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クラブに入ろう

愛車をバッチリ競技車として仕上げ,しっかり練習会を走って腕を磨き,公式戦のクローズドクラスに出てB級ライセンスもゲット!

もうあなたは立派な大人のジムカーナドライバーです。いよいよ公式戦のライセンスありのクラスにエントリーしましょうか。

しかし,ちょっと待たれい!

公式戦でハイレベルなライバル達としのぎを削る前に,もう一つだけ,やらないといけないことがあるんです。

それは前項の「さあライセンスをとろう」でも書いた「クラブへ入る」ことです。
ちゃんとJAFに登録されたモータースポーツクラブですよ。


以下,前項に書いたことをもう一度ここに記載しておきます。

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モータースポーツというのは自動車という非常にハイパワーで重量のある「機械」を使ったスポーツです。いくらジムカーナが安全とはいっても一定のリスクは伴います。そしてこのリスクは自分だけでなく,周囲の人をも巻き込むリスクです。

したがってモータースポーツを嗜む人間はみな,安全に最大限配慮し,きちんとしたルールに則って,スポーツマンとして,競技に参加しなければなりません。

しかしこういったルールや安全性への配慮というのは,一人で勝手に走っていたのではなかなか身につかないものです。そのためにJAFではライセンスを持っている人はみな「クラブ」に所属することを強く推奨しています(以前はクラブに所属していなければライセンスの更新を認められなかったのですが,現在はクラブ所属は強制ではありません)。

この「クラブ」というのも,峠仲間数人で勝手に名乗っているだけの○○チーム,とかいうのではなく,きちんと所定の手続きをしてJAFに登録された「JAF登録クラブ」です。全国に1000団体ほど存在し,大規模なものからメンバーが十数人ぐらいの小規模なものまでいろいろです(→JAFのクラブ検索ページ)。


そして,こういったJAF公認のモータースポーツクラブが各地区ごとに集まって形成しているのが「JAF登録クラブ地域協議会(JMRC)」です(→各JMRCへ)。

ジムカーナの公式戦というのは正式には,地区戦シリーズはJAFとJMRCのダブルタイトル(併催),ミドルや県戦シリーズはJAFではなくJMRCの主催です。

したがって,その地区のJMRCに入会していないと,ミドル戦や県戦で優勝・入賞しても「シリーズポイントがつかない」ということになります(エントリーはできますし,当日走ることも問題なくできます。ポイントがつかないだけです)。


で,このJMRCに入会しようと思うと,やはり「クラブ」に入ってないとダメなんですね(JMRCというのはその地域のJAF登録クラブの協議会ですからね)。

したがって,ライセンスをとって公式戦に出場し,シリーズポイントを積み重ねていくためにも「クラブ」と「JMRC」に入ることが必須になってくるわけです。


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どんなクラブに入ったらいいの?

では,大人のジムカーナ初心者はどんなクラブに入るのがいいのか?

やはり大規模な「公認クラブ」や「加盟クラブ」がいいのか,それとも比較的少人数でアットホームな「準加盟クラブ」がいいのか?(→クラブの区分概要はこちら

ただ単にその地区のシリーズポイントが欲しいだけであれば大規模なクラブにこっそり幽霊クラブ員として在籍していてもいいわけですが,一緒に走る仲間が欲しいとか,クルマ作りに関する細かい情報を欲しい,誰かに走行ビデオを撮って欲しい...そういうイロイロ贅沢な希望(笑)があるのであれば,やはりアットホームなクラブの方が融通が利きます。しかしあまりに少人数過ぎて,クラブ代表の人以外の他のクラブ員に会ったことがない,っていうのも寂しいですよね。


以下に2つほどクラブ選びで失敗...いや苦労した方の例を挙げて見ましょう。

1.ジムカーナ初心者Yクンの例:

峠で事故ったのをキッカケに「もう峠は卒業してジムカーナやろう」と決心した27歳のYクン。とりあえずジムカーナで使えそうなクルマを手に入れ,講習会でライセンスもゲット。何せ右も左も分からない状態ですから,「初心者中心です」という小規模な準加盟クラブに入ることにしました。

入ってみると確かにクラブ員はみな初心者。しかも社会人になり立ての若い人ばかりで年齢もYクンが最年長。クラブ員はみなもともとお友達同士というアットホームな雰囲気でホッと安心はしたものの,いささか不安も感じます。

春になりシリーズ戦が始まります。

最初の2-3戦まではみんなでワイワイ仲良くエントリーしていたのですが,夏になる前にYクン以外のクラブ員は資金難からエントリーできなくなってしまい,夏ごろからYクンは毎戦一人ぼっちで走ることになってしまいました。

みんな若くてお金がないんで一気にローンを組んでクルマの改造をしてたんですね。でもそれじゃあタイヤ代とか消耗品費が苦しくなって,走るお金がなくなるはずです。

自分の走りをビデオで撮ってもらっていろいろ研究したいと思っても,撮ってくれる人がいなければ不可能。クラブでビデオカメラを買うということで5000円ほど徴収されたんですが,全く意味がありません。

しかもその状況についてクラブ代表の子に苦情を言うと「走りたくても走れない人間の気持ちを考えろ! いい年したオッサンのクセに自分勝手なことを言うな!」と激しく逆ギレされる始末...

せっかく意気込んで始めたジムカーナですが,こういうことがあってすっかり嫌気がさしてしまいました。1年走って思ったほど成績も伸びず,ちょうど彼女と結婚話が出たのをキッカケに引退を決めてしまいました。

2.ジムカーナ中級者Oクンの例:

ある地区のミドル戦では時々入賞者に名を連ねる中級ジムカーナドライバーOクン,転勤で遠く離れた別の地区に引越しすることになりました。

ジムカーナは続けるつもりでしたが,何せ全く知らない土地ですので,メンテナンスショップも所属クラブも一から探さないといけません。ネットであれこれ検索していると,ある元全日本選手がやっているショップが職場の比較的近くにあることが分かり,そこにクルマを持ち込むと同時に,そのショップの主催する加盟クラブに所属させてもらうことにしました。

しかしこのショップのオーナーでありクラブ会長でもある元全日本選手がいろいろとやっかいな人物であることが,クラブに入ってから徐々に分かってきました。

クラブ会長直々にOクンの運転に対していろいろアドバイスしてくれるのはいいのですが,言うことが時により気分により異なり,明らかに矛盾してることもあり。またクルマについてもパーツメーカーにこだわりがあり,ここのパーツはダメ,ここのタイヤでは絶対勝てないなど,結構ダメ出しを食らいます。

最初はこの人の言うことを素直に聞いていたOクンですが,言うことを聞けば聞くほど振り回されてしまって自分の走りが分からなくなってきました。パーツやセッティングも変更を重ねてワケが分からなくなってきます。

また気に入らないことがあると烈火のごとく怒り出し相手を完膚なきまでにやっつけてしまうため,クラブ員はみなビクビクしており,明らかに間違った発言でも,誰も異議を唱えることができない状態でした。

そんな時,このクラブがある競技会の主催をすることがあり,当然Oクンにもオフィシャルとして参加するように命令が下りました。しかしこの日はたまたま職場の重要なイベントに重なっておりどうしても出勤しないといけない日。

仕方なくショップに出向きオーナーにその旨を伝えますが...たまたま御機嫌の悪い日だったらしく「大した仕事もしていないくせに」「そんな中途半端な気持ちだからいつまでたっても勝てないんだ」「お前がクラブにいると迷惑だ」などボロクソに怒られてしまいました。

あまりの理不尽さに泣きそうになりながら帰り,もう金輪際あのショップには行くまいと決心,別のクラブに入り直しますが...狭い世界ですからどこに行っても件のクラブ会長の姿が目に入ります。また周囲のクラブ員とも何となく気まずい雰囲気になってしまい,結局この地区のシリーズ戦に出るのを諦め,はるか遠く,隣の地区のシリーズ戦に出ることにしました。


以前「ショップに行こう」で書きましたが,「どんなショップが良いのか?」というのと「どんなクラブが良いのか?」という問いに対する答えはいずれも「あなたがそのショップ/クラブに何を求めているかによる」ということです。

これからジムカーナを始めようという初心者の方であれば,走りについてもクルマ作りにおいても指導的な役割を果たしてくれる「しっかりした先輩」が必要です。できればあなたと同じクルマに乗って競技をしている,あるいは似たようなクルマで競技経験のある先輩がいるクラブであれば最高です。

逆にある程度経験があって一人でも走れる中級者の人であれば,あまりうるさい「指導者」に束縛されるより,同じぐらいのレベルの人たちで競り合いながら速くなっていける自由なクラブの方がいいかもしれませんね。

クラブの規模は,小さければアットホーム,大きければ事務的,っていうこともありません。大規模でもクラブ員同士の交流が盛んなクラブはありますし,小規模でもクラブとしての最低限の事務的機能しか持たないクラブもあります。このへんは実際にクラブ員やクラブの代表/会長に会って話を聞いてみないと分かりません。


練習会や競技会を頻繁に主催しているクラブに参加すると,自分も走る機会は増えますし,オフィシャルをやるのも非常に勉強になります。しかしクラブによってはオフィシャルのデューティーがあったりしますし,仕事が忙しいからって自分は走るばっかりでオフィシャルを全然やらなかったら,そりゃまずいですよね(汗)。ですからその辺りもそのクラブのクラブ員に実情を聞いてみないといけません。


また,クラブに入る際に必ず確認しておくべきことはクラブの会長・代表などトップの人のキャラです(笑)。上の例はちょっと極端ですが,クラブのトップが,いかに華々しい経歴の持ち主であってもキャラ的にエキセントリックな人だと,やはりクラブ員はしんどい思いをします。

クラブの事務局がきちんと機能しているかどうかも重要なチェックポイントです。最近はクラブ印がなくても公式戦にエントリーできるようになりましたが,以前はエントリー用紙にいちいちクラブのハンコを押してもらわないといけなかったため,クラブ事務局の動きが悪いと毎戦ハラハラしないといけなかったようです。またクラブ事務局がJMRC登録の更新を怠っていて開幕戦のポイントがつかなかった,なんて悲惨な話も聞いたことがあります。


これらのことを総合すると...

・webなどで情報が公開されていて,活動内容が分かりやすい
・会長/代表が人間的にエキセントリックでない普通の人である(笑)
・クラブ員が練習会等に活発に参加していて,活動内容について質問しやすい
・初心者からベテランまでそろっていて,クラブ員の構成にあまり偏りがない
・クラブ員がいろいろな駆動方式のクルマに乗っていて,自分と同じか似たクルマに乗って競技をしている先輩がいる

こういうクラブが初心者の方にはお勧めということになりますね。


お前のところのクラブはどうなんだって?

ええ,今ちゃんとクラブのサイトを作り直してるところですよ。代表のキャラがエキセントリックかどうかは...自分では分かりませんが(笑)。




今回のまとめ

・ジムカーナ公式戦でシリーズポイントを獲得するためにはきちんとJAF登録されたモータースポーツクラブに所属し,JMRCという組織に入会する必要がある。
・クラブには大規模なものから小規模・少人数のものまでいろいろある。
・クラブ選びに失敗すると結構ひどい目に遭うこともある。慎重に,慎重に。
・クラブ選びに際してはクラブの活動内容をちゃんと確認すること。情報が公開されておらず活動内容がよく分からないようなクラブはパス。
・初心者からベテランまでそろっていてクラブ員の構成にあまり偏りがないクラブが望ましい。初心者ばかりというクラブは避けた方が良いかも。
・初心者にとっては自分と同じクルマに乗ってる先輩がいることも重要。
・もう一つ大事なことはクラブ会長/代表などトップの人のキャラ。トップがエキセントリックな人だと当然ながらクラブ員は苦労する。



Updated on Jan 9, 2012.

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