原 点 〜G6・ファインアートラウンド〜
ついこの前セントラルの開幕戦があって,ついこの間桜が咲いたと思ったら,もうゴールデンウィークもとっくに終わって5月も末ですか。
時間経つの早過ぎやろ! ...っていうか,相変わらず過ぎ行く時の流れの早さに全くついて行けていないわけね。ハハハ。
それにしても年をとればとるほど歳月の過ぎる速さが加速するようで,しかも毎年同じようなこと言ってるの忘れてまたそれ言ってるのも年をとったせいで。そんなこと言ってたら,そのうち1月,2月,ハイ12月ってなるんと違うか...って,ああそれも前に同じことを言ってたやんか!
まあとりあえず冷静になって,この1〜2ヶ月のことを振り返ってみましょうか。
まずは,とうとう来ましたよ。
何がって?
昨年末の岡国のアクシデントで壊れたデミ助の修理代請求書。
いや,もうね。
ちょうど予想してた額ピッタリ賞で,目にした途端やっぱり体液ドバドバあふれ出ましたよ。まあ花粉症だっただけですけどね。
しかし...
正直,笑い事ではない人数の諭吉さんが消えてしまいました。ノドから手が出るぐらい欲しいフェンダーのジャズベのビンテージものがヨユーで買えてしまう額。
サーキット遊びってハンパなくお金がかかるなっていうのをまた思い知りました。このPrject不惑でも,ジムカーナの次はサーキットの入門講座をやろうかと思ってましたが,止め止め。こんなモノとても初心者の人には勧められない。
やっぱ初心者の人はジムカーナですよ。
いや,ジムカーナだってクラッシュが絶対にないわけじゃないけど,リスクは格段に少ない。少なくとも他人にぶつかることはまずない。走ってればそれなりにお金はかかるけどサーキットよりはだいぶ少なくて済む。
それにジムカーナでクルマのいろいろな動きを徹底的にたたき込まれることで,リアが出ようがフロントが流れようが,クルマがどんな動きをしても何とかコース上に留まることができるようなテクニックが自然に身につく。しかもそれが比較的安全な場所で,安全なスピード域でできる。
将来的にサーキットでレースをやろうという人でも,ジムカーナやっといて絶対に損はない。っつーか,これからサーキット走ろうって言う人には,みな1年間のジムカーナ研修を義務づけしたいぐらい(笑)。
おとーさんだってね,草レースで表彰台に立てるのはジムカーナを長い間走ってきたからこそ。間違いなくそう。そのわりに最近ジムカーナ全然走ってませんけどね(笑)。
...ということで4月末には,すっかり年に一度のジムカーナイベントになってしまったG6,ファインアートラウンド@名阪スポーツランドに行ってきました。
ジムカーナは自分の故郷,原点。そして今でも多くの仲間達が走ってる場。
タイムがどうとか,速さがどうとか,順位がどうとか,そういうのは抜きにして,純粋に仲間に会いに行く,仲間と遊びに行く,そういう気持ちでの参加。実際,まるっきり1年ぶりのジムカーナで,現役の地区戦ドライバー達と走って勝負になるわけないし。
当日は朝から青空でヒバリがピーチュルさえずり,暑過ぎず涼し過ぎずでちょうど気持ちの良いお天気。
ちょうど1年ぶりで懐かしい名阪スポーツランドのゲートをくぐり,Cコースの指定パドックにデミ助を停めます。そう,この場所で,このデミ助と,いろいろなドラマを経験してきたんだったなあ。2年半ぶりの優勝あり,全日本のマグレ優勝あり,その後は勝てなくて勝てなくて泣いたことあり...いろいろあったなあ。
そして仲間達との再開。
クラブ員のみんなは1月の新年会で会ってますが,それ以外はちょうど1年ぶりの人が多い。何せジムカーナは練習会にも行かなくなっちゃったからねえ。
かつて一緒に走ってコンマ数秒を競ったライバル達。みんな元気そうで何より。
色々な人と「お久しぶり〜」などと挨拶を交わしながら,荷物を下ろしたり,受付に行ったり,走行の準備を進めます。
しかしここで同じデミオ仲間のドライバーさんから,デミ助のタイヤがヘンな状態になってることを指摘していただきました。
フロントは195幅のR1R。まあ,これは良し。
しかしリアは205幅のR1R。あれぇ〜?
みなさまよくご存知の通り,デミオのようなFFの競技車は,駆動輪のフロントに幅広のタイヤを履き,リアはなるべくスムースにフロントに追随するように細い目のタイヤを履きます。これじゃまるっきり前後が逆さまです。
何でこんな状態になったかというと。この日デミ助に履いてきたタイヤは前後両方とも,元々はリア用に使っていたもの。フロントに使ってたR1Rがもう死んでたので,ガレージに転がってたリア用のタイヤをテキトーに前後に履いてきたわけ。
ところが,ジムカーナ時代にはリアに195を履いてたのが,サーキットがメインになってからはリアにも205を履くようになったので,リア用のR1Rでも195と205が混在してたんですな。ええ加減やなあ(笑)。
笑いながら前後のタイヤを入れ替えようとしましたが...あれ? リアのホイールをフロントに履こうとしたらキャリパーにひっかかるぞ...
ガーン!!
そうです,このリア用のホイールはフロントには入らないんだった。
デミ助はブレーキ一式を少しサイズの大きいSPORT純正ブレーキに換装してるので,ホイールのオフセットによってはキャリパーが干渉して入らないことがあるんです。
ひええぇ〜
ということは...今日はこの前後逆転タイヤセットでジムカーナをやることに決定。
※当日のコース図(画像は公式サイトよりいただきました)。
しかも発表されたコース図には「フリーターン」がある。サイド引かなくてもいいけど,普通はサイドターンでくるっと格好良く回りたいところ。
しかし今日のデミ助,こんなFR車みたいにリアタイヤの方が太い状態でうまくサイドターンが決まるとは思えない。しかもリアのブレーキシューはサーキット用のあんまり効かないヤツ。
この時点でもう勝負ありましたな。ワハハハ(笑)。
いや,誰かそのへんのデミオ乗りの友人に街乗り用のリアタイヤ借りたらいい話なんですが,人のタイヤをすり減らしてまで勝負にこだわりたくない。今日は仲間と会いに来た,仲間と遊びに来たジムカーナ。順位とかタイムなんてビリじゃなきゃいいや,っていうぐらい。このまま,このおかしなタイヤセットで走りましょう。この前のラジチャレもおかしな足回りセッティングで走ってたしね(笑)。
・・・・・・
さーて本日のゼッケンは10番。FF1クラスのラストゼッケンですが,別にこれは実績云々ではなくって単純に申し込み順でしょう。
ブリーフィングが終わるとあれこれ考える間もなく走行順が回ってきます。でも公式戦とは違ってG6は3本走らせてもらえる。まず1本目は練習走行。
まあおとーさんの場合,練習だろうと本番だろうと気負う必要は全くないので,もう鼻歌が交じるぐらいのリラックスモードでデミ助を走行待ちの列に並べます。とりあえずフリーターンでどれくらいリアがひっかかるか確認しましょ。
1年ぶりの名阪Cコース,1年ぶりのジムカーナだというのに全く緊張感なしでさあスタート。するするっとデミ助を前に押し出します。
足回りのセッティングはセントラル仕様のままですが,実はセントラルではジムカーナ的なセッティングの方が速いため,前後のスプリングはジムカーナ時代と大きく変わりません。気持ちショックの段数を落としただけで車体がスムースに動きます。スタートしてすぐの細かいコーナーの連続も,吸排気系チューンによる厚い低速トルクを活かして2速のままぐいぐい走り抜けます。
そして,島をぐるっと回ってさあ問題のフリーターン。
さあがんばれよ〜
ブレーキングして,ステアを切って姿勢を作りながらフリーターンエリアに入って...さあちょうど1年ぶりに引くサイドは...
当然ながら不発。うわ,やっぱし(笑)。
リアは一応一瞬ロックしたみたいですが,旋回モーメントが足らず,ぐりーーーんと回るはずのデミ助の車体は「ぐり」ぐらいで止まってしまい,うひょ〜,恥ずかしい〜,のバックオーライ(笑)。
さすがに1年間で1回もサイドターンしてないと,しかもサーキット用のリアシュ−だったり前後あべこべのタイヤセットだったりではターン無理でした,ハイ。
まあ,その後は気を取り直して特に大きなミスもなく普通にゴール。外周では結構がんばって踏んでみましたが,リアのグリップは終始安定していて,フロントが逃げることはあってもリアが破綻することは全くありませんでした(当たり前)。
走り終わってパドックに戻るとドッと汗が噴き出します。サーキットの草レースとは全く違った,この1分ちょっとの時間の極限集中が楽しい。
草レースでは自分の走りよりもむしろライバルの走りを意識しながら走ってるけど,ジムカーナでは走ってる時に他人を意識する必要はない。ひたすら自分の走りに集中するだけ。しかも1分ちょっとなんてレースの1ラップにもならない短時間。そこに全力をかける。このストイックさがジムカーナのいいところだな。やっぱジムカーナは楽しいわ。
その後はギャラリー席でクラブ員のみんなと話しながら応援します。ウチのクラブにはミドル戦や地区戦に毎月出ている現役バリバリのクラブ員もいれば,おとーさんのようにジムカーナ1年ぶりっていうのもいて,競技に対する姿勢はいろいろ。それでも何の違和感もなくみんなが一緒に楽しめるのがこのG6の良いところ。来年もまた走りに来よう。
とか言ってるうちに時計は進み,いよいよ本番一本目の走行が迫ってきます。
さすがに普通のエア圧ではリアタイヤを路面から引っぺがすのはムリと分ったので,リアのエア圧をカンカンに上げます。タイヤをパンパンに張ることで接地面を縦長の形状にし,ちょっとでも横方向にピーキーな動きを作ろうというジムカーナ界の常套手段です。サーキットではピーキーになり過ぎるのでまずやりませんけどね。
相変わらず気合いも何もなく,力が抜けきったリラックス状態で出走待ちの列に並びます。まあ,フリーターンだけは何とかしたいけどな。
わずかなホイールスピンを残してデミ助はスムースに走り出します。
すぐに左に90度曲がり,タイヤを鳴らしながらイトウ工業手前の小さい島をグリグリ回って,もう一つ大きい島をぐるっと旋回,さあフリーターンだ。
慎重にブレーキング,ちょっと手前で1速に下ろして,と思ったら回転が高過ぎてエンジンをオーバーレブ気味にぎゃーんと言わしちゃった(汗)。レースじゃ1速なんて使わんからねえ。
それでも気が付いたらもうフリーターンエリアに入ってる。ステアを切って,ブレーキペダルの踏力をコントロールしながらサイドを力一杯エイッと引く!
...ずりずり。
そんな鈍い感触でリアがかろうじてちょっとだけ流れ,何とか出口のパイロンをかわしながら立ち上がることができました。
その後の外周は昔から得意。なるべくスロットルを緩めずイケイケで走りきります。汗をかきながらゴール。やっと普通のタイムが出て暫定4位に滑り込みます。
いやあ,いったんはビリを覚悟しましたが,意外とまともに走れたのでちょっと色気が出てきて,ファインアート名物の焼きそばをいただきながら,お昼休み中にサイドレバーを詰めてみたり(また詰めてなかったんかい)。
慣熟歩行では「ここでチョン引きサイドを...」とか真面目に話し合ってるデミオ仲間を冷やかしながら。でも正直,チョン引きサイドって何でしたっけ??っていうカンジになってる自分が可笑しい。
・・・・・・
さあ,時計は午後になり本番2本目の走行。本日の決勝走行ですな。
リアの方が太いタイヤセット。リアシューはサーキット用。とりあえずさっきサイドは詰めた(笑)。そんないい加減な状態ですが,今日は「地区戦現役ドライバーに挑戦!」とかそんな気持ちは微塵もなく,友達に会いに来た,友達と遊びに来た,それだけですから,お気軽に,お気軽に走りましょう。
とうとう最後まで気合いも何もなく,力が抜けきったリラックス状態でするするっとデミ助をスタートさせます。
左に90度曲がり,狭い区間をぐいぐい通り抜け,大きい島をぐるーっと回り,さあ本日3回目のフリーターン。
さすがに身体がサイドターンのタイミングを思い出してきたのか,サイドレバーを詰めたのが良かったのか,一応ターンが決まってデミ助のリアはぐりんと旋回。うまく出口の方向に立ち上がりました。
いったん外周に出て,イトウ工業コーナーをぐりぐり回って,もう一度島地域を出入りして外周をラストスパート。S字をばっこんばっこん乗り越え,奥のヘアピンを回り,パイロンを一つひっかけてゴール!
よっしゃよっしゃ,上出来上出来。1年ぶりのジムカーナでこれだけ走れたらまあいいんじゃない,っていうぐらいは走れた。
ウインドーを開けてリザルトのアナウンスを聞きます...タイムアップして4番手キープ! 惜しくも表彰台は逃しましたが,もう大満足の結果ですよ。
表彰式では,奇跡の偉業「3本連続ミスコース」を成し遂げたみっちゃんをみんなでイジり倒して大盛り上がり。みっちゃんから8月の奥伊吹のG6でリベンジしたいとのお願いを受けましたが...どうしようかな。8月は他にイベント無いから出ちゃおうかな。
※表彰式にて(土下座してるのはみっちゃん,2位は同じクラブのデミオ無頼クン,4位がおとーさん)。
...ということで1年ぶりのジムカーナ,G6ファインアートラウンドはとっても楽しく過ぎて行きました。
自分にとってのルーツ,原点はやはりジムカーナなんだなとつくづく思います。
この名阪Cコースでも,泣いたり笑ったり,いろいろな経験をしてきました。だからこそ今の自分がある,だからこそ今のデミ助がある,そう言えます。
こういう時にはこう対処したらいい,こういうコーナーはこう走ればいい,ここでリアが出たらこうしたいい,ここでリアが出なかったらこうしたらいい,もちろん完璧にはほど遠いけど,だいたいのことが自分の手の内にあります。
1年ぶりにジムカーナを走って,もちろん優勝はできないけど,表彰圏内ぐらいには何とか入れる。草レースを走れば,時々優勝できることもある。これまでのたくさんの経験が,いろいろなステージで役に立ってます。
もうジムカーナの女神様とは縁が切れてしまってるので(笑),自分で自分に「おっさん,いいドライバーに育ったな」と言ってやりたい(自画自賛)。
だから。
「やっぱ初心者の人はジムカーナですよ」
これを,声を大にして言いたいですね。
ジムカーナはドライバーを育てるモータースポーツです。間違いなく,そう言えます。
さてさて,1ヶ月以上も前のイベントのレポートを思い出し思い出し書いてるうちに,もう明日はラジチャレの第2戦です。開幕戦での優勝を思い出しながら,ジムカーナでのいろいろな経験をにじみ出させながら,しっかり走ってきます。