home > お買物車でモータースポーツ! > 低コストでいこう!

低コストでいこう!

今度はさらに現実的なお金の話です。お買物車でジムカーナのラジアルタイヤのクラスに参加するのにかかるコストと,他のクラスに他の車種で参加する場合のコストを,具体的な例をあげて比べてみましょう。


※ジムカーナ競技車両の具体的な仕上げ方については「大人のためのジムカーナ入門」の中の「クルマのステップアップ」も参照して下さいね ( '-^*)


まず最初に比較のためインテグラ・タイプR(DC2,96〜97年式)を中古で買って競技車に仕上げジムカーナN2クラスに出るケースを考えて見ましょう。


まずクルマ本体ですが,15年以上前の中古なので安いものは30万円ぐらいからありますが,買いませんよね,そこまで安いタマは(笑)。修復歴なし,怪しげなストリートチューンもなしの程度極上ものは結局70-80万円(走行の少ない98スペックだと100万円超!)します。

・車両本体価格:75万円
・自動車保険差額,諸経費など:+20万円ぐらい?

とりあえず合計95万でクルマをゲットしました,としましょう。

さあ,インテグラ・タイプRですよ。メーカー純正のレースカー,世界最強のFF車と言われているクルマです。このままで十分ジムカーナで戦えるはず...なんですが,N2クラスではライバルみんなこのクルマをさらにチューンしているので,やはり周囲と同じレベルまで仕上げて行かないとなかなか勝てないんです。


まず,ジムカーナをするために最初に必要になる装備は前後のブレーキパッド/シュー,車高調サスというところでしょうか。

・ブレーキパッド/シュー:2.1+2.5=4.7万円(RIGID)
・車高調サス:25.4万円(スーパーオーリンズ)
・直巻バネ:1.9+1.8=3.7万円(swift,購入は通販)

工賃は7-8万円というところでしょうか。でもこれくらいなら自分で作業できるという人もいるかもしれませんね。そして次にバケットシート,4点式ベルトと,いよいよタイヤ+ホイールをそろえます(タイヤとホイールは通販の参考価格です)。タイヤはもちろんSタイヤです。

・バケットシート+シートレール:2.1+2.1=4.2万円(naniwaya original)
・4点式ベルト:3.8万円(TAKATA,購入は通販)
・タイヤ:3.0×2+1.9×2=9.8万円(BS RE55S 225/45-16,195/55-15,通販)
・ホイール:4.0×2+3.4×2=14.8万円(RAYS CE28N 16-8J,15-6J,通販)

シートベルトの左サイドのボルトは床に穴あけ加工が必要になりますし,持ち込みタイヤの組み込み工賃も要るでしょう。合計工賃2万円ってとこでしょうか。

そして競技会に出て勝負をしようと思うとここにLSDが必要になります。純正でもLSDは入っていますが効きが弱い上にたいていヘロヘロにへたってます。競技をするためには間違いなく機械式のLSDが必要です。

・LSD:11.9万円(CUSCO RS)

こいつの組み込み工賃は高いです。ミッションの脱着が必要になるからです。たぶんミッションオイル込みで6-7万円になるでしょうか。

さあ,ここまでで既に

・合計:78.3万円
・工賃込み合計:約96万円

かかってます。


しかしホイールはこれだけで済みません。タイヤもたいてい街乗り用と本番用でタイヤを履き換えますのでタイヤ+ホイールはもう1セット要ります。欲を言えば,ウェットの本番用にフロントだけもう1セット要ります(純正ホイールを使います)。

・タイヤ:3.0×2+1.9×4=13.6万円(BS RE55S 225/45-16,195/55-15,通販)
・ホイール:4.0×2+3.4×2=14.8万円(RAYS CE28N 16-8J,15-6J,通販)


まだまだこれだけではありません。ライバルはみなクラッチ関係,フライホイール,ファイナル,ブッシュ,マウント,軽量バッテリーなどいろいろなところに手を加えています。

・クラッチディスク+カバー:5.5万円(CUSCO カッパーシングルセット)
・フライホイール:5.1万円(CUSCO 軽量クロモリ)
・98ファイナル:0.8万円(HONDA純正部品,98スペック以降は不要)
・ブッシュセット:10.5万円(無限)
・マウントセット:3.9万円(無限)
・2輪用軽量バッテリーセット:1.9万円(RIGID)

合計で約28万円,工賃を入れると40万円コースです。


さあ,これでやっとパーツ関係は終了ですが...ここまでで合計,

・合計:約135万円
・工賃込み合計:約170万円

かかってます。でも,これでもあくまで標準的なスペックです。


しかしまだまだ終わりません。勝つことを考えると,走行が10万kmを超えてるクルマはエンジンのオーバーホールも必須になります(約50万円)...ボディもできればスポット増しで補強入れたい(約50万円)...規定ギリギリまで軽量化するためにはエアコンも外してしまいましょう(工賃のみ)...

もう,合計金額を計算するのが怖いぐらいですね(汗)。
というか夏はどうするんでしょう(滝汗)。


さらにSタイヤで1シーズン戦うとすると,年間8戦としてフロントタイヤは3セット以上欲しいところです。リアは1セットでいけるかもしれませんが,やはり2セット欲しいところですね。これだけで...25万円ぐらいになります。



カッコいいクルマなんですが...勝とうと思うとお金かかります(泣)


結局,中古でクルマを買ってN2クラスの標準的な仕様にするだけで360万円ぐらい,ランニングコストもタイヤ代だけで年間25万円は超します。またスポーツ車は車両保険がバカ高いことも忘れてはいけません。決してエコ減税とかもありませんし(笑)。

何年もかけてコツコツやっていくとしても,世のおとーさんのお小遣いで何とかなる範囲を逸脱してますよね。独身の人か,お金持ちか,よほど家族がおとーさんの趣味に理解がない限り,なかなかできることではありません。

しかも出来上がったクルマはとんでもないスパルタンなクルマになってます。まあ好き者のオッサンなら通勤にぐらいは使えますが,間違いなく家族は乗るのをイヤがるでしょうし,エアコンまで外してしまうと夏は日常用途にはまず使えません。


・・・・・・


これに対してジムカーナS1500(スーパー1500)クラスに参加すべくMAZDA「デミオ」の1500ccで安いグレード「15C」を買って最初からクルマを作った場合です。

・車両本体価格:133.5万円
・オプションと値引きを相殺して:+10万円ぐらい?

ま,とりあえず145万円でクルマを新車で購入しました(下取りなし),としましょう。中古車だとおそらく100万円以下で手に入ります。


ジムカーナをするためにまず最初に必要になる装備は前後のブレーキパッド/シュー,車高調サスあたりでしたよね。


・ブレーキパッド/シュー:2.1+2.1=4.2万円(RIGID)
・車高調サスキット:31.5万円(S-Ohlins α-spec 純正マウントレスキット)


工賃はインテグラと同じく7-8万円というところでしょうか。そして次にバケットシート,4点式ベルトと,タイヤ+ホイールをそろえます(タイヤとホイールは通販の参考価格です)。

・バケットシート+シートレール:2.1+2.1=4.2万円(naniwaya original)
・4点式ベルト:3.8万円(TAKATA,購入は通販)
・タイヤ:1.2×4=4.8万円(DL Z1☆spec 195/50-15,通販)
・ホイール:3.0×2+2.9×2=11.8万円(SSR typcC 15-7J,15-6J,通販)

やはりシートベルトの左サイドのボルトは床に穴あけ加工が必要,持ち込みタイヤの組み込み工賃を合わせて合計工賃2万円ってとこでしょう。


そしてやはり競技会に出て勝負をしようと思うとここにLSDが必要になります。

・LSD:11.9万円(CUSCO α-spec)

こいつの組み込み工賃はインテグラと同じくミッションの脱着が必要になるためミッションオイル込みで6-7万円になるでしょう。


ここまでで

・合計:72.2万円
・工賃込み合計:約88万円

ということになります。ここまではインテグラとそんなに変わらないですね。ちょっと安いかなというぐらい。ただ,クラッチは交換可能ですがノーマルでも何とかなりまし,ファイナルやフライホイールはS1500やPN1といったコンパクトカーのクラスでは交換不可です。つまりもうこれだけで競技車両としてほぼ完成です。

S1500クラスではエンジンマウントやブッシュ類を換えても良いのですが,このへんは勝つために絶対必要というわけではなく,ドライバーのお好み次第です。換えても大した額にはなりません。

さらに,バケットやシートベルトなどは以前の競技車から引き継ぐという人も多いでしょうし,ホイールはオークションなどでもっと安く中古品が手に入ります。工賃もLSDの取り付けなどはショップに依頼するにしても,それ以外はなんとか自分でやりますという人もいるでしょう。競技経験者ならおそらく工賃込みで合計60-70万円ぐらいには圧縮できると思います。



自分で作業すればある程度工賃は軽減できます


60-70万円ってメチャクチャ高いやんか! と言う人もいるかもしれません。

でもね,先のインテグラの場合と比べて下さい。全然安いですよね。インテグラのN2車両だと,標準仕様でも改造だけで200万円から300万円ぐらいかかってます。


また,S1500やPN1といったコンパクトカークラスの良いところは,ここからの追加費用やランニングコストがあまりかからないことなんです。クルマが出来あがってしまえば,そのままで1年ぐらいタイヤももちます。クルマもほとんど壊れませんし,必要なのはオイルやフルード類の交換ぐらいでしょうか。

それに自動車保険,自動車税,車検時の重量税,普段のガソリン代など全てがお得で(元々の燃費が良い上,レギュラー仕様ですから),維持費が安いというのも,お買い物車ならではの長所です。


また,一気にクルマを作ってしまわなくても,1〜2年かけて何ステップかに分けて少しずつ競技車に仕上げて行ってもOKです。私のデミ助も現在の標準仕様になるまで1年以上かけてゆっくりゆっくり仕上げてます(お小遣いでやってますからね...)。


...ということでS1500やPN1といったコンパクトカークラスの場合,クルマを新車で買って新規参戦するとしても,1年目のシーズンでかかる費用は車両価格+100万円程度,安いグレードを買って総額で240-250万円ってところです。中古車を90-100万円ぐらいで手に入れた場合は200万円かからずに全日本でも戦える本格的な競技車両が仕上がります。


・・・・・・


さて次はランエボを買って...いやもう比べるべくもないですよね。

最初からクルマの値段が全然違いますから。デミオが2台買えちゃいます。



右デミオ,左エボX どっちもワルそうな面構えしてますけどね(笑)お値段が全然違います


以上,S1500やPN1といったコンパクトカークラスがどれほどお財布に優しいかよく分かってもらえたと思います。これぐらいなら,何とか世のおとーさんのお小遣いの範囲内でもぼちぼちやって行けますよね。


これからモータースポーツを始めてみたいけど,クルマを買うのが精一杯でなかなかクルマの改造まで手が回らないというアナタ。

現在他のクルマ・他のクラスで競技をやっているけど,いい加減タイヤ代や維持費の高さにうんざりしてるアナタ。

さあ,あなたもお買い物車でエコノミーに(笑)走りませんか?



お買物車と侮るなかれ。S1500車両になった時点の運動性能は,色んな
スポーツ車を乗り継いできた競技ドライバーをも唸らせるものがある。


※ここにあげてある価格は参考価格です。実際の車両作成や競技参加にあたっては,必ず行きつけのショップや通販サイト,オークション等と(笑)相談しながら行って下さい。


※競技規則や車両規定は時々変更があります。実際の車両作成や競技参加にあたっては,必ず自分の地区のJMRCのサイトなどから当該年度の競技規則と車両規定をご確認下さい。




今回のまとめ

  • もともとクルマ本体が安いお買物車ならば,新車から全日本で勝てる仕様のクルマを作ってもあまりコストはかからない。
  • これらのクルマは燃費も良いしレギュラー仕様。税金や保険関係などの維持費もかなり安く済む。
  • さらに改造範囲が制限されているので他のクラスのような過度の改造競争にならない。クルマが小さいためパーツ代や工賃も割安。
  • タイヤやホイールもサイズが小さく,そして何よりSタイヤを使わないことでランニングコストが段違いに安く済む。
  • 結果的に他のクラスよりもずっと安い資金で,たっぷり競技を楽しむことができる。初心者にも経験者にもうれしいクラス設定。



Updated on Jan 11, 2012.

前のパイロンへ前のパイロン | PAGE TOPへPAGE TOP | 次のパイロンへ次のパイロン