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2010年 > 4月29日
おとーさんの宝物(その1)〜全日本@名阪〜
おとーさんの所持するお宝には,初代インテのステアリングとか,約15年前にAVクラスをSWで走ってた時のトロフィーとか,不惑インテ号のキーとか,ガラクタみたいな品物に加えてパソコン上のいくつかの動画ファイルがあります。
お宝の動画ファイルって言っても,小林ひとみがどうとか(古ぅ),愛染恭子がどうとか(いつの話やねん),せめて朝岡実嶺とか(もういいって)...じゃないよ。ちゃんとしたクルマ関連の動画ファイル,要するに走行動画です。
そのうちの一つはこんなの。
...陽光の眩しいピーカンの名阪スポーツランドCコース。
オニギリから外周を逆走してきた赤いDC2インテグラが,凄まじい勢いで観客席前に突っ込んできてイトウ工業コーナーをクリア,すぐにある小さな島をするっと左にターン,そして広場に入ってすぐのパイロンを今度は右にくるっと巻いて,タイヤを軋ませながら最終コーナーに向けて猛ダッシュして行く...
...時間にすればわずか十数秒間の出来事です。
これはもちろん自分の走行動画なんかではありません。2005年の全日本第2戦@名阪Cコース,赤いDC2インテでN2クラスを戦っておられた佐川選手の走行動画です。
初めてこの走りを見た時,本当に鳥肌が立ちました。
「感動」なんていう甘いモンじゃない。「衝撃」。
すごい...本当にすごい。
速さはもちろんのこと,走りのキレといい流れといい,凄腕揃いの全日本選手の中でも際立っている。そしてこのターンの精度の高さ。パイロンまで本当に5cmぐらいしかないんじゃないか,っていうところを思いっきり加速しながら抜けて行ってる。どうやったらこんなことができるのか...人間技じゃねえ!って思いましたよ。
それ以来,この動画はおとーさんの宝物になりました。
デスクトップにショートカットを置いて,ヒマな時にはいつもこの走りを眺めてました。
特に上に抜粋したこの名阪Cコースのイトウ工業コーナー手前の島とパイロンを逆Z字型にクリアしていく部分は,おとーさんにとって...何て言うんでしょう...お手本,いやそんなヌルいモンじゃなく,走りのバイブルというか,神の境地というか,いつかこの走りに少しでも近づけたら,という究極の目標として輝き続けてきたんです。
自分ならこうやって走るかな...いや,こっちでサイド引いて,向こうでは引かないとか...イトウ工業もインを大胆にカットするか,グリップのいい外側を通るか...いろいろ考えながらも目を閉じるといつでも佐川選手の鮮やかな逆Zが目に浮かびます。
ですから近畿のミドルや地区戦でも,この動画と同じイトウ工業手前の逆Z字パターンを本番コースとしていつか走りたいなと思ってたんですが,なかなかコースとして設定されることはなく今日に至ってました。
・・・・・・
前回のdiaryでいささか情けない話を書いて,みなさまにはいろいろご心配をおかけしたりお叱りを受けたりしましたが(笑),おとーさんの中ではやはり,全日本はこういう神技の領域に入ったドライバー達が極限の速さを競うところ,という認識があります。
三十路最後の年に不惑インテ号をゲットしてジムカーナに復帰したおとーさんにとって全日本とは,50歳になるまでに,不惑の年齢のうちに,1度でも出場したい,そういうものでした。つまり「全日本出場」がこの「Project不惑」のゴールの一つだったんです。
不惑インテ号をクラッシュで失い,このゴールにはもう永遠にたどり着かないかなと一時は思いました。何とかデミ助を得てジムカーナに復帰はできたものの,JAFはラジアルタイヤのクラスをなかなか正式クラスとして認めず,せっかくできたPNクラスもSタイヤのクラスで,これまたゴールは遠のきました。今さらSタイヤでガンガン走る経済力はありません。
そうこうするうちに実年齢は45歳になり,不惑の年代も半分が終了。しかも来年はお仕事の関係で1年間活動休止となります。地区戦にS1500ができたのはいいけど,いつになったら地区戦で良い成績を残して全日本に堂々と出られるのか...
...もう,こりゃ無理かな(汗)。
なんて思ってた時に,唐突に全日本出場の話が出たわけです。
ずっとずっと女神様のように崇め,憧れていた女の子と首尾よく一夜を共にすることになったオッサン。「いや,そんな,私なんかにはもったいないですから」とか「キミを汚したくないから」とかヘンな意地を張って無理にヤセ我慢を決め込むのか,ツベコベ言わず美味しくむしゃむしゃいただくのか(笑)。
...ま,とりあえず美味しくいただくことにしましたが(爆)。
でもおとーさん,諦めかけていたゴールが思ったよりも早くあっさりと目の前に現れた時,素直にそこに飛び込めるほど器用ではありません。あれこれ理屈をこねて戸惑う自分を納得させる作業が必要でした。自分には全日本を走る資格があるのか,全日本にそんなに簡単に出てしまっていいのか...結局出場するんだから,悩む必要なんかないのにね(笑)。
・・・・・・
ということで,まだ何となく冴えない,まとまらない気持ちで当日の朝を迎えました。
本当は金曜日から練習走行が始まってるんですが,金曜日なんか絶対に仕事休めないおとーさんは,土曜日の公開練習から会場入りです。
競技走行自体が3月初旬の開幕戦から1ヵ月半ぶり。その間,練習会すら走ってない。いつもはその分,峠に残業に行ったりしてるけど,今回はそんなヒマもなし。本当のぶっつけ本番。
大事なことは,いかに土曜日の公開練習2本で,体力を温存しながらも競技走行のカンを取り戻し,日曜日の2本に全力を出し切れるように自分の体力気力を持って行くか,だな。「走り」だけじゃないマネージメント力というか自己管理能力が問われる。
土曜日の空模様は超・ビミョー。時々晴れ間がのぞくものの,ほとんど雲が空を覆っていて気温は終始低いまま。にわかに空が暗くなったかと思うとバラバラ雨が降ってきたり,あろうことか4月の下旬だというのに空から白いものが降ってきて,よく見ると小粒の雹(ひょう)だったり。相変わらずあり得ねえお天気だ,名阪スポーツランド。
※テント持ってきて正解でした
デミ助のコンディションも絶好調とは言い難いカンジ。何とかフットブレーキの時のリアブレーキの当りは出ましたが,サイドを引いた際には左側の効きが今ひとつで片効きっぽいカンジになる。ただ,ここに来て今さらブレーキドラムを開けるわけにはいかない(開けると一時的に効きが落ちるので)。もうこのまま行くっきゃない。何とかなるよ...っつーかこれぐらい自分の腕で何とかカバーしろ!おっさん!
公開練習のコースは,走りだしてすぐに360度ターンがあるものの,全体的にはシンプルなコース。ミドル戦よりはちょっと長いかなというぐらい。明日の本番はこうはいかないだろうな,っていう匂いがプンプン(笑)。
昨年のJAFカップの時は,何も考えず前日の公開練習からフルパワーで気合入れまくってしまい,慣熟歩行も時間いっぱい無理やり歩いたり走ったりして無駄に体力と気力を消耗してしまった。そう,こういう2daysのビッグイベントでは1日目と2日目のエネルギー配分が重要。
幸いここ名阪Cコースはおとーさんにとって地元も地元。3月初めの地区戦から1ヵ月半以上走ってないとはいえ,1年に何回も走ってるコース。自分の家の庭,とまでは言わないものの,ご近所の家の庭みたいなモン。必死でコース全体をトレースしなくても攻略は組み立てられる。明日のためにエネルギーを温存しながら重要ポイントだけを重点的にチェックします。
デミオにとっては1速か2速かギアの選択に迷うコーナーがたくさんあります。とりあえず「迷ったら一つ高いギアに」という原則に従って2速で走ることにします。去年のミドルでも,この3月のミドルでも,1速か2速かで迷ったら2速で走るという原則で大きな問題はなかったし。
S1500クラスは全体の一番最初に走ることになってます。おとーさんはゼッケン5番。
因みにゼッケン1番は中部から遠征のヴィッツ乗りU飼選手。かつてN1クラスで全日本にフル参戦,ポイントも取ってるバリバリの全日本ドライバーです。
ゼッケン2番も中部から遠征のコルト乗りO内選手。この方もベテランで中部のS1500では地区戦の上位常連ドライバー。昨年のJAFカップでも活躍されてました。
ゼッケン3番は昨年12月の「S1500日本一決定戦」で見事日本一になったデミオのM田選手。今年も3月の中部地区戦開幕戦で早速1勝されてます。
そしてゼッケン4番がいつも一緒に走ってるコルト乗りとのちゃん。今回はリア用のスプリングをいっぱい持ち込んでます。気合入ってますね〜
ゼッケン5番がおとーさんで,そして6番が昨年のJAFカップを制したこちらもS1500日本一のピヨピヨヴィッツM選手。彼もこの4月初めの地区戦で早速優勝されてます。
で,7番のS1500クラス最終ゼッケンが我らが近畿チャンピオン・ライムM君。彼も全日本に向けてすごい気合入ってるっぽい。
...うーん,鉄壁のオーダー。速い人ばっかりじゃん。関東地区戦チャンプのK山さんがいないのが残念だけど,これはこれで十分S1500日本一を競うのにふさわしいメンバーだ。併催クラスとはいえさすが全日本。これはちょっと気を抜いたりミスしたりすれば即・ビリ確定です。
・・・・・・
1本目スタート時の路面温度は極低温。吐く息も白くなるような状況の中でスタート。JMRCで顔見知りのお兄さんがキビキビと気持ちのいい動きでスタートフラッグを振ってくれます。
ずさささささっ!
若干ホイールスピン多めでスタート。
スタートしてすぐのイトウ工業コーナーでリアがすっ飛ぶかと思いきや,意外とリアはしっかりグリップしてます。さすがR1R,こういう低温路面でのグリップは別格です。
立ち上がってすぐの360度は旋回ウンヌンよりも立ち上がり重視で。
左のサイドが効き難いためシャフト破損が心配でしたが,路面の低温が幸いしました。
立ち上がってすぐに島を大きく左回り。ここはとにかく回転半径を小さく。そのためには進入でがんばり過ぎないで,いったん速度を落として全体を加速しながら回って行くカンジ。
で,次はオニギリを左にグルっと回り込みます。このあたりはミドルでも地区戦でもちょくちょく出てくるレイアウトなんですが,1本目は欲張りすぎてオニギリの頂点でアンダーになり,オニギリ脱出の手前が外に膨らみ過ぎてタイムロス。
さあ,あとは旧・最終コーナーを折り返してストレートをかっ飛ばし,外周をぐるっと回ってくるだけ。全日本ではよく出てくるパターンです。コースとしては単純ですが3速全開から飛び込むイトウ工業コーナーやS字コーナーはシビレます。ミドルなんかでは車速が高くなり過ぎて危険なためかあまり出てこないコースです。
ただ,おとーさんはインテグラの時代からこの外周は得意。幅が1.5車線ぐらいの狭い峠道を無理やり平面化したようなこのコース,誰よりも「踏んで」駆け抜けられる自信があります。
1速か2速か迷う部分は2速のままで,とりあえず「踏み切って」走りますが,今日は公開練習。明日の本番を前にクラッシュしたり転倒したりしたら意味ない。S字ではちゃんとブレーキングして,コース幅いっぱいは狙わず,自分の力の100%は超えない走りでゴール!
公開練習1本目のタイムはトップから1.5秒遅れの4位。
...まあ,こんなモンかなってカンジ。
でもトップは近畿チャンプ・ライムM君だからおとーさんももうちょっとがんばらないといけない。全日本ドラU飼選手はPTで沈んだだけで,生タイムはトップ,2本目には確実に上がってくる。この4位は実質5位っていうこと。
デミオのM田選手も,タイヤがR1Rではないので路面温度が上がる2本目には確実にタイムを縮めてくる。コルトのとのちゃんもセッティングをあれこれいじってるっぽいので,セッティングがはまればガーンと上がってくる可能性あり。
・・・・・・
お昼になってもお天気は超。ビミョー。
雨がさーっと降って来て路面がハーフウェットになったかと思うと,バラバラと小粒の雹(ひょう)が降ってきたり,そうかと思うと急に太陽の光が差し込んできて汗ばむようなカンジになったり,ワケ分からんお天気だ。まあ,ここ名阪スポーツランドはいつもこうだけど。せめて明日の本番ではこういうお天気はやめて欲しいなあ。
※不思議な空模様。みんな4月下旬とは思えない厚着してます。
路面温度も,陽が射してくると15℃ぐらいまで上がりますが,雨や雹が降ってくると10℃以下に下がってしまいます。ただ,完全なウェットにはならないのでセッティングはドライのまま。
45歳のおとーさんとしては慣熟歩行を必死でがんばって体力を使い切ってしまうよりも,明日に向けて体調を崩さないよう,しっかり食べてしっかり水分をとって,こむら返り起こさないように予防薬(漢方)のんで,上着はこまめに脱いだり着たり,シューズは履く前にちゃんとヒーターで温めておいて...なんか本格的にジジイみたいですが,45歳となるとこういった走ること以外の配慮が大事なんですよ。悪いかぁ!(笑)
さてさて程よく気合が入ってきたところで公開練習2本目。
最初の右360度の進入ラインを変えて,オニギリでアンダーになったところをしっかり抑えて,あとは1本目が自分の力の90%だとすると,今回は95〜97%ぐらいまでがんばろう!
ただここでも,がんばり過ぎてシャフト折っちゃったら,くたびれたスペアしかないし明日がアウトになる。決して無茶はしないよう肝に銘じて。これはあくまで公開「練習」だからね。
3・・・2・・・1・・・GO!
1本目と同じくスターターのお兄さんがキビキビとフラッグを振ってくれます。
どさささささっ!
1本目と同じくらいのホイールスピンでスタート。
イトウ工業を回って360度...うん,1本目よりはいいカンジ。
島を左回り...そしてオニギリを左回り...うん,1本目よりもタイトに回れた。
それに,やっと身体が競技走行を思い出し始めたというか,頭で考えなくても身体が自然に動くカンジになってきた。何せ1ヵ月半ぶりだったからね。いいぞ,いいカンジだ。
外周でも,少し狙って縁石に多めに乗ったり,コース幅ギリギリまで寄ってみたりしてみる。
よし,よし!
だいたい自分の狙った通りにデミ助が動いてる。リアの動きも見えてるし,縁石で跳ねたり路面のうねりであおられたりしてもSオーリンズがしっかりタイヤを路面に押し付けてくれてる。
よーし,上出来!
そんな感じでゴール。タイムは1本目から1.2秒アップ。路面温度が上がってタイヤが朝より食うようになったのもあるけど,自分のポテンシャルを1本目よりも出せるようになってきた。まだ「乗れてる」ってところまでは行ってないけど,ちょっとそれに近づいた。
...ただ,これだけタイムを上げても順位は3位。
1位は近畿チャンピオン・ライムM君が1.4秒アップでぶっちぎり。2位はやはりU飼選手が確実にタイムを上げてきた。ピヨピヨヴィッツM君が2本目うっかりミスコースでタイムを残せなかったのでおとーさんが3位に入ったけど,彼が走りきっていれば確実に負けていただろう。
おとーさんとライムM君との差は1本目よりさらに広がって1.7秒差。まだギリギリまでは攻めてないものの,今の走りは自分としては結構いいカンジだった。それでこの差はちょっと厳しい。特に自分では絶対の自信のあったコース後半の外周の部分だけでも彼に0.5秒負けてるし。
やはりフツーに「がんばって走りました」ぐらいでは勝負にならない。
何かスペシャルなもの,しかも飛び切りスペシャルな何かがないと勝てない。
間違いない。これは「全日本」だ。
「併催クラス」なんて言ってるけど,これは確実に「全日本」だ。
それが証拠に,この公開練習のS1500クラスのタイムは,ばりばりの全日本ドライバーが同じデミオで走るPN1クラスと全く同じタイムだ。向こうはロールケージが入っててマウント類がノーマルという違いはあるけど「Sタイヤ」だからね(サイズが1サイズ小さいけど)。それでどっこいのタイムということは,こっちのクラスもすごく速いということだ。
・・・・・・
トップとの差にはいささか凹みますが,何,これはまだ公開練習。ライバルだってみな結構いっぱいいっぱいで走ってるかもしれない。でもおとーさんにはまだわずかながら余力がある。
本番は明日。とにかく明日自分のベストを出し切ること。
焦るな,凹むな...自分に何度も言い聞かせ必死で冷静さを保ちながら,明日に向けて公式車検や持ち出し申請などの手続きを進めます。
そしてだいぶ日が傾いてきた頃,公開練習のスケジュールが全部終わり,いよいよ明日の本番のコース発表と慣熟歩行となります。スタート地点でJMRC近畿の誇る美人レディースドライバーさんよりコース図をもらって歩き始めます。
しかしコース図に目を落としたおとーさん,足が止まってしまいます。
こ,これは...
キタ━━━━━━\(T▽T)/━━━━━━ !!!
そう,冒頭に書いたおとーさんの宝物。
2005年の全日本@名阪でN2クラスの佐川選手が見せてくれた珠玉の「神」走り。
あの逆Z字とほぼ同じコースレイアウト。その前後の部分もたまたま同じ。
...そうだよ。これ。こんなコースを走りたかったんだ。ずっとずっと走りたかったんだ。
...夢にまで見たあのコース。いつも頭の中でシミュレーションしてたあのコース。
気がついたらおとーさん泣いてました。
アホですね。コース図見て感動して泣くヤツがどこにいる(笑)。
でもね,本当に嬉しかったんです。全日本に来て良かった。本当に良かった。こんな凄いコースを走らせてもらえる。そして明日は実際にN2クラスの佐川選手の生の逆Zをこの目で見られる。嬉しい! すっごい嬉しい!
そしてコースの他の部分もおとーさん好みの設定に変わってる。左のリアがサイド時に効き難いため,今日の公開練習では右360度ターンが非常にストレスでしたが,明日の本番は左のターンがメイン。これならしっかりトラクションをかけながら曲がることができます。
よーし行ける。これなら行ける。っつーかこれで行かなければ男じゃねえ。
この逆Z字はS1500の他の誰よりも速く抜けられるはず。いや絶対に抜けてやる!
燃えてきた〜! めっちゃ燃えてきた〜!
この時おとーさんにはジムカーナの女神の姿がコースの向こうにチラリと見えた気がしました。
おとーさんの方を見てフフフと不敵な笑みを浮かべているように見えました。
※この2つのパイロンが逆Z字を形成する。
決勝コースの慣熟歩行中にはAZUR星人さんにも声をかけていただき,一言だけですが貴重なアドバイスをいただきました。これで最後に残ってた迷いが吹っ切れました。さあもうこれで思い残すことはありません(笑)。明日は自分とデミ助の持てる力の全てをこの素晴らしいコースにぶつけるだけ。
後片付けもそこそこにコースを出て,家に帰ってロガーの分析も後回し,とにかく件の見慣れた動画,佐川選手の逆Zを何度も何度も繰り返し再生し,自分の頭の中に最速の逆Zの走行イメージを作ります。晩飯を食ってる間も,娘と風呂に入ってる間も,頭の中はずーっとあのコースを走ってます。
このまま,コースを走りながら眠りにつこう。
もう「全日本を走る資格が...」とか言わないぞ。
明日は,勝つ。
勝ちに行く。
全日本だろうが何だろうが,あのコースを走るんであれば,絶対誰より速く走る。
今日温存した気力体力を全て使い果たして,明日は全力で勝ちに行く。絶対に負けねえ!
<おとーさんの宝物(その2)〜全日本@名阪〜に続く>
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おとーさんの宝物(その1)〜全日本@名阪〜
おとーさんの所持するお宝には,初代インテのステアリングとか,約15年前にAVクラスをSWで走ってた時のトロフィーとか,不惑インテ号のキーとか,ガラクタみたいな品物に加えてパソコン上のいくつかの動画ファイルがあります。
お宝の動画ファイルって言っても,小林ひとみがどうとか(古ぅ),愛染恭子がどうとか(いつの話やねん),せめて朝岡実嶺とか(もういいって)...じゃないよ。ちゃんとしたクルマ関連の動画ファイル,要するに走行動画です。
そのうちの一つはこんなの。
...陽光の眩しいピーカンの名阪スポーツランドCコース。
オニギリから外周を逆走してきた赤いDC2インテグラが,凄まじい勢いで観客席前に突っ込んできてイトウ工業コーナーをクリア,すぐにある小さな島をするっと左にターン,そして広場に入ってすぐのパイロンを今度は右にくるっと巻いて,タイヤを軋ませながら最終コーナーに向けて猛ダッシュして行く...
...時間にすればわずか十数秒間の出来事です。
これはもちろん自分の走行動画なんかではありません。2005年の全日本第2戦@名阪Cコース,赤いDC2インテでN2クラスを戦っておられた佐川選手の走行動画です。
初めてこの走りを見た時,本当に鳥肌が立ちました。
「感動」なんていう甘いモンじゃない。「衝撃」。
すごい...本当にすごい。
速さはもちろんのこと,走りのキレといい流れといい,凄腕揃いの全日本選手の中でも際立っている。そしてこのターンの精度の高さ。パイロンまで本当に5cmぐらいしかないんじゃないか,っていうところを思いっきり加速しながら抜けて行ってる。どうやったらこんなことができるのか...人間技じゃねえ!って思いましたよ。
それ以来,この動画はおとーさんの宝物になりました。
デスクトップにショートカットを置いて,ヒマな時にはいつもこの走りを眺めてました。
特に上に抜粋したこの名阪Cコースのイトウ工業コーナー手前の島とパイロンを逆Z字型にクリアしていく部分は,おとーさんにとって...何て言うんでしょう...お手本,いやそんなヌルいモンじゃなく,走りのバイブルというか,神の境地というか,いつかこの走りに少しでも近づけたら,という究極の目標として輝き続けてきたんです。
自分ならこうやって走るかな...いや,こっちでサイド引いて,向こうでは引かないとか...イトウ工業もインを大胆にカットするか,グリップのいい外側を通るか...いろいろ考えながらも目を閉じるといつでも佐川選手の鮮やかな逆Zが目に浮かびます。
ですから近畿のミドルや地区戦でも,この動画と同じイトウ工業手前の逆Z字パターンを本番コースとしていつか走りたいなと思ってたんですが,なかなかコースとして設定されることはなく今日に至ってました。
・・・・・・
前回のdiaryでいささか情けない話を書いて,みなさまにはいろいろご心配をおかけしたりお叱りを受けたりしましたが(笑),おとーさんの中ではやはり,全日本はこういう神技の領域に入ったドライバー達が極限の速さを競うところ,という認識があります。
三十路最後の年に不惑インテ号をゲットしてジムカーナに復帰したおとーさんにとって全日本とは,50歳になるまでに,不惑の年齢のうちに,1度でも出場したい,そういうものでした。つまり「全日本出場」がこの「Project不惑」のゴールの一つだったんです。
不惑インテ号をクラッシュで失い,このゴールにはもう永遠にたどり着かないかなと一時は思いました。何とかデミ助を得てジムカーナに復帰はできたものの,JAFはラジアルタイヤのクラスをなかなか正式クラスとして認めず,せっかくできたPNクラスもSタイヤのクラスで,これまたゴールは遠のきました。今さらSタイヤでガンガン走る経済力はありません。
そうこうするうちに実年齢は45歳になり,不惑の年代も半分が終了。しかも来年はお仕事の関係で1年間活動休止となります。地区戦にS1500ができたのはいいけど,いつになったら地区戦で良い成績を残して全日本に堂々と出られるのか...
...もう,こりゃ無理かな(汗)。
なんて思ってた時に,唐突に全日本出場の話が出たわけです。
ずっとずっと女神様のように崇め,憧れていた女の子と首尾よく一夜を共にすることになったオッサン。「いや,そんな,私なんかにはもったいないですから」とか「キミを汚したくないから」とかヘンな意地を張って無理にヤセ我慢を決め込むのか,ツベコベ言わず美味しくむしゃむしゃいただくのか(笑)。
...ま,とりあえず美味しくいただくことにしましたが(爆)。
でもおとーさん,諦めかけていたゴールが思ったよりも早くあっさりと目の前に現れた時,素直にそこに飛び込めるほど器用ではありません。あれこれ理屈をこねて戸惑う自分を納得させる作業が必要でした。自分には全日本を走る資格があるのか,全日本にそんなに簡単に出てしまっていいのか...結局出場するんだから,悩む必要なんかないのにね(笑)。
・・・・・・
ということで,まだ何となく冴えない,まとまらない気持ちで当日の朝を迎えました。
本当は金曜日から練習走行が始まってるんですが,金曜日なんか絶対に仕事休めないおとーさんは,土曜日の公開練習から会場入りです。
競技走行自体が3月初旬の開幕戦から1ヵ月半ぶり。その間,練習会すら走ってない。いつもはその分,峠に残業に行ったりしてるけど,今回はそんなヒマもなし。本当のぶっつけ本番。
大事なことは,いかに土曜日の公開練習2本で,体力を温存しながらも競技走行のカンを取り戻し,日曜日の2本に全力を出し切れるように自分の体力気力を持って行くか,だな。「走り」だけじゃないマネージメント力というか自己管理能力が問われる。
土曜日の空模様は超・ビミョー。時々晴れ間がのぞくものの,ほとんど雲が空を覆っていて気温は終始低いまま。にわかに空が暗くなったかと思うとバラバラ雨が降ってきたり,あろうことか4月の下旬だというのに空から白いものが降ってきて,よく見ると小粒の雹(ひょう)だったり。相変わらずあり得ねえお天気だ,名阪スポーツランド。
※テント持ってきて正解でした
デミ助のコンディションも絶好調とは言い難いカンジ。何とかフットブレーキの時のリアブレーキの当りは出ましたが,サイドを引いた際には左側の効きが今ひとつで片効きっぽいカンジになる。ただ,ここに来て今さらブレーキドラムを開けるわけにはいかない(開けると一時的に効きが落ちるので)。もうこのまま行くっきゃない。何とかなるよ...っつーかこれぐらい自分の腕で何とかカバーしろ!おっさん!
公開練習のコースは,走りだしてすぐに360度ターンがあるものの,全体的にはシンプルなコース。ミドル戦よりはちょっと長いかなというぐらい。明日の本番はこうはいかないだろうな,っていう匂いがプンプン(笑)。
昨年のJAFカップの時は,何も考えず前日の公開練習からフルパワーで気合入れまくってしまい,慣熟歩行も時間いっぱい無理やり歩いたり走ったりして無駄に体力と気力を消耗してしまった。そう,こういう2daysのビッグイベントでは1日目と2日目のエネルギー配分が重要。
幸いここ名阪Cコースはおとーさんにとって地元も地元。3月初めの地区戦から1ヵ月半以上走ってないとはいえ,1年に何回も走ってるコース。自分の家の庭,とまでは言わないものの,ご近所の家の庭みたいなモン。必死でコース全体をトレースしなくても攻略は組み立てられる。明日のためにエネルギーを温存しながら重要ポイントだけを重点的にチェックします。
デミオにとっては1速か2速かギアの選択に迷うコーナーがたくさんあります。とりあえず「迷ったら一つ高いギアに」という原則に従って2速で走ることにします。去年のミドルでも,この3月のミドルでも,1速か2速かで迷ったら2速で走るという原則で大きな問題はなかったし。
S1500クラスは全体の一番最初に走ることになってます。おとーさんはゼッケン5番。
因みにゼッケン1番は中部から遠征のヴィッツ乗りU飼選手。かつてN1クラスで全日本にフル参戦,ポイントも取ってるバリバリの全日本ドライバーです。
ゼッケン2番も中部から遠征のコルト乗りO内選手。この方もベテランで中部のS1500では地区戦の上位常連ドライバー。昨年のJAFカップでも活躍されてました。
ゼッケン3番は昨年12月の「S1500日本一決定戦」で見事日本一になったデミオのM田選手。今年も3月の中部地区戦開幕戦で早速1勝されてます。
そしてゼッケン4番がいつも一緒に走ってるコルト乗りとのちゃん。今回はリア用のスプリングをいっぱい持ち込んでます。気合入ってますね〜
ゼッケン5番がおとーさんで,そして6番が昨年のJAFカップを制したこちらもS1500日本一のピヨピヨヴィッツM選手。彼もこの4月初めの地区戦で早速優勝されてます。
で,7番のS1500クラス最終ゼッケンが我らが近畿チャンピオン・ライムM君。彼も全日本に向けてすごい気合入ってるっぽい。
...うーん,鉄壁のオーダー。速い人ばっかりじゃん。関東地区戦チャンプのK山さんがいないのが残念だけど,これはこれで十分S1500日本一を競うのにふさわしいメンバーだ。併催クラスとはいえさすが全日本。これはちょっと気を抜いたりミスしたりすれば即・ビリ確定です。
・・・・・・
1本目スタート時の路面温度は極低温。吐く息も白くなるような状況の中でスタート。JMRCで顔見知りのお兄さんがキビキビと気持ちのいい動きでスタートフラッグを振ってくれます。
ずさささささっ!
若干ホイールスピン多めでスタート。
スタートしてすぐのイトウ工業コーナーでリアがすっ飛ぶかと思いきや,意外とリアはしっかりグリップしてます。さすがR1R,こういう低温路面でのグリップは別格です。
立ち上がってすぐの360度は旋回ウンヌンよりも立ち上がり重視で。
左のサイドが効き難いためシャフト破損が心配でしたが,路面の低温が幸いしました。
立ち上がってすぐに島を大きく左回り。ここはとにかく回転半径を小さく。そのためには進入でがんばり過ぎないで,いったん速度を落として全体を加速しながら回って行くカンジ。
で,次はオニギリを左にグルっと回り込みます。このあたりはミドルでも地区戦でもちょくちょく出てくるレイアウトなんですが,1本目は欲張りすぎてオニギリの頂点でアンダーになり,オニギリ脱出の手前が外に膨らみ過ぎてタイムロス。
さあ,あとは旧・最終コーナーを折り返してストレートをかっ飛ばし,外周をぐるっと回ってくるだけ。全日本ではよく出てくるパターンです。コースとしては単純ですが3速全開から飛び込むイトウ工業コーナーやS字コーナーはシビレます。ミドルなんかでは車速が高くなり過ぎて危険なためかあまり出てこないコースです。
ただ,おとーさんはインテグラの時代からこの外周は得意。幅が1.5車線ぐらいの狭い峠道を無理やり平面化したようなこのコース,誰よりも「踏んで」駆け抜けられる自信があります。
1速か2速か迷う部分は2速のままで,とりあえず「踏み切って」走りますが,今日は公開練習。明日の本番を前にクラッシュしたり転倒したりしたら意味ない。S字ではちゃんとブレーキングして,コース幅いっぱいは狙わず,自分の力の100%は超えない走りでゴール!
公開練習1本目のタイムはトップから1.5秒遅れの4位。
...まあ,こんなモンかなってカンジ。
でもトップは近畿チャンプ・ライムM君だからおとーさんももうちょっとがんばらないといけない。全日本ドラU飼選手はPTで沈んだだけで,生タイムはトップ,2本目には確実に上がってくる。この4位は実質5位っていうこと。
デミオのM田選手も,タイヤがR1Rではないので路面温度が上がる2本目には確実にタイムを縮めてくる。コルトのとのちゃんもセッティングをあれこれいじってるっぽいので,セッティングがはまればガーンと上がってくる可能性あり。
・・・・・・
お昼になってもお天気は超。ビミョー。
雨がさーっと降って来て路面がハーフウェットになったかと思うと,バラバラと小粒の雹(ひょう)が降ってきたり,そうかと思うと急に太陽の光が差し込んできて汗ばむようなカンジになったり,ワケ分からんお天気だ。まあ,ここ名阪スポーツランドはいつもこうだけど。せめて明日の本番ではこういうお天気はやめて欲しいなあ。
※不思議な空模様。みんな4月下旬とは思えない厚着してます。
路面温度も,陽が射してくると15℃ぐらいまで上がりますが,雨や雹が降ってくると10℃以下に下がってしまいます。ただ,完全なウェットにはならないのでセッティングはドライのまま。
45歳のおとーさんとしては慣熟歩行を必死でがんばって体力を使い切ってしまうよりも,明日に向けて体調を崩さないよう,しっかり食べてしっかり水分をとって,こむら返り起こさないように予防薬(漢方)のんで,上着はこまめに脱いだり着たり,シューズは履く前にちゃんとヒーターで温めておいて...なんか本格的にジジイみたいですが,45歳となるとこういった走ること以外の配慮が大事なんですよ。悪いかぁ!(笑)
さてさて程よく気合が入ってきたところで公開練習2本目。
最初の右360度の進入ラインを変えて,オニギリでアンダーになったところをしっかり抑えて,あとは1本目が自分の力の90%だとすると,今回は95〜97%ぐらいまでがんばろう!
ただここでも,がんばり過ぎてシャフト折っちゃったら,くたびれたスペアしかないし明日がアウトになる。決して無茶はしないよう肝に銘じて。これはあくまで公開「練習」だからね。
3・・・2・・・1・・・GO!
1本目と同じくスターターのお兄さんがキビキビとフラッグを振ってくれます。
どさささささっ!
1本目と同じくらいのホイールスピンでスタート。
イトウ工業を回って360度...うん,1本目よりはいいカンジ。
島を左回り...そしてオニギリを左回り...うん,1本目よりもタイトに回れた。
それに,やっと身体が競技走行を思い出し始めたというか,頭で考えなくても身体が自然に動くカンジになってきた。何せ1ヵ月半ぶりだったからね。いいぞ,いいカンジだ。
外周でも,少し狙って縁石に多めに乗ったり,コース幅ギリギリまで寄ってみたりしてみる。
よし,よし!
だいたい自分の狙った通りにデミ助が動いてる。リアの動きも見えてるし,縁石で跳ねたり路面のうねりであおられたりしてもSオーリンズがしっかりタイヤを路面に押し付けてくれてる。
よーし,上出来!
そんな感じでゴール。タイムは1本目から1.2秒アップ。路面温度が上がってタイヤが朝より食うようになったのもあるけど,自分のポテンシャルを1本目よりも出せるようになってきた。まだ「乗れてる」ってところまでは行ってないけど,ちょっとそれに近づいた。
...ただ,これだけタイムを上げても順位は3位。
1位は近畿チャンピオン・ライムM君が1.4秒アップでぶっちぎり。2位はやはりU飼選手が確実にタイムを上げてきた。ピヨピヨヴィッツM君が2本目うっかりミスコースでタイムを残せなかったのでおとーさんが3位に入ったけど,彼が走りきっていれば確実に負けていただろう。
おとーさんとライムM君との差は1本目よりさらに広がって1.7秒差。まだギリギリまでは攻めてないものの,今の走りは自分としては結構いいカンジだった。それでこの差はちょっと厳しい。特に自分では絶対の自信のあったコース後半の外周の部分だけでも彼に0.5秒負けてるし。
やはりフツーに「がんばって走りました」ぐらいでは勝負にならない。
何かスペシャルなもの,しかも飛び切りスペシャルな何かがないと勝てない。
間違いない。これは「全日本」だ。
「併催クラス」なんて言ってるけど,これは確実に「全日本」だ。
それが証拠に,この公開練習のS1500クラスのタイムは,ばりばりの全日本ドライバーが同じデミオで走るPN1クラスと全く同じタイムだ。向こうはロールケージが入っててマウント類がノーマルという違いはあるけど「Sタイヤ」だからね(サイズが1サイズ小さいけど)。それでどっこいのタイムということは,こっちのクラスもすごく速いということだ。
・・・・・・
トップとの差にはいささか凹みますが,何,これはまだ公開練習。ライバルだってみな結構いっぱいいっぱいで走ってるかもしれない。でもおとーさんにはまだわずかながら余力がある。
本番は明日。とにかく明日自分のベストを出し切ること。
焦るな,凹むな...自分に何度も言い聞かせ必死で冷静さを保ちながら,明日に向けて公式車検や持ち出し申請などの手続きを進めます。
そしてだいぶ日が傾いてきた頃,公開練習のスケジュールが全部終わり,いよいよ明日の本番のコース発表と慣熟歩行となります。スタート地点でJMRC近畿の誇る美人レディースドライバーさんよりコース図をもらって歩き始めます。
しかしコース図に目を落としたおとーさん,足が止まってしまいます。
こ,これは...
キタ━━━━━━\(T▽T)/━━━━━━ !!!
逆Z字キタ━━━━━━━━━ !!!!
そう,冒頭に書いたおとーさんの宝物。
2005年の全日本@名阪でN2クラスの佐川選手が見せてくれた珠玉の「神」走り。
あの逆Z字とほぼ同じコースレイアウト。その前後の部分もたまたま同じ。
...そうだよ。これ。こんなコースを走りたかったんだ。ずっとずっと走りたかったんだ。
...夢にまで見たあのコース。いつも頭の中でシミュレーションしてたあのコース。
気がついたらおとーさん泣いてました。
アホですね。コース図見て感動して泣くヤツがどこにいる(笑)。
でもね,本当に嬉しかったんです。全日本に来て良かった。本当に良かった。こんな凄いコースを走らせてもらえる。そして明日は実際にN2クラスの佐川選手の生の逆Zをこの目で見られる。嬉しい! すっごい嬉しい!
そしてコースの他の部分もおとーさん好みの設定に変わってる。左のリアがサイド時に効き難いため,今日の公開練習では右360度ターンが非常にストレスでしたが,明日の本番は左のターンがメイン。これならしっかりトラクションをかけながら曲がることができます。
よーし行ける。これなら行ける。っつーかこれで行かなければ男じゃねえ。
この逆Z字はS1500の他の誰よりも速く抜けられるはず。いや絶対に抜けてやる!
燃えてきた〜! めっちゃ燃えてきた〜!
この時おとーさんにはジムカーナの女神の姿がコースの向こうにチラリと見えた気がしました。
おとーさんの方を見てフフフと不敵な笑みを浮かべているように見えました。
※この2つのパイロンが逆Z字を形成する。
決勝コースの慣熟歩行中にはAZUR星人さんにも声をかけていただき,一言だけですが貴重なアドバイスをいただきました。これで最後に残ってた迷いが吹っ切れました。さあもうこれで思い残すことはありません(笑)。明日は自分とデミ助の持てる力の全てをこの素晴らしいコースにぶつけるだけ。
後片付けもそこそこにコースを出て,家に帰ってロガーの分析も後回し,とにかく件の見慣れた動画,佐川選手の逆Zを何度も何度も繰り返し再生し,自分の頭の中に最速の逆Zの走行イメージを作ります。晩飯を食ってる間も,娘と風呂に入ってる間も,頭の中はずーっとあのコースを走ってます。
このまま,コースを走りながら眠りにつこう。
もう「全日本を走る資格が...」とか言わないぞ。
明日は,勝つ。
勝ちに行く。
全日本だろうが何だろうが,あのコースを走るんであれば,絶対誰より速く走る。
今日温存した気力体力を全て使い果たして,明日は全力で勝ちに行く。絶対に負けねえ!
<おとーさんの宝物(その2)〜全日本@名阪〜に続く>
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