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2010年以降のクラス区分について


先日,日本のモータースポーツを統括するJAFから,2010年度以降の全日本ジムカーナ選手権のクラス区分「試案」が発表されました(→JAF・モータースポーツ公示)。ライセンス所持者を対象に,「幅広く意見を聞かせて欲しい」とのことなんですね。


あくまで全日本選手権のクラス区分です。

「全日本」なんて,おとーさんにとっては,まあ「死ぬまでに1度は出場してみたいもんじゃのぉ」っていうぐらいの雲の上の話ですが,実際にはこれをもとに各地区の地区戦もクラス分けされるわけで,地区戦になら何とか手の届きそうになってきたおとーさんにとっても決してカンケーない話ではない。というか,ミドル戦のクラス分けにも結局は影響してくるでしょうしね。


で,中身をじっくり見ますと「???」っていうところや「それはないでしょ〜」っていう突っ込みどころが結構ある。これをこのまま実行したらえらいことになる,日本のジムカーナはますます過疎化して廃れてしまうかもしれない...そんな不安を抱かせることが書いてある。

日本のジムカーナは既に絶滅の危機に瀕している。個人的にはそう思ってます。
まあ,まだレッドデータブックに載るまでには行ってないかもしれませんが,おとーさんが競技に復活してからの4年間でも,競技参加者は確実に減り続けてます(例えば近畿ミドルN2クラスの平均台数は2006年から毎年20.7台→14.1台→13.0台と大きく減ってます)。
近畿でも,フレッシュマンがなくなり,次はミドルがなくなり,地区戦も規模縮小...そんなことが絶対にないとは言い切れなくなってきてる,と思います。

今回のクラス分け試案も,そういう危機的状況を意識はしてるはずなんですが,何か違います。ハズしてます。よけい参加者が減るようなことばっかり書いてます。

いや,正直,デミ助やヴィッツ,フィットのような1500ccのクルマでこれから競技をしようという人には有利な内容になってるんですが,競技を止めてしまう人が続出して競技の存続そのものが危なくなってしまえば,そんなノンキなことは言ってられなくなりますよ。おとーさんだって不惑インテ号が事故ってなければ今でもDC2インテに乗ってるでしょうし,そうなると今回のクラス分け試案ではモロに津波をかぶる立場になるんですね。


ということで,日本のジムカーナを守るため! おとーさんも浅学非才を省みず,遠慮なく意見を送らせていただくことにしました(笑)。以下は,JAFに送る意見書の下書きのつもりです。

もちろんみなさんそれぞれに意見はあるでしょう。おとーさんの意見が最善なんて全く思ってません。これを読んで「アホか!」と思われる方,ぜひあなたのその意見をJAFに送りましょう。おとーさんの意見に賛同して下さる方も,ぜひそれをあなた自身の手でJAFに送ってやって下さい。JAFの部会に直接意見を言えるなんて,こんな機会は滅多にありません。何とかこの機会を生かして,日本のジムカーナを絶滅の危機から救いましょう!

※意見の送り先(郵送かFAXのみとのこと)→

郵送の場合:〒105-0012 東京都港区芝大門1-1-30
JAFモータースポーツ部スピード行事部会担当宛

FAXの場合:FAX番号:03-3578-4937 JAFモータースポーツ部スピード行事部会担当宛


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拝啓

新緑の候,JAFスピード行事部会の皆さまにおかれましてはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。私は近畿地区ジムカーナ・ミドルシリーズに参加している一競技者で,○○在住の○○と申します。

この度,2010年以降の全日本選手権シリーズのクラス区分「試案」が公表され,これに対して広く意見を募集されているとのことで,私のような地区戦にすら参加したことがないような素人がえらそうに物を言うのもおこがましいかとは思いましたが,試案の中身を読ませていただいて,どうしても意見を聞いていただきたくなりペンをとりました。素人の浅はかな考えかとは思いますが,素人なりに現在のジムカーナ界に対して危機感をもっています。皆さまに地方のジムカーナ,特に初級イベントの実情を知っていただく一助になりましたら幸いです。

残念ながら日本のジムカーナは現在危機的な状況にさしかかっている...個人的にはそう思ってます。

日本の経済や自動車産業界は21世紀に入りバブル崩壊後の一時期と比べれば少しずつ回復基調にあるようですが,ジムカーナ界ではA車両からN車両の時代に入っても参加者の減少が止らず,地方の競技会では台数不足でクラス不成立などは日常茶飯事ですし,シリーズそのものがなくなってしまったり,上位シリーズに統合されてしまったり,そんな例がゴロゴロしています。私自身が参戦していた近畿地区ミドル戦のN2クラスでも平均台数は2006年から毎年20.7台→14.1台→13.0台と大きく減ってます。比較的競技人口の多い近畿でも,フレッシュマンがなくなり,次はミドルがなくなり,地区戦も規模縮小...そんなことが絶対にないとは言い切れなくなってきてる,と思います。

このような現在の競技者人口の減少に歯止めをかけ,草モータースポーツの火を絶やさないためにも,今後の競技規定は基本的に参加者の選択肢を広げ,なるべく参加者が競技に「参加しやすくなる」方向をとるべきだと考えます。

もちろん,何らかの理念に基づき「あるべき競技の姿」を追い求めて規制を厳しくして行くという方向性もあり得ると思いますし,まさに今回の試案は,年次制限導入を検討されていることなどからも,参加者に対する制限を厳しくして行く方向に感じられます。
しかし参加者の選択肢を絞っていく方向では,競技者人口はますます減って行く一方ですし,そもそも今回の試案にはその理念,「あるべき競技の姿」というのが示されていません。N1クラスの排気量変更やSAクラスの統合など,「なぜそのようにするか」を明らかにしていただけなかったのは非常に残念です。


これらを踏まえて今回の試案に対する私の意見を述べます。


まず年次制限の導入には絶対に反対です。
古い車種を排除することには,新しい年式の車種に活躍の機会を与えるという意味はあると思いますが,年次制限が導入された時点で競技車を買い替えできる参加者は限られており,多くの参加者が競技への参加そのものを諦めてしまう可能性があります。

小生の周囲でも,車両価格の安い10年以上前のクルマで競技に参加することはごく当り前のことであり,古いクルマを直しながら,労わりながら,少ない予算で競技を楽しんでいる人が多くいます。もし年式制限が全日本から地区戦,ミドル戦にまで及んだら,多くの人が引退を決意するでしょう。競技参加者の減少は競技会・練習会の開催数の減少を招き,それがさらに参加者を減少させる悪循環になってスピード行事競技そのものに壊滅的なダメージを与えかねません。年式制限の導入には絶対に反対です。


N1クラスの排気量引き上げ(1600cc)に反対です。
これはおそらくD地区のS1500クラスや全日本ラリーの1.5クラスなど1500ccクラスの車両の活躍の場を意識した変更と思われます。この変更によりある程度このクラスへの新規参入者はあるかもしれませんが,たいていは他のクラスからの乗り換えであり,本来の競技参加者増加につながるかどうかは微妙でしょう。またこの変更により,現在のN1クラスの主力車種である1000ccのヴィッツはかなり分が悪くなるため,むしろ競技参加者減少のリスクの方が高いと思われます。

私としては,とりあえず2010年の時点ではN1クラスの排気量はそのままで,全日本ラリーのように1500cc車両を対象にした「N1.5クラス」を新設する方が競技者の選択肢を増やす方向につながり,ひいては競技参加者の減少を食い止め,わずかでも新規の参加者を増やすことに結びつくのではと考えます。現在各地区においてS1500クラス新設の動きがあります。これらへの参加台数の動向などを見ても2010年からの新クラスの設定には十分現実性があります。その後のN1クラスの状態を見て2012年からN1とN1.5の統合を検討されてはどうでしょうか。


SA1とSA2のクラス統合にも反対します。
これもSA1クラス主力車種の活躍の機会を奪うことになります。クラス統合に伴ってすぐ競技車を乗り換えられる人は限られており,多くの競技参加者が競技参加そのものを諦めてしまう可能性があります。
また純正部品の調達が難しくなってきた年式の古いN車両の受け皿としてもSAクラスは残しておくべきだと思います(年次制限が導入されないことを前提として)。もしSAクラスを縮小の方向に持っていくならば,N車両の車両規定を緩めていくことが必要でしょう。しかしこの場合,緩める範囲を慎重に検討する必要がありますが。


DクラスのSCクラスへの統合(2012年から)に反対します。
SCクラスの車両規定をどのように変更されていくのかが示されていませんが,現行のDクラスは競技の「華」の一つであり,フォーミュラ車の活躍の場をぜひ残して欲しいと思います。


レディスクラスの導入,SCクラスのSC1・SC2への分割には賛成します。 いずれも競技参加者の選択肢を増やすものであり,特にSCクラスの充実はナンバーのない改造車の車種選択肢が大きく広がり,NやSAクラスで走ることがが難しくなった古い車にも活躍の機会を与えられると思います。


また,これは車両規定に関することになりますが,タイヤの制限について私論を述べさせていただきます。もしSA車両がN車両に統合されなければ,の話ですが,N車両はラジアルタイヤに限定するという案はどうでしょうか。つまりN車両=スポーツラジアルタイヤ,SA車両=Sタイヤ,SC以上はスリックOKということになりますね。

昨今のタイヤ価格の高騰で,タイヤのコストは競技者にとって大きな負担となっています。しかし例え初級イベントであっても,勝つためにはどうしても新しいタイヤが欲しい,というのが人情で,初級レベルの競技者にとってはタイヤ代をどうするかが競技継続のモチベーションにも関わる大きな問題となっています。最近はG6シリーズやミドル戦のような初級イベントだけでなく地区戦でもラジアルタイヤ限定のクラスが設けられており,比較的エントリーが多くにぎわっているのはそういう背景があると思われます。

ラジアルに対してSタイヤの価格は若干割高になり,かつタイヤライフの面などからもコストが高くなることは言うまでもありません。またSタイヤだからこそ車両そのものにも負担がかかり,ドライブシャフトや足回りのコストにも影響する面があります。そもそも車体の補強やロールバーの必要性などもSタイヤでの走行を念頭に置いたものであるとすれば,Sタイヤを使うことでかかるコストには計り知れないものがあります。

ラジアルはSタイヤよりサイズも豊富です。これまでちょうど合うタイヤのサイズがないために戦闘力を十分に発揮できず参加を見合わせていた車両もJAF戦に参加できるようになるかもしれません。Sタイヤとなると敷居が高いけど,普段履いてるタイヤそのままで活躍できるんなら出場してみようかな,という人もきっといると思います。

一方で,Sタイヤを使わないことで生じるデメリットというのはあるのでしょうか?
少なくとも初級イベント参加者の目から見れば,ジムカーナの競技人口を考えると,N車でSタイヤを使わなくなってもタイヤ会社へのマイナスというのは極僅かなのではないかと思います。むしろ,より一般市場に近いスポーツラジアルへのフィードバックも増えますし,何よりもN車で競技参加している人にとってタイヤ代の負担が減るということは少しでも競技を続けるモチベーションにプラスには働かないでしょうか。

もちろん,Sタイヤ仕様からラジアル仕様にデチューンするのにコストがかかるという可能性はあります。しかしこれも,以前のA車からN車にする時のような大幅な変更が必要なわけではありませんし,少なくとも初級レベルの参加者はせいぜいショックの減衰とバネを変更する程度で対応可能なのではないかと思います。タイヤのランニングコストが減った分で十分まかなえる程度ではないかと思います。

年式制限よりもラジアルタイヤ制限の方を,ぜひご検討いただければと思います。


最後になりましたが,このように実際に競技に参加している人間の意見を広く募集されるということは非常に素晴らしいことだと思います。一方的なトップダウンではなく私達の意見がこれからのクラス区分や競技規定に生かされることを願っています。


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意見,長過ぎる? f(^-^;)


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