華々しい雰囲気がある×
見ていてすごい豪快だぁ!

※どういう基準で○×つけとんねん!とか怒らないでね(汗)。あくまで「大人の入門者」を念頭においた個人的な評価です。異論はあると思いますがどうかご容赦を。


さあ,この表を元に◎:3点,○:2点,△:1点,×:0点として合計点を計算すると,

1位→ジムカーナ君:32点
2位→サーキットトライアル君:27点
3位→ドリフト君:26点
4位→ダートラ君:17点
5位→ラリー君:13点
6位→レース君:11点

ということで,ドリフトやサーキットトライアルの猛追を振り切って,やはり大人が一番入門しやすいモータースポーツは「ジムカーナ」ということになりますね。




今回のまとめ

・「レース」はカッコいいけど,お金がすごくかかるのと色々リスクがあるのが難。
・「ラリー」もカッコいいけど,いきなり始めるにはちょっとリスク高過ぎ。
・「ダートラ」は豪快な競技だけど,その分,若干リスクとコストが高くなる。
・「サーキットトライアル」も大人が始めるのに良い競技だけど,ジムカーナに比べると若干リスクやコストが高くなる。
・「ドリフト」も派手でカッコイイ競技だけど,いい歳した大人が一から始めるのはいろいろちょっと厳しい。
・結局大人が一から始めるには「ジムカーナ」が一番!



Updated on Jan 7, 2012.

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