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2011年 > 9月26日
爺帰る 〜2011年近畿ミドル第7戦〜
20年前に家族を捨てて出奔した父親が,ある日突然すっかりうらぶれた姿で家に現れる。あまりの突然さに毒気を抜かれた家族が優しく迎える中で,これまでずっと長男として一家を支えてきた息子だけは...菊池寛の有名な戯曲「父帰る」です。
12年前に家族を捨てて家を出たはずの父親が,ある日突然家に帰ってくるや家長然として傲慢に振る舞い,そのまま息子2人を連れて釣旅行に出かけますが,何となく父親に共感的な長男に対して反抗期真っ盛りの次男は...こちらはロシアの有名な映画「父,帰る」です。
このように,だいたい久々に帰ってきたオッサンなんてのはロクなもんじゃない,ってのが世間の定説(笑)。
そしてここにもう一人,ジジイが帰って来ました。
そりゃもう,ロクなモンじゃないジジイが(笑)。
2週間前の復帰戦@鈴鹿南が豪雨で流れてしまったため,もう今シーズン中に公式戦は走れないかと思いましたが,「この前の鈴鹿は雨で中止になっちゃったんだよう,1本も走ってないんだよう,お願いだから代わりにミドル戦に出させてよう」と目に涙を浮かべて嫁様に迫ったところ,「泣くなバカ」と頭を1発はたかれただけで案外あっさり参加許可が出ました。
ありがとうmy sweet heart! さあ,涙を拭いて(自分が)! 2週間遅れたけど,地区戦じゃなくってミドル戦だけど,それでも今度こそ1年数ヶ月ぶりの復帰戦だ! 走るぞ!
...しかし今さらミドル戦って,アンタどこのクラスで走るつもり?
ずっと以前おとーさんがミドル戦の某クラスで,年間表彰にひっかかるかどうかギリギリの辺りでシリーズポイント争いをしていた頃,もうミドルを卒業して普段は地区戦を走ってる選手がひょっこりミドルに出てきておとーさんより上位に入り,ノドから手が出るくらい欲しいポイントを目の前でさらって行かれてとても悔しい思いをしたことが何度かありました。
いや,別にその年度の卒業規定に抵触してなければ地区戦の選手がミドルに出ていけないということはない。文句があればその選手に勝てるぐらいまで腕を磨けばいいわけだし,ベテラン選手が出てくる方がイベントが盛り上がるということもあるでしょうし,人によっていろいろ事情もあるでしょうし,人のことをとやかく言うつもりはありません。でもおとーさん自身は,地区戦に上がったらミドルには一切出ないでおこうと固く心に決めてました。
じゃあそれが今回ミドルに出るってどういうことよ。宗旨替え?男に二言あり?
いやいやおとーさんが今回エントリーしたのは,シリーズチャンピオンの座をめぐってヴィッツ,スイスポ,デミオが熾烈なポイント争いをしているS1500クラスではなく,賞金をめぐってベテラン勢のガチンコの争いが繰り広げられるEXPクラスでもなく...シビックやインテグラなどホンダのタイプR軍団と,S2000やシルビア,Z,MR2,ロドスタなどリア掻きのスポーツ車が混走するラジアルタイヤクラス「GT1クラス」です。
わっはっは(笑)! タイプR軍団かぁ! S2000に,シルビアに,Zかぁ!
...はっはっはっ...はっ...はっ...
たった113PSのデミ助で勝負になるわけないじゃん !(;・∀・)
知人には「アホか」と呆れられましたが,いや何,いいんですよ。
勝負は勝ち負けではない(意味不明)。
これならシリーズポイントでミドル戦士のジャマをすることも(決して)ないし,それに今回の主目的は復帰戦を楽しく走ること。ガチンコで気合が入りまくってた地区戦が雨で流れてしまった以上,ここで速さを求めてカリカリしてもしょうがない。タイプR軍団やハイパワーリア掻き軍団に混じってデミ助がどこまで善戦できるか,歴戦のスポーツ車をお買い物車が何台食えるか,これだぁ。ワン・ツー・スリー。さあ,結構楽しみでワクワクしてきたぞ。
・・・・・・
今回も週末の天気予報は晴れ→雨→晴れと目まぐるしく変わり,一時は雨のイベントも覚悟しましたが,結局は朝からすっきりと晴れ上がり,去り行く夏の最後の太陽がアスファルトをジリジリと焼き焦がす,残暑の厳しい1日となりました。
久々の名阪スポーツランドCコース。
やっとここに帰って来れたよ。
いやぁ,懐かしいなあ〜
見るもの聞くもの全てが懐かしい。
朝陽を浴びてキラキラ輝くコースの路面も懐かしい。緑に覆われたコース脇の土手も懐かしい。コースの縁石一つ一つが懐かしい。季節外れの鶯の声も懐かしい。
久々に会う顔も多く,思い出話に花が咲きます。みんなに「おかえり」「復帰おめでとう」「やっと走れるね」と言ってもらい,やっと戻ってきたんだなという実感が湧いてきます。
しかし,ジムカーナ公式戦に久しぶりに出てくると困るのが,朝一からの段取りをすっかり忘れてること。というかもう既に前夜からスムースに物事が運ばない。
いつもなら前夜は結構食べるものにも気をつけるし,ちゃんと早めに床に就くようにしてるんですが,今回は家族で出かけたファミレスでうっかり超大盛のオムライスを頼んでしまい,何とか食べきったけど家に帰ってきたらいきなりお腹がピーゴロいいだす始末。
おかげで荷物の準備はテキトーになってしまい,ビデオはちゃんと充電できてないし,ロガーもどこかに行ってしまって見つからない。しかも深夜になってもお腹の調子が落ち着かず,結局トイレと布団の往復で一晩まともに寝てない状態で起床時間を迎えてしまいました。
会場に着いてからも,走行準備の段取りが悪く,ええっと荷物を下ろして,ええっとエアを調整して,ええっとテーピングを確認して,おおっとショックの段数を調整してなかったよ,そろそろ受付行かないと,っつーかフロアマット下ろしてなかったよ(汗)...みたいなドタバタの連続。
受付で配布された本日のコースは,狭い名阪Cコースを目一杯使ったストレート2本を含むかなりのロングコース。そして最後にパイロン間隔のちょー狭いコテコテのターンセクションあり。
ストレート部分の少ないごちゃごちゃしたコースでかつ雨ならばデミオでもある程度上位に割り込めるかなとは思ってましたが,これは間違っても上位に入るのはムリっぽい。それよりもターンセクションでムリして久々にシャフト折らないように気をつけないと...
今一つ段取りが思い出せず地に足がついてないまま,受付,車検,短い試走,慣熟歩行,そしてドライバーズミーティングもサクっと終了。ゼッケン6番という若いゼッケンのため,あっという間にもう1本目の走行です。
いくらお天気がよく変わる山間部とはいえ,今日はまず雨は降らないでしょう。コースの難易度を考えると,路面温度がある程度上がってもみな2本目でタイムアップする可能性が高い。それに何より自分自身も1年数ヶ月ぶりの競技走行ですし,とりあえず2本目に確実にベストを出せるよう,1本目はリハビリを意識して80〜90%ぐらいの力の入れ具合で走ることにしましょう。
さあ,1年2月ぶりの公式戦のスタートライン。スターターのお兄さんが目の前で旗をサッと振り上げ,ホイールスピン少ない目でするするっとスムースにスタート。
ガツンとシフトを2速に叩き込みながらも,走り出していきなりのS字コーナーではムリをせず,ブレーキングポイントを探り探り丁寧に走ります。
S字から奥のヘアピンでぐるっと右回りに島を一つひっかけて,そのまま外周を逆走で戻ってきてオニギリに。そしてインフィールドに入って三日月のところでイトウ工業コーナーに出てきて,スラロームしてストレートを逆走。
自分ではかなり攻めてるつもりなんですがブレーキングも甘いしラインもテキトー。やはり1年走ってないと全然ダメになってますね。80〜90%というよりも,昨年の40〜50%ぐらいしか乗れてないカンジ。
しかもスラロームの入りで大アンダーをやらかしてしまいストレートでは全く速度が乗らず。S字に折り返してそのままコース内側をストレートに走りますが,ここも折り返しの処理が甘く速度が乗りません。ブレーキング,ステア,そしてスロットルという一連の動作がバラバラで,かつ速度感をつかめていないため余計なブレーキングが多い。車幅感覚も甘くパイロンからえらく離れてる。「乗れてない」の一言に尽きます。
さあそれでももうコースは終盤。
三日月から再び外周に出て奥をぐるっと走りオニギリ手前で再びインに入り,最後のパイロンセクションに向かいます。このへんは昔から得意な部分(のはず)。車速を落とさないようにスムースにスムースに...
しかし,「さあ,最後のパイロンセクション!」っていうところで急に,ホントに唐突にドバーっと疲れが出てきました。がっくりと力が抜け,腕が動きません。ぜいぜいと息が上がってます。走り出してからタイムにしてまだ1分15〜20秒ぐらいなんですが,もうドライバーの電池が切れちゃったのか。CR-Zより早いぞ。
それでも気を取り直してパイロンセクションに入って行きますが,動画で見ると,ミスをしたわけでもないのにここで大失速してます。
進入でパイロンを1つひっかけて右に360度ターン...新しく導入したRIGIDの新しいリアシューのおかげでリアがきっちりロックしてくれて,何とかイメージ通りのターンが決まります。ちょっと脱出でパイロンに寄り過ぎて,ふと見るとドアミラーのあたり,手が届きそうなところに黄色いパイロンの頭が見えたため,リアフェンダーあたりが触るんじゃないかハラハラしましたが幸いうまくすり抜け黄旗は上がらず。
立ち上がってすぐ次の左180度もまずまず無難に決まり,最後の小さい島回りはサイドを引かずアンダー気味に脱出,よれよれしながらもゴール!
もうホントに精根尽き果てた状態でゼイゼイ息が切れてます。全身から汗がだーっと噴出し,ドキドキドキドキへんな動悸もしてます。
※撮影:白兄 いつもSpecial Thanksです!!
タイムは1分32秒7。最後のパイロンセクションの区間タイムだけはGT1クラス23台の中で10位でしたが,他のセクションタイムが見事に「ブービー」だったため,全体でも17位/23台という,これもまあ懐かしい感じの順位(笑)。昔よくこういう順位で走ってましたな。
・・・・・・
これだけストレートの長いコースでホンダのタイプR軍団やS2000,シルビアなんかと同じクラスを走って勝負にならないことは分かってましたが,この1本目のタイムは,S1500クラスのタイムと比べても1位のみっちゃんに2秒差をつけられた2位相当のタイム。いくらリハビリとはいえダメじゃん,それじゃあ。いろいろ生意気なこと言ってたくせにさ。
2本目に向けクラブの白兄&ももさんに撮ってもらったビデオを見て,走行時の自分の感覚と照らし合わせ,どこでどのくらいタイムを削れるかよーく考えます。何とか2.7秒削って1分30秒を切りたいところですが,1本目で特に甘かった部分をきちんと攻め,ターンがそこそこ決まれば何とかそれぐらい詰められそうなカンジ。
ということでお昼の慣熟歩行にはかなり気合を入れて臨みます。
1本目で甘かった,タイムに直結しそうな部分を重点的に歩きます。
ただ,やはり一つ歳をとった分,確実に体力は落ちてるようで,残暑厳しい中でウロウロ慣熟してる途中からまたイヤな動悸がしてきて,2本目走る前から息が上がり気味。どうも昨夜の下痢と睡眠不足がかなり堪えているみたい。以前ならそれぐらい何ともなかったのに,ジジイの身体は確実に衰弱してます。
いや,そんなことは言っておれぬ。せっかくの復帰戦。リハビリとはいえ,生意気なこといろいろ言った手前,せめてS1500クラスの優勝タイムには勝たないとな!
しかしギリギリまで粘って慣熟歩行をがんばったのは失敗。慣熟が終わると2本目の出走はもうすぐ。小走りに坂の上のトイレに行こうとしますが,坂を駆け上がったらはあはあ息が切れてる。そしてドキドキいやな動悸。だ,大丈夫かオッサン。ちょっと衰え過ぎじゃねえのか(笑)。気力に体力が全くついて行ってねえよ。
衰えた体力をさらにトイレでわざわざ削ぎ落としてさあ臨む2本目。今度は80%とか言ってられない。フルパワー100%でタイムを3秒詰めるぞ。
しかし気持ちとは裏腹にバッテリーに残る体力はすでに半量を切りカラータイマーがピコンピコンいってる状態(笑)。それでも走るぞ,シュワッチ!
1本目よりも激しくホイールスピンしながら走りだします。
路面温度は50℃近くまで上昇しタイヤのグリップは下がってるはずですが,慣熟歩行でがんばった成果か,2本目で少しずつ走りのカンを思い出してきたのか,ブレーキングも朝よりは詰められますし,コーナリング速度も若干高くなってます。
気持ちが逸っても抑えるところは手前からきっちり抑えて早めにしっかり姿勢を作りスロットルを踏み抜く,1速に落とすコーナーもラフにシフトダウンせず,回転をしっかり上げてギヤをつなぐ...一つ一つは当たり前のことですが1年間走ってないと身体がすっかり忘れてること,そういうことを少しずつ身体が思い出してきたようです。
「よし! 1本目よりも乗れてる!」
縁石に乗ってクルマが跳ねても,コーナーの入りでブレーキがロックしかけてもクルマの動きが「自分の手の内にある」感覚が少しずつ蘇って来てます。
実際にパイロンセクション手前までの区間タイムはきっちり2秒上がりました。あとは1本目のような息継ぎの失速をせずターンをしっかり回せば目標の1分30秒は達成...
...のはずでしたが,しかし,電池切れは唐突にやってきます。
1本目と同じく,最後のパイロンセクションに入ったところで急にガクっとエネルギーが尽きてしまいました。腕が上がらずパワステが壊れたのかと思うぐらいステアが重く感じられます。全身が何ともいえぬ鬱な気分に支配されます。
360度ターンに向けてステアを右にぐりぐり切り込んで行かないといけないのに残りHPは完全にゼロの真っ赤っか。残りMPも尽きてるのでケアルもホイミもできません。
もういいよ,もういいよ,勝とうが負けようがどうでもいいじゃん...そんな悪魔のささやきで身体の中がいっぱいになります。
去年までならここで「がんばれ,がんばれ,オッサンがんばれ」と自分に言い聞かせながら乗り切れたんですが...もうそんなエネルギーさえ残っていません。ただただハアハアいいながら義務的にだらだらステアを回してるだけ。
当然ながらそんなだらだらステアでは,長いコースを走ってきて精一杯暖まったリアを振り回せるほどのヨーを作れるはずもなく,360度ターンは大失敗。リアはちゃんとロックしてくれてるのでデフさえ利けばサイドを引いたままぐりんと回れるところですが,デフは2年前にOHしたっきりで「ないよりマシ」程度の利き。こうなってはもうサイドを下ろし普通にグリップで回るしかありません。
そして次の左180度はさらに体力がなくなっており,ほとんどステアを切り込めないままサイドを引く力ももう残ってない状態,結局120度ほど回ったところで旋回が止まってしまいます。しかしその時,目の前には「島」が。このまま立ち上がることは不可能。
ああ,ターンで失敗してバックギアを使うなんて何年ぶりだろ(笑)。しかもあろうことか1速と間違えて3速スタートしようとしてエンジンストール。コース上でしばらく止まってしまうというこれ以上ないぐらいの爆笑状態に (´゚c_,゚` )。
・・・・・・
もうしっちゃかめっちゃかの状態で何とかゴール! もう心身ともにヨレヨレ状態。
せっかく途中までタイムを2秒削ったのに,最終的にはもちろん大きくタイムダウン。
2本目を真面目に攻めてこれだけの大失態は何年ぶりだろ。
最終順位は,1本目のタイムで17位/23台@GT1クラス。ビリじゃなかっただけ良かったかな。
ただ,S1500クラスのタイムと比べると6位相当...うわー恥ずかしい...(;´∀`)
シリーズポイントとって迷惑なんて,かけようったって全然かけられないじゃん。
やはり久々に帰ってきたオッサンなんてロクなモンじゃない。ジムカーナの女神様に歓迎されないのも無理はない(笑)。
しかし。
以前ならガックリきて,帰りの西名阪ではメソメソ涙が出てくるところですが,意外と気分はスッキリ。自然と顔がニヤケてくるような気分。
いや,別に頭がおかしくなったわけではないぞよ。
だってね。
だって,やっとここに,ジムカーナ公式戦の世界に帰って来れたんだから。1年数ヶ月ぶりなんだからね,しょうがないよ。
順位やタイムはともかく,久々に走って「めっちゃ楽しかった」。これで十分じゃね?
それに。
体力がないのはよく分かった。
速度とブレーキングの感覚が鈍ってるのもよく分かった。
車幅感覚もたっぷり衰えてることが分かった。
試合当日のスケジュール進行の感覚を忘れてるのにも気がついた。
クルマの方も,ブレーキは良くなったけどデフが弱ってることが如実に分かった。
また,コンパクトカーのクラスに新たなライバル達が育ってきてることもよく分かった。
こういうのも全部今回の収穫。
やっぱりここに帰ってきて,走れて良かったよ。
たくさんの収穫を抱え,これからじっくりリハビリをして,クルマももう一度リセッティングして,来年のシリーズをしっかり戦えるように自分を整えていこう。やることはいっぱいある。
さあ,もうめっちゃワクワクしてきたぞ〜
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爺帰る 〜2011年近畿ミドル第7戦〜
20年前に家族を捨てて出奔した父親が,ある日突然すっかりうらぶれた姿で家に現れる。あまりの突然さに毒気を抜かれた家族が優しく迎える中で,これまでずっと長男として一家を支えてきた息子だけは...菊池寛の有名な戯曲「父帰る」です。
12年前に家族を捨てて家を出たはずの父親が,ある日突然家に帰ってくるや家長然として傲慢に振る舞い,そのまま息子2人を連れて釣旅行に出かけますが,何となく父親に共感的な長男に対して反抗期真っ盛りの次男は...こちらはロシアの有名な映画「父,帰る」です。
このように,だいたい久々に帰ってきたオッサンなんてのはロクなもんじゃない,ってのが世間の定説(笑)。
そしてここにもう一人,ジジイが帰って来ました。
そりゃもう,ロクなモンじゃないジジイが(笑)。
2週間前の復帰戦@鈴鹿南が豪雨で流れてしまったため,もう今シーズン中に公式戦は走れないかと思いましたが,「この前の鈴鹿は雨で中止になっちゃったんだよう,1本も走ってないんだよう,お願いだから代わりにミドル戦に出させてよう」と目に涙を浮かべて嫁様に迫ったところ,「泣くなバカ」と頭を1発はたかれただけで案外あっさり参加許可が出ました。
ありがとうmy sweet heart! さあ,涙を拭いて(自分が)! 2週間遅れたけど,地区戦じゃなくってミドル戦だけど,それでも今度こそ1年数ヶ月ぶりの復帰戦だ! 走るぞ!
...しかし今さらミドル戦って,アンタどこのクラスで走るつもり?
ずっと以前おとーさんがミドル戦の某クラスで,年間表彰にひっかかるかどうかギリギリの辺りでシリーズポイント争いをしていた頃,もうミドルを卒業して普段は地区戦を走ってる選手がひょっこりミドルに出てきておとーさんより上位に入り,ノドから手が出るくらい欲しいポイントを目の前でさらって行かれてとても悔しい思いをしたことが何度かありました。
いや,別にその年度の卒業規定に抵触してなければ地区戦の選手がミドルに出ていけないということはない。文句があればその選手に勝てるぐらいまで腕を磨けばいいわけだし,ベテラン選手が出てくる方がイベントが盛り上がるということもあるでしょうし,人によっていろいろ事情もあるでしょうし,人のことをとやかく言うつもりはありません。でもおとーさん自身は,地区戦に上がったらミドルには一切出ないでおこうと固く心に決めてました。
じゃあそれが今回ミドルに出るってどういうことよ。宗旨替え?男に二言あり?
いやいやおとーさんが今回エントリーしたのは,シリーズチャンピオンの座をめぐってヴィッツ,スイスポ,デミオが熾烈なポイント争いをしているS1500クラスではなく,賞金をめぐってベテラン勢のガチンコの争いが繰り広げられるEXPクラスでもなく...シビックやインテグラなどホンダのタイプR軍団と,S2000やシルビア,Z,MR2,ロドスタなどリア掻きのスポーツ車が混走するラジアルタイヤクラス「GT1クラス」です。
わっはっは(笑)! タイプR軍団かぁ! S2000に,シルビアに,Zかぁ!
...はっはっはっ...はっ...はっ...
たった113PSのデミ助で勝負になるわけないじゃん !(;・∀・)
知人には「アホか」と呆れられましたが,いや何,いいんですよ。
勝負は勝ち負けではない(意味不明)。
これならシリーズポイントでミドル戦士のジャマをすることも(決して)ないし,それに今回の主目的は復帰戦を楽しく走ること。ガチンコで気合が入りまくってた地区戦が雨で流れてしまった以上,ここで速さを求めてカリカリしてもしょうがない。タイプR軍団やハイパワーリア掻き軍団に混じってデミ助がどこまで善戦できるか,歴戦のスポーツ車をお買い物車が何台食えるか,これだぁ。ワン・ツー・スリー。さあ,結構楽しみでワクワクしてきたぞ。
・・・・・・
今回も週末の天気予報は晴れ→雨→晴れと目まぐるしく変わり,一時は雨のイベントも覚悟しましたが,結局は朝からすっきりと晴れ上がり,去り行く夏の最後の太陽がアスファルトをジリジリと焼き焦がす,残暑の厳しい1日となりました。
久々の名阪スポーツランドCコース。
やっとここに帰って来れたよ。
いやぁ,懐かしいなあ〜
見るもの聞くもの全てが懐かしい。
朝陽を浴びてキラキラ輝くコースの路面も懐かしい。緑に覆われたコース脇の土手も懐かしい。コースの縁石一つ一つが懐かしい。季節外れの鶯の声も懐かしい。
久々に会う顔も多く,思い出話に花が咲きます。みんなに「おかえり」「復帰おめでとう」「やっと走れるね」と言ってもらい,やっと戻ってきたんだなという実感が湧いてきます。
しかし,ジムカーナ公式戦に久しぶりに出てくると困るのが,朝一からの段取りをすっかり忘れてること。というかもう既に前夜からスムースに物事が運ばない。
いつもなら前夜は結構食べるものにも気をつけるし,ちゃんと早めに床に就くようにしてるんですが,今回は家族で出かけたファミレスでうっかり超大盛のオムライスを頼んでしまい,何とか食べきったけど家に帰ってきたらいきなりお腹がピーゴロいいだす始末。
おかげで荷物の準備はテキトーになってしまい,ビデオはちゃんと充電できてないし,ロガーもどこかに行ってしまって見つからない。しかも深夜になってもお腹の調子が落ち着かず,結局トイレと布団の往復で一晩まともに寝てない状態で起床時間を迎えてしまいました。
会場に着いてからも,走行準備の段取りが悪く,ええっと荷物を下ろして,ええっとエアを調整して,ええっとテーピングを確認して,おおっとショックの段数を調整してなかったよ,そろそろ受付行かないと,っつーかフロアマット下ろしてなかったよ(汗)...みたいなドタバタの連続。
受付で配布された本日のコースは,狭い名阪Cコースを目一杯使ったストレート2本を含むかなりのロングコース。そして最後にパイロン間隔のちょー狭いコテコテのターンセクションあり。
ストレート部分の少ないごちゃごちゃしたコースでかつ雨ならばデミオでもある程度上位に割り込めるかなとは思ってましたが,これは間違っても上位に入るのはムリっぽい。それよりもターンセクションでムリして久々にシャフト折らないように気をつけないと...
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※画像は公式サイトからいただきました(クリックすると大きい画像を表示します) |
今一つ段取りが思い出せず地に足がついてないまま,受付,車検,短い試走,慣熟歩行,そしてドライバーズミーティングもサクっと終了。ゼッケン6番という若いゼッケンのため,あっという間にもう1本目の走行です。
いくらお天気がよく変わる山間部とはいえ,今日はまず雨は降らないでしょう。コースの難易度を考えると,路面温度がある程度上がってもみな2本目でタイムアップする可能性が高い。それに何より自分自身も1年数ヶ月ぶりの競技走行ですし,とりあえず2本目に確実にベストを出せるよう,1本目はリハビリを意識して80〜90%ぐらいの力の入れ具合で走ることにしましょう。
さあ,1年2月ぶりの公式戦のスタートライン。スターターのお兄さんが目の前で旗をサッと振り上げ,ホイールスピン少ない目でするするっとスムースにスタート。
ガツンとシフトを2速に叩き込みながらも,走り出していきなりのS字コーナーではムリをせず,ブレーキングポイントを探り探り丁寧に走ります。
S字から奥のヘアピンでぐるっと右回りに島を一つひっかけて,そのまま外周を逆走で戻ってきてオニギリに。そしてインフィールドに入って三日月のところでイトウ工業コーナーに出てきて,スラロームしてストレートを逆走。
自分ではかなり攻めてるつもりなんですがブレーキングも甘いしラインもテキトー。やはり1年走ってないと全然ダメになってますね。80〜90%というよりも,昨年の40〜50%ぐらいしか乗れてないカンジ。
しかもスラロームの入りで大アンダーをやらかしてしまいストレートでは全く速度が乗らず。S字に折り返してそのままコース内側をストレートに走りますが,ここも折り返しの処理が甘く速度が乗りません。ブレーキング,ステア,そしてスロットルという一連の動作がバラバラで,かつ速度感をつかめていないため余計なブレーキングが多い。車幅感覚も甘くパイロンからえらく離れてる。「乗れてない」の一言に尽きます。
さあそれでももうコースは終盤。
三日月から再び外周に出て奥をぐるっと走りオニギリ手前で再びインに入り,最後のパイロンセクションに向かいます。このへんは昔から得意な部分(のはず)。車速を落とさないようにスムースにスムースに...
しかし,「さあ,最後のパイロンセクション!」っていうところで急に,ホントに唐突にドバーっと疲れが出てきました。がっくりと力が抜け,腕が動きません。ぜいぜいと息が上がってます。走り出してからタイムにしてまだ1分15〜20秒ぐらいなんですが,もうドライバーの電池が切れちゃったのか。CR-Zより早いぞ。
それでも気を取り直してパイロンセクションに入って行きますが,動画で見ると,ミスをしたわけでもないのにここで大失速してます。
進入でパイロンを1つひっかけて右に360度ターン...新しく導入したRIGIDの新しいリアシューのおかげでリアがきっちりロックしてくれて,何とかイメージ通りのターンが決まります。ちょっと脱出でパイロンに寄り過ぎて,ふと見るとドアミラーのあたり,手が届きそうなところに黄色いパイロンの頭が見えたため,リアフェンダーあたりが触るんじゃないかハラハラしましたが幸いうまくすり抜け黄旗は上がらず。
立ち上がってすぐ次の左180度もまずまず無難に決まり,最後の小さい島回りはサイドを引かずアンダー気味に脱出,よれよれしながらもゴール!
もうホントに精根尽き果てた状態でゼイゼイ息が切れてます。全身から汗がだーっと噴出し,ドキドキドキドキへんな動悸もしてます。
※撮影:白兄 いつもSpecial Thanksです!!
タイムは1分32秒7。最後のパイロンセクションの区間タイムだけはGT1クラス23台の中で10位でしたが,他のセクションタイムが見事に「ブービー」だったため,全体でも17位/23台という,これもまあ懐かしい感じの順位(笑)。昔よくこういう順位で走ってましたな。
・・・・・・
これだけストレートの長いコースでホンダのタイプR軍団やS2000,シルビアなんかと同じクラスを走って勝負にならないことは分かってましたが,この1本目のタイムは,S1500クラスのタイムと比べても1位のみっちゃんに2秒差をつけられた2位相当のタイム。いくらリハビリとはいえダメじゃん,それじゃあ。いろいろ生意気なこと言ってたくせにさ。
2本目に向けクラブの白兄&ももさんに撮ってもらったビデオを見て,走行時の自分の感覚と照らし合わせ,どこでどのくらいタイムを削れるかよーく考えます。何とか2.7秒削って1分30秒を切りたいところですが,1本目で特に甘かった部分をきちんと攻め,ターンがそこそこ決まれば何とかそれぐらい詰められそうなカンジ。
ということでお昼の慣熟歩行にはかなり気合を入れて臨みます。
1本目で甘かった,タイムに直結しそうな部分を重点的に歩きます。
ただ,やはり一つ歳をとった分,確実に体力は落ちてるようで,残暑厳しい中でウロウロ慣熟してる途中からまたイヤな動悸がしてきて,2本目走る前から息が上がり気味。どうも昨夜の下痢と睡眠不足がかなり堪えているみたい。以前ならそれぐらい何ともなかったのに,ジジイの身体は確実に衰弱してます。
いや,そんなことは言っておれぬ。せっかくの復帰戦。リハビリとはいえ,生意気なこといろいろ言った手前,せめてS1500クラスの優勝タイムには勝たないとな!
しかしギリギリまで粘って慣熟歩行をがんばったのは失敗。慣熟が終わると2本目の出走はもうすぐ。小走りに坂の上のトイレに行こうとしますが,坂を駆け上がったらはあはあ息が切れてる。そしてドキドキいやな動悸。だ,大丈夫かオッサン。ちょっと衰え過ぎじゃねえのか(笑)。気力に体力が全くついて行ってねえよ。
衰えた体力をさらにトイレでわざわざ削ぎ落としてさあ臨む2本目。今度は80%とか言ってられない。フルパワー100%でタイムを3秒詰めるぞ。
しかし気持ちとは裏腹にバッテリーに残る体力はすでに半量を切りカラータイマーがピコンピコンいってる状態(笑)。それでも走るぞ,シュワッチ!
1本目よりも激しくホイールスピンしながら走りだします。
路面温度は50℃近くまで上昇しタイヤのグリップは下がってるはずですが,慣熟歩行でがんばった成果か,2本目で少しずつ走りのカンを思い出してきたのか,ブレーキングも朝よりは詰められますし,コーナリング速度も若干高くなってます。
気持ちが逸っても抑えるところは手前からきっちり抑えて早めにしっかり姿勢を作りスロットルを踏み抜く,1速に落とすコーナーもラフにシフトダウンせず,回転をしっかり上げてギヤをつなぐ...一つ一つは当たり前のことですが1年間走ってないと身体がすっかり忘れてること,そういうことを少しずつ身体が思い出してきたようです。
「よし! 1本目よりも乗れてる!」
縁石に乗ってクルマが跳ねても,コーナーの入りでブレーキがロックしかけてもクルマの動きが「自分の手の内にある」感覚が少しずつ蘇って来てます。
実際にパイロンセクション手前までの区間タイムはきっちり2秒上がりました。あとは1本目のような息継ぎの失速をせずターンをしっかり回せば目標の1分30秒は達成...
...のはずでしたが,しかし,電池切れは唐突にやってきます。
1本目と同じく,最後のパイロンセクションに入ったところで急にガクっとエネルギーが尽きてしまいました。腕が上がらずパワステが壊れたのかと思うぐらいステアが重く感じられます。全身が何ともいえぬ鬱な気分に支配されます。
360度ターンに向けてステアを右にぐりぐり切り込んで行かないといけないのに残りHPは完全にゼロの真っ赤っか。残りMPも尽きてるのでケアルもホイミもできません。
もういいよ,もういいよ,勝とうが負けようがどうでもいいじゃん...そんな悪魔のささやきで身体の中がいっぱいになります。
去年までならここで「がんばれ,がんばれ,オッサンがんばれ」と自分に言い聞かせながら乗り切れたんですが...もうそんなエネルギーさえ残っていません。ただただハアハアいいながら義務的にだらだらステアを回してるだけ。
当然ながらそんなだらだらステアでは,長いコースを走ってきて精一杯暖まったリアを振り回せるほどのヨーを作れるはずもなく,360度ターンは大失敗。リアはちゃんとロックしてくれてるのでデフさえ利けばサイドを引いたままぐりんと回れるところですが,デフは2年前にOHしたっきりで「ないよりマシ」程度の利き。こうなってはもうサイドを下ろし普通にグリップで回るしかありません。
そして次の左180度はさらに体力がなくなっており,ほとんどステアを切り込めないままサイドを引く力ももう残ってない状態,結局120度ほど回ったところで旋回が止まってしまいます。しかしその時,目の前には「島」が。このまま立ち上がることは不可能。
ああ,ターンで失敗してバックギアを使うなんて何年ぶりだろ(笑)。しかもあろうことか1速と間違えて3速スタートしようとしてエンジンストール。コース上でしばらく止まってしまうというこれ以上ないぐらいの爆笑状態に (´゚c_,゚` )。
・・・・・・
もうしっちゃかめっちゃかの状態で何とかゴール! もう心身ともにヨレヨレ状態。
せっかく途中までタイムを2秒削ったのに,最終的にはもちろん大きくタイムダウン。
2本目を真面目に攻めてこれだけの大失態は何年ぶりだろ。
最終順位は,1本目のタイムで17位/23台@GT1クラス。ビリじゃなかっただけ良かったかな。
ただ,S1500クラスのタイムと比べると6位相当...うわー恥ずかしい...(;´∀`)
シリーズポイントとって迷惑なんて,かけようったって全然かけられないじゃん。
やはり久々に帰ってきたオッサンなんてロクなモンじゃない。ジムカーナの女神様に歓迎されないのも無理はない(笑)。
しかし。
以前ならガックリきて,帰りの西名阪ではメソメソ涙が出てくるところですが,意外と気分はスッキリ。自然と顔がニヤケてくるような気分。
いや,別に頭がおかしくなったわけではないぞよ。
だってね。
だって,やっとここに,ジムカーナ公式戦の世界に帰って来れたんだから。1年数ヶ月ぶりなんだからね,しょうがないよ。
順位やタイムはともかく,久々に走って「めっちゃ楽しかった」。これで十分じゃね?
それに。
体力がないのはよく分かった。
速度とブレーキングの感覚が鈍ってるのもよく分かった。
車幅感覚もたっぷり衰えてることが分かった。
試合当日のスケジュール進行の感覚を忘れてるのにも気がついた。
クルマの方も,ブレーキは良くなったけどデフが弱ってることが如実に分かった。
また,コンパクトカーのクラスに新たなライバル達が育ってきてることもよく分かった。
こういうのも全部今回の収穫。
やっぱりここに帰ってきて,走れて良かったよ。
たくさんの収穫を抱え,これからじっくりリハビリをして,クルマももう一度リセッティングして,来年のシリーズをしっかり戦えるように自分を整えていこう。やることはいっぱいある。
さあ,もうめっちゃワクワクしてきたぞ〜
今回ミドル戦に大量エントリーの我がクラブ"TEAM WIZARD OF SLALOM"集合! ※ 画像をクリックすると大きな画像を表示します |
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