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2009年 > 5月17日
S1500ノススメ
気がつくともう5月も半分終ってますね。
「diary」のはずなのに更新が滞りがちで恐縮です。
今日は名阪でミドル第3戦をやってますが,娘の日曜参観と見事にバッティングしたためおとーさんは不参加です。まあ私が参加しようとしまいとS1500クラスの大勢に変わりはないわけですが(笑),お天気が悪いのでみなさん安全には気をつけて走って欲しいものです。
さて。
先月からあちこちのblogのネタになってますし,既にPD誌6月号などにも大々的に取り上げられている話題ですが,ここでもう一度,4月にJAFから発表された「PNクラス」について考えてみたいと思います。
さる4月10日,JAFのモータースポーツ部会から,ジムカーナ全日本選手権の今後数年間のクラス区分が発表されました(JAF モータースポーツ公示 2ページ目以降参照)。
これはあくまで「全日本シリーズ」のクラス分け規定ですが,各地の地区戦シリーズもこれにならって同じクラス分けになる可能性が大ですし,結局はそれ以下のミドルシリーズや県戦などフレッシュマンシリーズもこれに影響されたクラス分けになってくるため,日本ジムカーナ界の今後の方向性を示すものとして非常に重要なものです。
昨年,ライセンス所持者を対象にクラス分け区分についてアンケートが実施されたのを覚えておられますか?(→昨年4月20日のdiary「2010年以降のクラス区分について」)
今回導入された新クラス規定は,このアンケートの時に試案として提示されたクラス区分からは大きく変更になっており,アンケートの回答結果を反映したものになっているようです。一方的なトップダウンではなく,私たち実際に競技に参加している現場の声が中央の部会にまで届いたわけで,この点,大きく評価されるべきだと思います。
新しいクラス区分の中では,昨年のクラス区分試案の中で最も抵抗の大きかったと思われる「10年以上前の古いクルマは走らせない」という年式制限は採用されず,90年代の古き良き時代のクルマもまだまだ堂々と走れることになりました。またN車両,SA車両,SC車両,D車両という現在のクラス区分もそのまま今後3年間は維持されることになりました。
本当はJAFはもっと「改革」「変革」を打ち出して行きたかったのだと思いますが,昨今の自動車業界・モータースポーツ界への逆風の中で,あるいは世間全体の不景気の中で,今大きな改変を行うことは,結局,競技参加者の大幅減少と草モータースポーツ競技の衰退にしかつながらないと考え,とりあえず「現状維持」を今回の新クラス区分の中心にしたのだ,と感じました。これは個人的には(現時点では)大正解だと思います。
そして今回のクラス区分改訂の中で最大の焦点は,現在各地で盛り上がりつつある,おとーさんも参戦中の「スーパー1500クラス(S1500)」が,全日本のクラス区分にも取り入れられるか,だったわけですが,これに対する回答としてJAFは,従来のクラス区分にプラスして「PNクラス」という区分を追加・新設し,これに伴って「PN車両」という車両規定を発表しました。
またPNクラス内は,
と,駆動形式と排気量(気筒容積)1600ccを境目にして3つのクラスに分かれています。
そしてまた,このクラスに参加できるのは「2006年以降にJAF登録された車両」という年式制限が設けられています。このあたり,S1500と同じく最近のクルマに活躍の場を与えようというコンセプトを感じますね。
「PN車両」の車両規定については,現在の「N車両」の改造制限をさらに厳しくして,従来ほとんど機能していなかった「P車両」の車両規定をより現実的にしたもの,P車両とN車両の中間の車両規定,と言えるでしょうか。
すなわち,
エンジン回り → エアクリ,プラグ,プラグコードのみ交換OK,バッテリーは消耗品として交換OK(純正同等品)
足回り → 車高調ショック,直巻バネ,ブレーキパッド・シューのみ交換OK
駆動系 → LSD,クラッチディスク・カバーのみ交換OK,ドライブシャフトは同一車両型式内で流用可
タイヤ・ホイール → 交換OK(SタイヤもOK)だが,純正のサイズから変更不可!
車体 → エアロ・スポイラーOK(N車両と同じ),軽量化はカタログ値まで
室内 → シート,シートレール,ステアリング,シフトノブ交換OK,メーター類,フットレスト,ペダルカバー装着OK,ロールバー推奨
などとなっており,改造範囲を狭めることで,低コストでイコールコンディションになることを目指しているようです。これもコンセプトとしてはS1500クラスと同じですね。
ただ,S1500車両のベースとなっているN車両の車両規定とは違うところもあります。
N車両やS1500車両ではOKだった,ラジエーターキャップ,ストラットタワーバー,ブッシュ・マウント類の交換はNGです。N車両ではOKだった軽量フライホイールやファイナルの交換もダメです。逆に,S1500ではご法度である軽量化のためのエアコン取り外しはOKっぽいです。
そして何より最大の違いが,PNクラスではSタイヤ使用OK,かつ,タイヤ・ホイールのサイズは純正サイズから変更不可ってことです。
Sタイヤというのは,公道走行可能とはいえ用途の限られた特殊なタイヤですから,あんまりいろんなサイズのラインナップがないんですね。つまりそのクルマの純正のサイズでどこかのメーカーからSタイヤが発売されてなければ,そのクルマは全く勝負圏外ってことになります。
勝敗は抜きにしてとりあえずPN1クラスの対象になりそうなクルマは,現行デミオ,現行コルト,現行フィット,現行スイフトスポーツなどで,現在のS1500クラスの主流車からJAF登録年の制限でヴィッツRSが抜けて,1600ccのスイスポが加わったメンツになります。
しかしこの中で純正装着タイヤと同じサイズのSタイヤが存在するのは「スイスポだけ」,なんですね。デミオの純正サイズ195/45-16や175/65-14に一致するSタイヤは存在しません。もちろん一般のスポーツラジアルでSタイヤには「絶対」勝てません。
つまりタイヤに関する規定がこのままであれば,Sタイヤのラインナップが増えない限り確実に「PN1クラスはスイスポのワンメイクのクラスになる」ってことです。
もしこの新しいPNクラスの意図したものが,S1500と同じく,最近の安くてそこそこ走れるクルマに活躍のチャンスを与え,また車種の選択範囲を広げることで競技参加者の裾野を広げて行きたい,ってことなんだとしたら...
そのために年式制限や改造範囲の制限などS1500車両を意識した車両規定を設定したんだったら...なぜこんなタイヤ規定になっているんでしょうか? 意味分からん。
要するにスイスポのワンメイクのクラスを作りたかっただけちゃうんかと,おとーさんは問い詰めたい。1週間ぐらい問い詰めたい(笑)。
S1500大好きな自分としては「換骨奪胎」という言葉が思い浮かびます。S1500のエエことだけ持って行って,現行S1500ドライバーは蚊帳の外ですか,そうですか。
っつーか,クルマができてしまったら,後は一番お金かかるのはSタイヤなんだよ。それにSタイヤだからこそシャフト折れたり車体の補強が必要になったりすんだよ。いったいいつまでSタイヤで走らせるんだよ〜
・・・・・・
もちろんスイスポというクルマには何の悪いイメージも持っていませんし,スイスポのドライバーの方にも恨みはありません。スイスポが全日本で走れるチャンスを得たことは,それはそれで喜ばしいことです。
でも同じようなコンセプトでもってがんばってきたS1500のクルマを排除することもないと思うんですよ。せめて同じマワシで同じ土俵に上がらせてよ。
そのためにはタイヤの規定を「サイズダウンはOK」ってしてくれるだけでいいんだけど。
まあでも,できたばかりの規定だからJAFもそうすぐには変えないでしょう。
今,私達にできることは現行のS1500をがんばって盛り上げていくことだけです。
S1500が全国で盛り上がっているという既成事実でもってJAFに訴えていくしかありません。
そういう思いでもって「お買物車でモータースポーツしよ!〜S1500ノススメ〜」というコンテンツをアップしました。今後,S1500クラスに参加する人が少しでも増えて,地方のジムカーナが盛り上がって行けばいいなと心から思います。この拙いサイトがほんの少しでもその手助けになれば良いんですが。
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S1500ノススメ
気がつくともう5月も半分終ってますね。
「diary」のはずなのに更新が滞りがちで恐縮です。
今日は名阪でミドル第3戦をやってますが,娘の日曜参観と見事にバッティングしたためおとーさんは不参加です。まあ私が参加しようとしまいとS1500クラスの大勢に変わりはないわけですが(笑),お天気が悪いのでみなさん安全には気をつけて走って欲しいものです。
さて。
先月からあちこちのblogのネタになってますし,既にPD誌6月号などにも大々的に取り上げられている話題ですが,ここでもう一度,4月にJAFから発表された「PNクラス」について考えてみたいと思います。
さる4月10日,JAFのモータースポーツ部会から,ジムカーナ全日本選手権の今後数年間のクラス区分が発表されました(JAF モータースポーツ公示 2ページ目以降参照)。
これはあくまで「全日本シリーズ」のクラス分け規定ですが,各地の地区戦シリーズもこれにならって同じクラス分けになる可能性が大ですし,結局はそれ以下のミドルシリーズや県戦などフレッシュマンシリーズもこれに影響されたクラス分けになってくるため,日本ジムカーナ界の今後の方向性を示すものとして非常に重要なものです。
昨年,ライセンス所持者を対象にクラス分け区分についてアンケートが実施されたのを覚えておられますか?(→昨年4月20日のdiary「2010年以降のクラス区分について」)
今回導入された新クラス規定は,このアンケートの時に試案として提示されたクラス区分からは大きく変更になっており,アンケートの回答結果を反映したものになっているようです。一方的なトップダウンではなく,私たち実際に競技に参加している現場の声が中央の部会にまで届いたわけで,この点,大きく評価されるべきだと思います。
新しいクラス区分の中では,昨年のクラス区分試案の中で最も抵抗の大きかったと思われる「10年以上前の古いクルマは走らせない」という年式制限は採用されず,90年代の古き良き時代のクルマもまだまだ堂々と走れることになりました。またN車両,SA車両,SC車両,D車両という現在のクラス区分もそのまま今後3年間は維持されることになりました。
本当はJAFはもっと「改革」「変革」を打ち出して行きたかったのだと思いますが,昨今の自動車業界・モータースポーツ界への逆風の中で,あるいは世間全体の不景気の中で,今大きな改変を行うことは,結局,競技参加者の大幅減少と草モータースポーツ競技の衰退にしかつながらないと考え,とりあえず「現状維持」を今回の新クラス区分の中心にしたのだ,と感じました。これは個人的には(現時点では)大正解だと思います。
そして今回のクラス区分改訂の中で最大の焦点は,現在各地で盛り上がりつつある,おとーさんも参戦中の「スーパー1500クラス(S1500)」が,全日本のクラス区分にも取り入れられるか,だったわけですが,これに対する回答としてJAFは,従来のクラス区分にプラスして「PNクラス」という区分を追加・新設し,これに伴って「PN車両」という車両規定を発表しました。
またPNクラス内は,
1600cc以下の2輪駆動 → PN1クラス
1600cc超の2輪駆動 → PN2クラス
4輪駆動 → PN3クラス
1600cc超の2輪駆動 → PN2クラス
4輪駆動 → PN3クラス
と,駆動形式と排気量(気筒容積)1600ccを境目にして3つのクラスに分かれています。
そしてまた,このクラスに参加できるのは「2006年以降にJAF登録された車両」という年式制限が設けられています。このあたり,S1500と同じく最近のクルマに活躍の場を与えようというコンセプトを感じますね。
「PN車両」の車両規定については,現在の「N車両」の改造制限をさらに厳しくして,従来ほとんど機能していなかった「P車両」の車両規定をより現実的にしたもの,P車両とN車両の中間の車両規定,と言えるでしょうか。
すなわち,
エンジン回り → エアクリ,プラグ,プラグコードのみ交換OK,バッテリーは消耗品として交換OK(純正同等品)
足回り → 車高調ショック,直巻バネ,ブレーキパッド・シューのみ交換OK
駆動系 → LSD,クラッチディスク・カバーのみ交換OK,ドライブシャフトは同一車両型式内で流用可
タイヤ・ホイール → 交換OK(SタイヤもOK)だが,純正のサイズから変更不可!
車体 → エアロ・スポイラーOK(N車両と同じ),軽量化はカタログ値まで
室内 → シート,シートレール,ステアリング,シフトノブ交換OK,メーター類,フットレスト,ペダルカバー装着OK,ロールバー推奨
などとなっており,改造範囲を狭めることで,低コストでイコールコンディションになることを目指しているようです。これもコンセプトとしてはS1500クラスと同じですね。
ただ,S1500車両のベースとなっているN車両の車両規定とは違うところもあります。
N車両やS1500車両ではOKだった,ラジエーターキャップ,ストラットタワーバー,ブッシュ・マウント類の交換はNGです。N車両ではOKだった軽量フライホイールやファイナルの交換もダメです。逆に,S1500ではご法度である軽量化のためのエアコン取り外しはOKっぽいです。
そして何より最大の違いが,PNクラスではSタイヤ使用OK,かつ,タイヤ・ホイールのサイズは純正サイズから変更不可ってことです。
※その後,2011年シリーズ以降は競技規定に若干の改訂があり,全日本のPNクラスはラジアルタイヤ(非Sタイヤ)で走るクラスになっています(2011年12月現在)。
Sタイヤというのは,公道走行可能とはいえ用途の限られた特殊なタイヤですから,あんまりいろんなサイズのラインナップがないんですね。つまりそのクルマの純正のサイズでどこかのメーカーからSタイヤが発売されてなければ,そのクルマは全く勝負圏外ってことになります。
勝敗は抜きにしてとりあえずPN1クラスの対象になりそうなクルマは,現行デミオ,現行コルト,現行フィット,現行スイフトスポーツなどで,現在のS1500クラスの主流車からJAF登録年の制限でヴィッツRSが抜けて,1600ccのスイスポが加わったメンツになります。
しかしこの中で純正装着タイヤと同じサイズのSタイヤが存在するのは「スイスポだけ」,なんですね。デミオの純正サイズ195/45-16や175/65-14に一致するSタイヤは存在しません。もちろん一般のスポーツラジアルでSタイヤには「絶対」勝てません。
つまりタイヤに関する規定がこのままであれば,Sタイヤのラインナップが増えない限り確実に「PN1クラスはスイスポのワンメイクのクラスになる」ってことです。
もしこの新しいPNクラスの意図したものが,S1500と同じく,最近の安くてそこそこ走れるクルマに活躍のチャンスを与え,また車種の選択範囲を広げることで競技参加者の裾野を広げて行きたい,ってことなんだとしたら...
そのために年式制限や改造範囲の制限などS1500車両を意識した車両規定を設定したんだったら...なぜこんなタイヤ規定になっているんでしょうか? 意味分からん。
要するにスイスポのワンメイクのクラスを作りたかっただけちゃうんかと,おとーさんは問い詰めたい。1週間ぐらい問い詰めたい(笑)。
S1500大好きな自分としては「換骨奪胎」という言葉が思い浮かびます。S1500のエエことだけ持って行って,現行S1500ドライバーは蚊帳の外ですか,そうですか。
っつーか,クルマができてしまったら,後は一番お金かかるのはSタイヤなんだよ。それにSタイヤだからこそシャフト折れたり車体の補強が必要になったりすんだよ。いったいいつまでSタイヤで走らせるんだよ〜
・・・・・・
もちろんスイスポというクルマには何の悪いイメージも持っていませんし,スイスポのドライバーの方にも恨みはありません。スイスポが全日本で走れるチャンスを得たことは,それはそれで喜ばしいことです。
でも同じようなコンセプトでもってがんばってきたS1500のクルマを排除することもないと思うんですよ。せめて同じマワシで同じ土俵に上がらせてよ。
そのためにはタイヤの規定を「サイズダウンはOK」ってしてくれるだけでいいんだけど。
まあでも,できたばかりの規定だからJAFもそうすぐには変えないでしょう。
今,私達にできることは現行のS1500をがんばって盛り上げていくことだけです。
S1500が全国で盛り上がっているという既成事実でもってJAFに訴えていくしかありません。
そういう思いでもって「お買物車でモータースポーツしよ!〜S1500ノススメ〜」というコンテンツをアップしました。今後,S1500クラスに参加する人が少しでも増えて,地方のジムカーナが盛り上がって行けばいいなと心から思います。この拙いサイトがほんの少しでもその手助けになれば良いんですが。
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