home > diary menu > 2009年 > 12月21日

さよなら,こだわり君


食わないタイヤ,死刑っっ!!

き,禁じられたあぁ〜る○あぁ〜るぅぅ〜



というわけで(どういうわけだ),しばらく更新してない間にもいろいろネタがありました。


まずは「S1500日本一決定戦」の話題から。

先日のJAFカップでもS1500クラスが設けられ,初代S1500日本一の座は...と盛り上がったわけですが,それはあくまでもジムカーナの世界だけの話。

ダートラやラリーの世界でもS1500クラス(名称は違うけど)は盛り上がっており,異種格闘技統一戦ちゅうか,違うカテゴリーのS1500車両が集まって最速を競う,その名もズバリ「S1500日本一決定戦」と銘打った競技会が,去る12月12日,幸田サーキットにて開かれました。

主催は名古屋の大手モータースポーツクラブSOMOSさん。全日本戦や地区戦などの主催でも有名なクラブですね。先日のJAFカップでも事務局をされてました。したがって,クローズド競技ではありますがちゃんとしたJAF公認の競技会です。

おとーさんも当然,喉から足が出るぐらい参加したかった。

しかも開催日は土曜日。嫁様に黙って有給とって,普通に朝,仕事に行くように「行ってきま〜す」と出かけてちゃっかり参加...とか,考えましたが,よからぬことを企んだバチか,ばっちりお仕事関係の予定がかぶってしまい参加不能となりました。残念!

ジムカーナ車両が速いのか,SタイヤOKのラリー車両が速いのか,はてまた ドロドロ ドリドリ仕様のダートラ車両が速いのか? 車種はデミオか? コルトか? JAFカップを制したヴィッツがやっぱり速いのか? 軽さの旧スイスポか?

...結果は,ちょくちょくこのサイトにもご登場いただいているデミオ乗りの前田さんが1位。見事,初代S1500日本一の座に輝かれました。おめでとうございます!

そして2位には以前G6やミドル戦でご一緒させていただいたベテランマーチさんが僅差で続かれました。車両の公認の問題でいろいろ苦労されてるだけにうれしさもひとしおでしょうね。おめでとうございます!

今後もぜひこのようなカテゴリーを越えた競技会を開いて欲しいですね。

おとーさん個人としては,ドリフト界との協同イベントがあったら楽しいなと思ったり。ジムカーナ屋さんのドリフトをなめたらアカンよ。おとーさんにFドリをさせてみなさい。直ドリでも何でもこーい! あー,360度ターンはヘタですが(笑)。


・・・・・・

さて,そのS1500日本一決定戦のちょっと前の話。
おとーさんのジムカーナライフにとって大きな転機となる出来事がありました。

おとーさんはこれまで某社のタイヤにこだわってきました。不惑インテ号の時はSタイヤ,デミ助に乗り換えてからはスポーツラジアルと,タイヤの性格は大きく違いますが,それでもそのメーカーのタイヤに乗り続けてきました。街乗りのタイヤすらそのメーカーを選択。

以前にも書いた通り,理由はいろいろありましたが,結局は人との「つながり」の面が大きいかな。だから,別にサポートを受けてるわけでもないし,スカラーシップがあるわけでもないのに,勝手に「ファン」としてそのメーカーを応援してきた。

Sタイヤと違い,スポーツラジアルの世界では,そのメーカーのタイヤの評判はイマイチで,人からは「あり得ない選択」とか「そのタイヤじゃ勝てないよ」とかいろいろ忠告してもらったんですが...おとーさんガンコなんですよ。「こだわり君」なんですよ。自分でコレと決めたら人から何と言われようと「ファン」を貫く。そういう人なんですよ。


でも,やはり,人からの忠告は素直に聞くべきですね。


他のブランドのタイヤを使ったことがなければ,比較することすらできません。ひたすら自分のタイヤを信じて突っ走るしかありません。

「曲がらないなぁ...」
「舵角が大きくなるといきなり抜けるなぁ...」
「リアがどうやっても粘りすぎるなぁ...」
「精一杯走ってるのにタイムが出ないなぁ...」

いろいろ悩みました。いろいろ苦労しました。そりゃもう,いろいろなセッティングを試してみました。そしてシーズン後半になって,それこそ「あり得ない」セッティングだけど,やっと勝てるセッティングを見つけることができました。

「よし! これでJAFカップに挑んでみよう」

しかし,結果は気持良いぐらいの惨敗。もちろん腕の問題も大きかったけど,同じようなラインで走ってても何か明らかに差がある。おとーさんのデミ助は,普通に踏んで走ろうと思うと,リアの限界を極端に下げないと曲がってくれない。その上フロントも舵角にナーバスで,曲がりながらのブレーキングやスロットルオンはかなり難しい。

「腕も腕だけど...やっぱりこのタイヤじゃ勝負にならないのかな...」


そしてちょうどその頃,おとーさんとその某社をつないでいた人のつながりも切れてしまいました。いや,別にその人との個人的なつながりが切れたわけじゃないけど,某社とのつながりは切れてしまいました。

その上,詳細は書きませんが,JAFカップに参加した際,某社に対して非常にがっかりする出来事がありました。

まあ,おとーさんのような末端の素人ドライバーががっかりしようとどうしようと某社の方々の関知するところでは全くないわけですが,ああ,この会社は,ラジアルを履いたこういう末端の草ドライバーのことは全く興味ないんだな,ということが如実に分かる出来事でした。

以前はそういうメーカーじゃなかったはずなんですけどね...


だいぶ悩みましたが,おとーさん決心しました。

「もう,このメーカーのタイヤにこだわるのは止めよう。」
「さよなら,某社。さよなら,こだわり君。」


・・・・・・

とはいっても,話は簡単ではない。

タイヤのメーカーを変わるというのは,これまで1年間苦労して決めたセッティングをまた一からやり直すということになる。これまでの1年間のあの苦労は何だったの?

それに,メーカーを変わるって言ってもいったいどのメーカーのタイヤを使うの? 使ったこともないタイヤの良い悪いが分かるの? 自分の運転との相性だってあるだろうし。

いろいろ情報収集してみる...でも話だけじゃ分からん。
実際に自分でそのタイヤを履いて走ってみないと分からん。
といっても,何本もタイヤを買って履き比べてみるなんてそんなリッチなこともできん。


...ということで,とりあえずこれ,このタイヤを2本だけ購入。

TOYOのPROXES R1R



サイズは定番の195/50-15。
このタイヤをオークションで落とした15インチ(7J,オフセット+35)のホイールに組んでフロントに履き,某南コースに持ち込んでみました。リアは14インチ純正鉄っちんホイールに185/60-14のRE11のままですが。


このタイヤ,一応「スポーツラジアル」であってSタイヤではない。でも「インチキだ」「減りが早すぎ」「半Sタイヤだ」とかいろいろな噂が絶えない。

現に関東のジムカーナ界ではこのタイヤ,ラジアルタイヤのクラスでの使用を禁止する方向になっており,G6でも一時禁止になってました(現在は使用OK)。要するに「Sタイヤもどき」という判断なんですな。そして今後,この判断が全国的になっていく可能性も否定できない。

でも,少なくとも現時点で来期の近畿シリーズでは使用禁止にはなってません。
ならば別に使ってやましいところはない。

以前のおとーさんなら妙にこだわって「こんなタイヤ,フェアじゃない」とか言いそうですが...もうそういうこだわり君は止めましょう。そもそもフェアじゃないかどうかだって,自分が使ってみないと分からない。こだわるんなら「勝つこと」にこだわろうよ。


ところが,実際にコースを走り始めて絶句!しました。

こ,これは...

このタイヤは...

このタイヤはSタイヤだろ!(笑)


縦グリップはともかく,横のグリップはこれまで履いてたタイヤと全く別次元です。
走り出してわずか3周目で,これまでのベストを軽〜く更新。

これまでコーナリングの最中,フロントが縦にグリップしながらも徐々にアウトに逃げていくため,リアの限界を大きく下げて「曲がる」ようにセッティングしていたのですが,今回フロントが強烈なグリップで横に全く逃げないため,結果的に14インチのリアが負けてしまってものすごいオーバーステアになる。

空気圧を上げ下げ,ショックの減衰も上げ下げ,リアのグリップを上げようといろいろやってみますが,どうやっても14インチで幅185のRE11ではフロントタイヤのグリップに遠く及ばない。結局,1日中ずっとこのオーバーステアと格闘することになりました。ドライの某南コースでこんなに何回もスピンしたのは初めてです。それに普段よりも横Gが増したせいか腕や首が何気に筋肉痛起こしてる(汗)。


お天気が良いわりに気温は低く,タイムアタック日和だったこともあり,夕方のアタックで出したベストラップは,これまでのベストラップを0.7秒も更新しました。セッティングを詰めてリアの限界をもう少し上げられれば,1分3秒台も夢ではないところまで来ました。


↑実際の車載動画。ベストラップではありませんがほぼ同じタイム(1分4秒2)で走ってます。


そしてお約束のタイヤの減り。

まー,呆れた(笑)。減り方までSタイヤそっくりじゃあーりませんか。

トレッドがアウトに向けてきれいに斜めに減ってます。表面も「削れた」というよりも「融けた」というカンジの荒れ方。不惑インテ号の時にSタイヤでいつも目にしていた光景です。この分じゃもう1回練習会で走ったら裏組み(って言うか組み直し)しないといけないっぽい。

以前のタイヤだと,1日走り込んでも「タイヤちょっと減った...かな?」っていうカンジだったのが,このタイヤだと誰がどう見ても一目瞭然の減り方です。これじゃ「インチキだ」とかいろいろ言われてもしょうがないなぁ。


でもね,おとーさん,こういうタイヤを普通のスポーツラジアルとして売る,そういうメーカーは好きですよ。志があるよ。潔いじゃん。

別にたくさん売れなくってもいい。本当に速く走りたいヤツだけ買ってくれ。

ロードノイズひどいよ。エコなんて関係なし。自慢じゃないけどすっごい減るし。
でも速い。これだけは他のタイヤに負けない。

買う方もそういうタイヤだと分かってて,速さを求めて買う。値段も別に高くない。

メーカーのサイトを見ても「燃費が」とか「静粛性が」とかそんなウソはどこにも書いてない。正直に「リアルスポーツ専用」とちゃんと書いてある。「スポーツタイヤ」と言いながら妙に妥協したヌルいタイヤが多い中,実に潔いよね。

JAFカップでも,S1500クラスのユーザーのところまでわざわざメーカーさんが足を運んで話をしてた。別にSタイヤを湯水のように使うヘビーユーザーではなく,スポーツラジアルのユーザーなのにね。かつておとーさんがファンだった某社には...今はもうそういう姿勢は皆無。


・・・・・・

某社のタイヤに長くこだわって乗ってきたことは決して無駄ではなかったと思います。
セッティングに苦労はしたけど,その過程でいろいろな経験をしました。
だからこそ,タイヤを変えた時にはっきり違いが分かる。
こだわることには大きな意味があると今でも思ってます。

でも「こだわり」を越えて「固執」になってしまうと,いろいろと弊害が出てくる。
自分自身の経験の幅を狭くしてしまう。
自分自身の可能性を制限してしまう。


今回,こだわり君を止めて,別のメーカーのタイヤを使ってみて初めて分かったことがいっぱいありました。すっかり失いかけていた自信をちょっと取り戻せました。


某社に対して...ひどくがっかりはしましたが,別に恨みはありません。今もまだリアには某社のタイヤを履いてますし,今後もまた縁があれば某社のタイヤを履くかもしれません。ただ,間もなくリアのタイヤも変える予定ですし,もう当分某社のタイヤはフロントには履かないだろうな。しばらくいろいろなタイヤを試してみたいと思います。

そう。

もうこだわり君はやめました。
どうせこだわるなら「勝つこと」にこだわろう。




デミ助もちょっと大人になったかな。


・・・・・・

今回,しつこく引用させていただいた元祖「こまわり君」ですが,こんな本が出てたんですね。



中春 こまわり君」 小学館 \1333



おとーさんはちょうど小学校から中学校にかけての多感な時期を,がきデカ「こまわり君」と共に過ごしました。初期の性教育はこのマンガから受けたと言っていい(笑)。今でもおとーさんの本棚には,がきデカのオリジナルの単行本がいっぱい並んでます(ホント)。

著者の山上たつひこ氏はその後マンガ家を辞めて小説家になっていたわけですが,またマンガの世界に戻ってきてくれたんですね。

青春ならぬ中春を迎えたこまわり君,このマンガの中でもリアルに歳をとり,もう不惑の年齢を迎えてます。父親と息子の葛藤,男の世界への嫁さんの無理解,嫁姑の対立,職場の上司からの無理難題,そして衰え行く己の身体のトラブル...中年男の悲哀がイヤというほど描かれています。

「死刑!」とか「八丈島のきょん!」とか,懐かしいギャグもそこここにちりばめられてますが,それらはもはや往年の無秩序なエネルギーを失っています。酔っ払ってつい周囲のリクエストに答えて往年の芸を披露し満座の喝采を受けるも,その後一人でひたすら落ち込んでしまう彼の寂しさ,わびしさを笑うことはできません。

しかしそこにはメダルの中のレリーフの輝きのような,いぶし銀の笑いがにじみ出てます。
泣きながら笑う。笑いながら泣けてくる。

ガキっぽい無意味な笑いではない,大人の笑い。これはマンガを超えた文芸作品です。

西城君やモモちゃん,ジュンちゃん,あべ先生,栃の嵐...
さあ,あなたも,懐かしいみんなとの同窓会に出席しませんか?


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