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鈴鹿でドラシャを折ってみる〜2009年ミドル開幕戦〜


先の日曜日,3月15日は待ちに待ったミドル開幕戦@鈴鹿サーキット南コースでした。

不惑インテ号をクラッシュで喪って苦節2年。
おとーさん,やっとミドル戦に帰ってきましたよ...長かった... (;´д⊂)


2年ぶりの復帰戦,そして今年度シリーズの開幕戦。
そしてその戦場は,決して嫌いではない鈴鹿南コース。

先日のdiaryで「勝つことにはこだわらず楽しもう」とわざわざ自分に誓ったおとーさんでしたが,ダメです。誰に何と言われようと,心の中は「勝ちたい」でいっぱい。勝って復帰戦を飾りたい,勝って今シーズンに弾みをつけたい,勝ってmy嫁様に「もう1戦走らせて」とお願いしたい(笑)...もう全身ガチガチに力入りまくりっすよ。

何とか「楽しく,楽しくやるんやぞ」と自分に言い聞かせて力を抜こうとしますが,ダメ。この全身にみなぎるフルパワ〜 (`・ω・´)ってカンジで。気がつくと手がブルブル震えてたりします。


でも。

公式戦は2年ぶり。ジムカーナの実戦そのものが去年5月のG6以来,というブランクがある中でそんなに力が入りまくって良い結果が出るわけがありませんわな...


結果は,

S1500クラス出走7台中の7位。


...つまりビリ






il||li _| ̄|○ il||li ガックシ

何でまた2年ぶりの復帰戦でわざわざ最下位ですか。
しかも,長...くはないけど,おとーさんのジムカーナ人生において初の最下位ですよ。

ジムカーナの女神様がおられるとしたら,おとーさんの復帰をあまり歓迎してくれてはいないようですね... (;´д⊂)

...まあ,泣いてても仕方ないので,反省を込めて今回の戦いを振り返ってみましょう。


・・・・・・

今から思うと,やはり直前になってから海老(ABS)を切ったのは大失敗でした。

練習会やミニサーキットの周回では,連続走行してリアタイヤがある程度温まった状態で走ってます。ところがジムカーナの公式戦というのはタイヤが冷え切った状態からゼロスタートの一発勝負。特にリアが軽いFF車ではリアタイヤが温まりにくいためグリップが低く,2-3番目のコーナーまではリアの挙動にかなり注意が必要です。

おとーさん,某所での練習では海老なしの状態で走れたため「何とかなるだろう」とタカをくくっていましたが,今回海老なしで鈴鹿南コースを初めて走ったところ,特にコース前半でリアがアウトにすっ飛んでしまってフルカウンターになる場面が何回もあり,思い切ってコーナーに突っ込むことが全くできませんでした。

そのためリアを安定方向に大きくセッティング変更せざるを得ず,そのせいでサイドターンが非常にやりにくい状態になってしまいました。


コースは下図のように,鈴鹿南コースを普通に順走する途中,広場でタイトなパイロンセクションがある,というもの。「コースを覚える」という意味では全く苦労の要らないイージーなコースですが,走ってみると,高速セクションと低速セクションのメリハリが難しく,決してイージードライブなコースではありません。特にパイロンセクション中,3つ目のパイロンを右に270度回るターンは,直前のパイロンからの距離が短く(15歩=12-13メートル?),かつ急激に左回りから右回りにGを切り替えないといけないので,なかなかの難所です。



コース順走部分を安定して走るために急遽変更したリアのセッティングで,このタイトなサイドターンをきちんと決められるかが,おとーさんの運命の分かれ道。


・・・・・・

朝一番のテストラン(練習走行)でいきなり大スピンにドリフトの嵐となってしまい,リアを安定方向に振った本番1本目。海老(ABS)を復活させようかとも思いましたが,「テールハッピーなクルマを乗りこなしてこそ漢」とかヘンなプライドが働いて(笑),意地でそのまま走ることにしました。朝一番と比べると若干路面温度も上がってるし,何とかなるかなと思ったのよね。

スタート待ちの車列にクルマを並べ,スタートの瞬間を待ちます。

ドキドキドキドキ,メットをかぶってても心臓が口から飛び出てきそうなぐらいに激しく打ってます。グローブをはめた自分の手を見ると,小刻みに震えてる。膝の関節あたりも何かガクガク。

ウォーミングアップのつもりで軽く両腕を動かしロックトゥロックの動作をしてみますが,ステアリングを持つ手に力がうまく入らず,いわゆる「手につかない」状態。

ダメでしょ。こんなに緊張してちゃ。

「苦しい」。正直,苦しい。
全然「楽しく」なんてない。苦しくって逃げ出したくなるぐらい。
2年間苦労してやっと今日のスタートラインにたどり着いたんだから楽しく走らなきゃ,と一生懸命自分に言い聞かせるけど,気になるのは勝ち負けばかり。
勝ちたい...いや,負けたくない...絶対負けたくない!

公式戦を走る,この瞬間を待ちわびていたはずなのに,スタートラインについたおとーさんを支配していたのは,「負けたくない」というネガティブな気持ちから自ら作り出した重圧でした。思えばこの重圧はこの1週間ぐらいおとーさんをずっと抑えつけていて,この日の前夜などは,普段見ることのない悪夢を何度も何度も繰り返し見てちっとも眠れなかったぐらい。


もうこれ以上待たされたら不整脈起こして死ぬ,心筋破裂する...っていう時にやっとスタート順が回ってきました。スターターのお兄ちゃんの誘導にそってクルマをスタートラインに停めます。そしてお兄さんがゆっくり指折りして,3...2...1...GO!

ホイールスピンは少ない目で大人しくスタート,すぐに2速に上げ,後で走ることになるパイロンセクションを左目に,気持ち早めにブレーキングして右90度の第1コーナーに進入...

と思ったら,いきなりリアがアウトにGReeeeeeNと回り始めます。

「う,うわぁ〜! いきなりかよ〜!」

叫びながら必死でフルカウンターを当て,何とかスピンは回避しますが,大きく失速。ラインも外してしまいヨレヨレの状態で2コーナーを立ち上がります。

いったん完全に失速したためストレートは全く車速が伸びません。いつもよりはるかに距離を走って,もう3-4複合コーナーのすぐ手前になってやっと3速に入る状態。ここまでで既に1-2秒はロスしましたね。もうダメぽ _| ̄|....○ コロコロ

3-4コーナーは無難に立ち上がりましたが,何を思ったかS字1つ目のコーナーの入りをえらくアウトから入ってしまってここでまた0.3秒ほどロス。それでも気にせずS字を走りきって,さあ問題のパイロンセクション。

「慎重に入ろう」とは思ってましたが,そんなに車速落とさなくても,というぐらいの車速になってしまいました。それでも2つ目のパイロンを折り返して,270度ターンする3つ目のパイロンを見たら,「ええ〜っ! もう目の前やん!」。

若干パイロンを行き過ぎたところで無理やりサイドを引いて右に回りこみますが,「あっ!」と思う間もなく右リアでパイロンをひっかけてしまいました。

PT(パイロンタッチ)...ペナルティ5秒加算で終了 チーン дヾ(-∧-) 南無〜


それでもとりあえず2本目のために,残りのコースを一生懸命走ります。

でも,やっぱり乗れてません。
リアのブレークを恐れてコーナー進入を抑え過ぎてしまいます。コーナー1つあたり0.5秒ずつロスしてるかなっていうぐらいのぬる〜い走りで最終コーナーを立ち上がりやっとゴール。

そしてタイムは...そんなもの確認するまでもなくダントツのビリー隊長ですよ。ペナルティの5秒がなかったら...何とか2位のタイムですが,それでもトップから2秒以上離れてます

因みにトップの方は2位以下を大きく離して独走態勢。同じデミオなのになぜこんなに違う。


・・・・・・

1本走り終わってさすがに緊張は少しほぐれてきますが,1本目で大失敗してる以上,2本目は絶対に失敗は許されない。2本目で同じような失敗をしたら「負け」。少なくとも表彰台には立てず,メダルも盾もなく手ぶらで家に帰ることになります。そういう意味では2本目にかかるプレッシャーは1本目以上。

ただ,おとーさん,これまでにも1本目で大失敗=最下位から2本目で挽回して入賞というのを何度かやってるので,こういう時どうすればいいのかは知ってるつもり。それは「普通に」走ること。気負わず,自分の90%ぐらいの走りができれば結果は...少なくともこれまでは何とかなってきました。

ただ,今の精神状態で「普通に」走れるのか。
明らかに普通じゃない精神状態で f(^-^;)。

とにかく。

海老なしで,しかもタイヤが冷えてる状態に全く対応できてない。

しかもリアのブレークを恐れて全コーナーで進入が甘い。攻めてない。

これだったらまだ海老を元に戻した方がマシかな...また迷いが頭に出てきますが,せっかくここまで海老なしで走って来たんだし,今後も海老なしで走るだろうから...ということでそのまま海老なしで走ることを決意します。その分,1本目よりもさらにリアを安定方向にセッティングします。サイドターンの成功率よりも,他の部分できっちりタイムを出そうという魂胆。
しかしここでこの日のおとーさんの運命は決しました。


・・・・・・

本番2本目のストートライン。

1本目よりは緊張しないでスタートラインにつけましたが,それでも「何とかまともなタイムを出さないと」というプレッシャーで身体はガチガチの状態。やはり「楽しい」というより「苦しい」,全く余裕のない心理状態。

スターターのお兄さんが指を折って,3...2...1...GO!
ややホイールスピンは多めに,路面を掻いてデミ助をスタートさせます。

1コーナーは慎重に...後でビデオで確認したところ,ちょっと慎重過ぎて,結局ここだけでトップの方に0.5秒離されてます。

その分2コーナーを勢い良く入ったら,なんとここでまたテールがどばーっとアウトに流れます。

「どりゃああああああ!」

なるべくスロットルは抜かず必死でカウンターを切って体勢を立て直し,ストレートを立ち上がります。ここはうまくミスをリカバーできたようで,0.3秒ほど,最小限のロスで済んでます。そのためだいたいいつものシフトポイントで3速に入りました。


3-4コーナーでも自分の予想よりも大きくリアが流れますが,2速のままでうまく回り込んでS字につなぐことができます。S字もまあまあ自分の狙ったラインに乗せました。S字の出口ではまずまず車速がのってます。1-2コーナーでミスって付けられた1秒近くの差を,一応,この時点でおとーさんほぼ挽回してます。


さあ,次は問題のパイロンセクション。ここが勝負。天下分け目の関が原。

まず2本目のパイロンまでの入りは,1速に落とさず2速のままで。少し大回りに入る代わりに,2本目のパイロンの横で左回りのGを消し...3本目270度ターンのパイロンに向かいます。

しかし...近い! 近すぎる!

必死でステアをぐりぐり右に回して,ちょっとパイロンを通過したところで「えいっ!」とサイドを引きますがリアが出ません。

何の! デフ(LSD)の力でこのまま回り込むぞ!

ステアを右に回しきった状態でスロットルをガバっと開けます。

マウスが自分の尻尾を追うようにクルっとその場で右に回るデミ助...のはずでしたが...




ばきーん! (金属音)


ぎゃーん! (エンジンが空転する音)



いきなりふにゃふにゃふにゃと力なく減速するデミ助...


...壊れますた。ドライブシャフトが。粉々に。


↑涙の走行動画



スロットルを踏んでもエンジンが空転するばかりでデミ助は前に出ません。いや,デフ(LSD)が入ってますからちょっとは前に進みますが,とても競技走行を続けられる状態ではありません。この様子だと,ブーツも破けて中のグリスが飛び散ってる予感。ムリに走ってグリスをそのへんにぶちまけることを考えると,このままリタイアする他はありません。

目の前のオフィシャルに手で「×」を示してリタイアの意思表示をし,ハザードをつけてすごすごとコースを退出します。

頭の中では「何で? 何で? 何で折れるの?」と「?」マークの嵐。

でも理由はともあれ,本番2本目はドラシャが折れて途中棄権,これが事実。
そして結果として1本目の「ダントツびり!」これが最終リザルトとなるわけで。考えてもいなかった「2年ぶりの開幕戦でいきなりビリ」の事実が重くのしかかってきます。

最下位ですよ最下位。
これまでのジムカーナ人生で初めて。
しかも2年ぶりの復帰戦で,2009年度の開幕戦で最下位。

何で? 何か俺,悪いことした? 毎日一生懸命生きてるつもりだけど。

時間がない中一生懸命いろいろ準備して,何でわざわざ鈴鹿までクルマ壊しに来てるの?

いったい何やってんの,俺?

ジムカーナっていったい何? モータースポーツってこういうモンなの?


・・・・・・

因みに左のドライブシャフトはアウタージョイントの部分が完全に破断し,ブーツも引きちぎれてこんなになってました。不惑インテ号もよくシャフトが壊れましたが,こんなになるのは珍しい。


機能を失ってダラリとぶら下がったシャフトの物悲しげな角度がとても素敵です。


ピットに戻ってから同じクラブのにーななレビンさんや黒兄さんに手伝ってもらって何とかスペアのシャフトに交換し,無事に家に帰ることはできましたが...


結局,直前になって焦っていろいろ仕様変更したところは全て裏目に出ました。「勝ちたい」が「負けたくない」になり,ネガティブな思いの強さのために,運を自ら手放したようなカンジ。


帰り道,西名阪をとぼとぼ運転してると涙が出てきます。

何で? 何か俺,悪いことした? 毎日一生懸命生きてるつもりだけど。

時間がない中一生懸命いろいろ準備して,何でわざわざ鈴鹿までクルマ壊しに来てるの?

いったい何やってんの,俺?

ジムカーナっていったい何? モータースポーツってこういうモンなの?

(以下,何度も繰り返し)


ジムカーナおもんない

こういう時に関西のミドル戦士が口にする定番のセリフ。
本当に,もう,面白くねーよ! って叫びたくなるぐらい。


始まったばかりの2009年シリーズですが,今回トップの人とついたシリーズポイントの差は大きく,おとーさんは有効ポイントの6戦きっちりしか出られないことを考えると,もう「自力チャンピオン」の可能性はかぎりなくゼロに近い。まあ,そもそもシリーズチャンピオンを云々するようなドライバーじゃなかったってことでしょうけど(笑)。


しかし。

言い方を変えれば,「もうこれ以下はない」最低のどん底の状態。
これ以上落ちることはない。
もう失うものなんて何もない。
何つってもダントツの最下位なんだから。

もう怖くない。負けることは怖くない。
もう勝たなくても良いんだ。
もうシリーズチャンピオンの目もまずないから,勝てなくっても何も支障なし。
シリーズポイントなんてもう関係ないよ。

War is Over,戦争は終った。

...そう思うとちょっと気がラクになってきました。
今頃になってやっとガチガチに入ってた力が抜けてきました。
アドレナリンが中和されてきたのかな。


・・・・・・

あれから数日経って,しばらくクルマのことには気持ちが向かないかなと思ってたけど,全然そういうことはない。むしろ肩の力が抜けて,やっと本来のワクワクする気持ちが感じられるようになってきた。また走りたくなってきた。

そう,もう失うものは何もない。気楽にいこーよ。楽しもうよ。

ということで,とりあえずまたドラシャを発注して,リアブレーキの調整をやり直そう。
今日から,一から,また走り出そう。


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