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白いギター


ちょっと前,そう夏ごろの話になりますが,超・久々に京都の大きな楽器店に行きました。10年ぶり? いやもっとかな。

学生時代にはしょっちゅう,ホントにしょっちゅう出入りしてた店です。店員さんも顔なじみだし,大学の軽音の先輩の名前を出せば身内割引もしてくれました。当時ベースの弦は結構高かったので金欠の大学生にはすごく助かりましたね。

メンバー募集の告知板なんかもあって,ここでバンドのメンバーを募集したこともあるし,自分がキーボードを主にやるようになってからはここで代わりのベーシストをリクルートしました。

社会人になってからも,研究で音響機材を使うことがあるためちょくちょくここを訪れてましたが,大学を離れ研究活動をやめて大阪に住むようになってから全く足が遠のいていました。


いやあ懐かしい。ホント懐かしい。

仲間と軽音の部室にこもって深夜まで変拍子のキメのフレーズを繰り返し練習,腹が減ったら天一のラーメン(京都名物)か吉牛食ってきてまた部室に戻り,なんていう当時の生活を思い出します。

学園祭シーズンなんかは月に何ステージも出るため弦やシールド,コンパクトエフェクターを繋ぐアダプターなんかがどんどん傷みます。部室で夜を明かし,朝になったらこの楽器屋で消耗品を買って,午後の授業はサボって夕方から大阪へバイトのためいったん戻り,深夜に部室でまた集合...そんなことやってるから留年するんだ(笑)。


しかし楽器屋のある商店街の様相はずいぶん変わりました。昔と変わらない店もありますが,おっさんから見ると何を売ってるのかもよく分からないような華やかな店も多く,知らない街の商店街に来たような疎外感を覚えます。

楽器屋さんも,場所は変わらないものの昔とは店構えが大きく変わり,人ごみに気を取られてるうちうっかり通り過ぎそうになります。


「おー,ここやここや」

おとーさんが振り返って声をかけたのは,昔のバンド仲間ではなく,中3になるウチの息子。そう,生意気にも学校の友人とバンドをやるとか言い出した息子のギターを買いに,この懐かしい楽器屋を訪れたわけです。


「こっちやこっちや」

昔は狭い階段で地下に下りて行きましたが,今はエスカレーターですーっと下りられます。しかし何だかよく似た顔の男2人,しかも白髪頭のおっさんとニキビ面の男子中学生が仲良く並んでエスカレーターに乗ってる姿は...超・微妙です(笑)。


地下の電子楽器売り場も改装されてずいぶん広くなり,ギターやベースの品揃えも昔とは比べ物になりません。壁一面をギターやベースが埋め尽くしてます。

おとーさんと性格が異なり,前もってネットや雑誌で綿密に下調べをするとかそういう所が全くないウチの息子,初めて見る壁一面のギターやベースを見て,頬にニヤニヤ笑いを浮かべつつも完全に圧倒されてます。仕方なくおとーさんが適当なブツを選んで試奏させてもらいます。

しかし試奏とはいっても本人は初めてエレキギターを手にする超・初心者。オープンコードすら弾けません。まあストラップかけてヘッドとボディのバランスを確認するぐらい。操作性や音の確認はやはり白髪頭のおっさんの役目ですか...


そして楽器屋の若いお兄ちゃんは,おそらくもう聞き飽き過ぎて「もうそれだけはカンベンしてくれ」と言いたいであろう下手くそな「スモーク・オン・ザ・ウォーター」とか「バーン」とか「天国への階段」とかを小一時間聞かされることになるのでした。

...いや,おとーさんはギタリストじゃないからね,下手なのはしょうがないのよ。ゴメンね。アーメンね。ベースの試奏なら付き合っててそこまで苦痛じゃなかったかもしれないけど。


そして最終候補に残ったのはFender Japanの素のストラトとIbanezのストラトタイプの真っ白のギターの2本。さあ坊ちゃん,どっちにしますか?

おとーさん的には素のストラトの方がお勧め。何たって天下のストラト,音はいいしトレモロの効きもいいしペグなどの操作性だって問題なし。世間に数が出てるから様々な情報やノウハウも手に入りやすい。対してIbanezの白いギターは,モノは非常に良いけど独特のチューニングロックのシステムが初心者には扱いにくそう。

...しかし御本人は「白いギターがいい!」と即座に一言。

予算ギリギリだけどいいのか? 「いい!大丈夫」 そうか。





こうやって白いギターが我が家にやってきました。

まあ,本人が貯めたお金で買うんだし,ギターもクルマも第一印象で「これがイイ!」と思ったモノが一番。自分が惚れ込んだモノじゃないと上達しない。


高校生の頃,おとーさんは毎晩ベースを抱いて寝て起きて,このベースだけが友達,ってな時代がありました。思えば音楽には人生を助けられ,そして多くのものを与えてもらいました。今もおとーさんには音楽とクルマのない人生は考えられません。

ウチの息子にとっても,大人になるまでのこれから数年で,両親なんてクソ食らえ,このギターだけが世の中で唯一の友人,なんて時がきっとあるでしょう。そんな時には,頼りにならないクソ親父の代わりにこの白いギターが,しっかり息子の支えになってくれると信じてます。

それにしてもその時,このギターはどんな音を奏でているんでしょうね。

今のところシンプルなエイトビートのバッキングばかりですが(笑)。


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