home > お買物車でモータースポーツ! > B車両について

B車両について

ここまでモータースポーツ入門に最適な「お買物車でスポーツラジアルを使うクラス(S1500とPN1クラス)」についてご紹介してきましたが,最近になって各地のジムカーナ初心者向けのクラスが「B車両」で走るような規則に変わってきています。ここでこのB車両についても詳しく説明しておきます。


B車両というのはナンバー付きの競技車両の中では最も改造範囲の広い車両規定で,とにかく陸運の車検に通る,保安基準を満たしている状態でさえあれば,基本的に何でもアリです。エンジン内部に手を入れようが,でっかいターボをつけようが,ブレーキをキャリパーごと交換しようが,カーボンパーツをふんだんに使って大幅軽量化しようが,リアシートがなくなっていようが,その状態で車検にさえ通っていればOKです。JAF登録も関係ありません。


B車両とN車両,S1500車両,PN車両の関係付けを整理するためにもう一度この図を見てください。B車両が最も改造範囲が広い,大きな枠組みになり,その中にN車両という比較的制限の厳しいクラスがあり,その中でさらにいくつか制限を設けて「お買物車クラス」にしたのがS1500車両。PN車両は,N車両とはまた別に設けられたさらに制限の厳しいクラスです。


「何でもアリ」とはいえ,図の中に書いている通り,気をつけておかないと「走行不可」という判断を食らう恐れがある項目もあります。以下にS1500車両やPN車両と同様,具体的な改造項目について,改造の可否や気をつけるべき点を書いていきますね。


・・・・・・


足回り


足回りに関して気をつけておかないといけないのが,車高の下げ過ぎです。車高を下げ過ぎて「バネが遊んでいる」状態は絶対にNGです(手でスプリングが回る程度であれば可)。もちろん陸運の車検でも通りません。

また,よほど特殊なクルマでない限り,陸運の車検を通る最低地上高は9cm以上です。タイヤのエア圧などでも車高は変わるため,少しマージンを持った車高に調整しておきましょう。


当然ながらフェンダーからホイールやタイヤがはみ出ていれば陸運の車検にも通りませんのでダメです。足回りの補強バー類,ピロアッパーはもちろん足回りのピロ化もOKですが,最低地上高に注意が必要ですし,極端なネガキャンなども陸運の車検を通りませんので気をつけて下さい。またホイールスペーサーも基本的にアウトですので注意が必要です。


ブレーキ系も,キャリパー交換など大がかりな改造であっても車検対応でさえあれば構いません。ただしキャリパーがホイールに干渉しているとか,ブレーキホースの継ぎ手からフルードが漏れてるとかは論外ですよ。また,誰もそんなもの使わないと思いますが,フルカーボンのブレーキシステムは使用不可です。


・・・・・・


エンジン関係


エンジン関係の改造も,車検に通る状態であれば問題ありません。ただしボアアップなど諸元が変わる改造をした場合は,必ずその状態で改造車検を通しておいて下さい。


吸排気系の改造も「車検に通る」範囲内であればOKですが...触媒を取っ払って排気ガス基準を通らない状態になってたり,車検対応マフラーであっても消音材がヘタって爆音を出してたりしたら当然ながらアウトです。


・・・・・・


駆動系


S1500車両やPN車両のページにも書きましたが,シフトノブを変更した場合は,必ずシフトパターンをシフトノブ付近に明示しておいて下さい。ビニールテープにマジックで手書きして貼っとくだけでもいいですから。


・・・・・・


車体関係


車体関係の改造も,「陸運の車検に通る」範囲内であれば,カーボンだらけにしようが,リアにでっかい羽をつけようが構いません。補強バー類も大幅な軽量化もOKです。

ただし,リアシートを取ってしまう場合はきちんと乗車定員変更の車検を通さないとダメですし,ロールバーの種類も乗車定員に見合ったものでないといけません。車体のサイズが変わる場合(オーバーフェンダーで車幅が変わる場合など)は,改造車検を通っていても地区により走行不可となる場合があるので確認が必要です。カナードなど鋭利な突起物がある場合もモノによって可否の判断が分かれますので要確認です。

また,カーボン製のボンネットにする場合はちゃんとボンネットファスナーを2ヶ所以上付けないとダメです。走行中に風でめくれたら視界がなくなって即・クラッシュですからね。カーボン製のトランクなどでも同様です。


前述の通り,いくら車高を下げていいと言っても,最低地上高は9cmをキープするようにしないといけません。オレのクルマはホイールベースが短いから...とか言っても,現場ではまず9cmでチェックされます。


・・・・・・


室内関係


室内の改造に関しても「車検に通ること」というのが基準になります。

ステアリングは直径35cm以上のものであれば交換OKですが,どこかにホーンマークがないとダメです。また簡単にステアを取り外しのできる機構(クイックリリース)は,車検対応のボスであればOKのはずですが,場合によってNGとなるケースがあるようですので主催者に確認が必要です。またステア交換でエアバッグを外してしまったら,車検には関係ありませんが自動車保険の契約が変更になる場合がありますので気をつけて下さい。

シフトノブは変更可ですがシフトパターンを近くに明示しておく必要があります。ペダルカバーやヒールプレートなどは取り付けがきちんとしてればOK。水温計や油温・油圧計などのメーター類も後付けOKですが取り付けをしっかりしておくのが条件です(両面テープではなくネジ留めなど)。時計や温度計,カーステのスピーカー類などもOKですが同じく取り付けをしっかりしておくことが必要です。


運転席シートはフルバケに変更OKです。ただし車検証の乗車定員を2名乗車などに変更してない限りはバケットの背面にシートバックプロテクターが必要です。これはきちんとした製品でなくてもホームセンターで切り売りしてるカーペットを両面テープで貼り付けるなどしてもOKです(不惑おとーさんもこれで対応してます)。

4ドア,5ドア車では助手席側のシートもバケット化してOKですが,やはりシートバックプロテクターが必要です。2ドア,3ドア車では乗車定員を2名にするなどリアシートを取っぱらってしまわない限り助手席シートはリクライニング機能を維持していないといけません。


シートベルトは純正の3点式でも良いのですが,安全性やドラポジ保持のためにも4点式ベルトをつけることを強くお勧めします。ただ4点式をつけても純正の3点式はキープしていないといけません。

4点式ベルトの取り付けには注意が必要です。腰ベルトの左側を取り付ける時,シートの取り付けボルトをアイボルトに差し替えてここにベルトを止めている人がいますがこれはダメです。ちゃんとフロアに別のボルト穴を開けて当て板をしてアイボルトを取り付けないといけません。ムリにDIYで取り付けせず,ショップに任せましょう。


・・・・・・


タイヤ


初心者向けでB車両のクラスはたいていSタイヤではなく普通のスポーツラジアルで走るクラスになっています。

この場合のSタイヤの制限はS1500クラスと同様,銘柄で禁止タイヤを指定している場合がほとんどでPN車両と同じ縦溝制限になっている地区は2012年1月の時点ではありません。


  • ダンロップ(DIREZZA)93J・98J・01J・02G・03G
  • ブリジストン(POTENZA)520S・540S・55S・11S
  • 東洋ゴム(PROXES)FM9R・08R・881・888
  • 横浜ゴム(ADVAN)021・032・038・039・048・050
  • その他 ラリータイヤや海外メーカー製通称Sタイプ等

これらは2012年1月の時点で近畿地区において「Sタイヤである」と定義され,スポーツラジアルのクラスでは使用を禁止されているタイヤです。これらのタイヤは他の地区でもまず間違いなくSタイヤと判断されますので,いずれもSタイヤ禁止のクラスでは使用できないと考えて良いでしょう。

※2012年JMRC近畿ジムカーナ スーパー1500(S1500)車両規定より


これら以外のタイヤは全てOKかというとそうとも限りません。ADVANのネオバ,DUNLOPのZ1☆スペック,BSのRE11などは全国どこでもOKですが,TOYOのPROXES R1RはSタイヤに準じるという理由で地区によって使用を禁止されていたこともありました。海外製のスポーツラジアルもモノによってはSタイヤ同等と判断される可能性がありますので,使用の可否が不安な場合は主催者に問い合わせが必要です。


タイヤのサイズには特に制限はありませんが,フェンダーからはみ出すと車検に通りませんのでサイズアップもインチアップも「フェンダーからはみ出さない」というのが判断基準になるでしょう。極端なネガキャンもアウトですし,もちろんキャリパーやブレーキホースに干渉したりするのもいけませんよ。スペーサーやPCDチェンジャーなどのアダプター類の使用もダメです。またホイールキャップのついてるモノは走行時には外しておかなければなりません。




今回のまとめ

  • B車両の規定は,ナンバー付き競技車両の中では最も改造範囲が広く制限が緩い。基本的に保安基準を満たし陸運の車検の通る状態であれば何でもOK。
  • ただ実際には意外なところで車検アウトの項目があるので要注意。
  • エンジンのボアアップ,乗車定員の変更などはきちんと改造車検を通しておくこと。
  • 足回りは最低地上高9cmの確保とバネの遊びのないことが絶対条件。スペーサーも使用禁止。
  • 吸排気系の大幅な改造もOKだが,排ガス基準や騒音基準はきちんとクリアすること。触媒レスとか直管・爆音系はアウト。
  • カーボン製のボンネット,トランクなどを使用する場合は必ず2つ以上のファスナーを付けること。
  • 車体寸法の変更は,改造車検を通っていてもNGのことがあるので要注意(主催者に要確認)。
  • シートバックプロテクターや4点式ベルトの取り付け方法も要注意。クイックリリースのステアリングボスも場合によってNGのことがある。
  • タイヤ,ホイールのサイズアップは「フェンダーからはみ出さない」範囲内でOK。



Updated on Jan 27, 2012.

前のパイロンへ前のパイロン | PAGE TOPへPAGE TOP | 次のパイロンへ次のパイロン