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本当の闘い(その2)


本番一本目の走行を前にして,朝からずっと降り続いてきた雨が上がりました。まだ名残惜しそうに時おりパラパラ降ってきますが,路面からはどんどん水が引き,ところどころ乾いた部分が見えるようになってます。

さあ,どのようなセッティングで走るか。
少しドライ方向に振ったセッティングに変えるか。


しかし,ドライの部分が見える,とは言っても,まだ水が川になって流れてるところも残ってますし,パイロン周りは水が浮いてます。雨がもうこれ以上降らなければどんどん乾いて行くでしょうが,「もう降りません」なんて誰も保証してくれるわけじゃなし。

同じクラブの@まさきちさんはさっきの練習走行の時と同じセッティングで走られるとのこと。

こういう時に,1年間のブランクや,ラジアルで競技に出たことがないという事実が「データのなさ」として大きなマイナスになってきます。奥伊吹で走るのは初めて,そもそもデミ助で本番を走るのも初めて,ラジアルで競技に出るのも初めて...

まあ,しかしこれだけデータがないと,逆に開き直って行くしかない。
ま,とりあえず走ってナンボ。
今日のデータをまた後日活かすつもりで。


ということで,あれこれ悩むよりとりあえず開き直ることにして,前後のショックの段数を1ずつ固めにして,エア圧はウェット時のままで行くことにします。


出走待ちの列にデミ助を並べます。

雨が止んで少し空は明るくなったものの,周囲はガスってます。気温は低いのですが,それでもしばらくエンジンかけたままだとすぐに水温が上がってきます。幸い,ここは出走待ちで並ぶところが下り坂。エンジンを切って,ブレーキだけかけながらズルズル下りて行きます。

しばらくエンジン切ったおかげで水温85℃ぐらいでスタートラインにつくことができました。
ここからみても路面はだいたいハーフウェット。いわゆるラインドライに近いのですが,それでもパイロン周りはまだ濡れてるように見えるところが多い。
1本目で突っ込み過ぎてロスったところをしっかり抑えて走りましょう。あのトップのマーチさんが目標。あんな風に丁寧に走ってみよう。


スターターのお兄さんがこっちを向いて...3...2...1...GO!

タコは3000rpmぐらいで,気持ち半クラを長めにスタート。それほどホイールスピンはせずに大人しくスルスルっと走り出します。回転もそれほどはドロップしてないのでOK!


最初の左直角コーナーはあまりアウトに行かず,小さく回ります。

すぐ次のパイロンを右に見て,スロットルを踏み抜く。

そして次の左島回りも,あまりアウトから行かず,コンパクトに進入。ちびっとABSが作動してますが気にせず2速でぐりーっと回って行きます。これぐらいの半径だとデミ助は実にいい塩梅にリアが出てくれて,なんだかFR車でドリフトしてるような気持ち良さ。

ぐるーっと回って,ここから,最初にクリアした1番2番パイロンのところに戻るのですが,練習走行では若干角度がつき過ぎて進入が苦しくなったため,気持ち手前で減速して,向きを変えてから入るようにします。

進入で抑えた分,折り返しの左180度はラクに回れます。
ここでそのまま左にぐるりんと回って,しばしゴール方向に走り,青いパイロンで右に直角に曲がって,一番奥の左180度ターンに向かいます。

ここは結構突っ込んでも大丈夫なことが練習走行で分かってるので,真っ直ぐにパイロン横に突っ込み,サイド一発,150度ぐらいの角度で折り返します。


さあ,この後が1本目の練習走行で大失敗したセクション。
最終セクションに入る前の青パイロンを,さっきは2速のままで突っ込んで大アンダーになったので,慎重に1速に落としてクリア。次に,ABSが作動しない程度のブレーキングで右に折り返し,最後の三角オニギリへ。

サイドを引くかどうか迷いましたが,思ったより回転半径が小さくならないので,最後で1発だけ引きます...しかしやはりリアが予想以上に出てしまって,修正舵を入れながらゴール。


...自分では大きなロスはなく無難に走りきったつもりだったんですが...結果はさっきの練習走行よりも0.1秒タイムダウン! ガガーーーーン!

路面は明らかに良くなってるのに,タイム落ちてどーすんねん! (;´д⊂)

案の定,すぐ後のゼッケンのイケメン君に0.6秒もかわされて1本目は3位のタイム。
順位も一つ落ちてます (;´д⊂)

微妙にダメぽ..._| ̄|○ ガックリ


...しかし,冷静に考えてみると,タイムダウンの原因は,ひじょーに明確。

それは,

抑え過ぎ。


以前,D練に参加した時に講師のエロチカ先生から厳しく指摘されたことがあります。
「中級競技者にありがちな『無難にまとめて走ろうとする』悪いクセ」「走りがヌルイ」。
この悪いクセがここで発動したらしい。

大して速くもないオッサンが「ミスをしないように」抑えて走ったら,そりゃタイムが出るわけがない。ミスを恐れず思い切って行く中でこそタイムが縮む可能性が出てくるわけで。

1本目,ミスをせずきっちりまとめてきた1位のマーチさんを見て,そのマネをしようとしたのが間違いだったのね。あんな走りはおとーさんには絶対できない。どっちからというとおとーさんは名阪Cコースの外周をガンガン踏んで行くような,そういう走りが身上だったはず。少々ミスをしても高速コーナーの突っ込みで取り戻すというか(←単なるバカ)。


幸いにして,その後も路面はどんどん乾き,いよいよ普通のドライ路面になって行きます。
そうだ,1本目はカンケーなし! 全ては午後からの2本目勝負!。


ということで,お昼の慣熟歩行は特に念入りに行います。みんながボチボチ引き上げる時間になっても,足にマメができたっぽい痛みを感じるようになっても,しつこくしつこくコースをトレースします。全日本N2チャンプのbingさんにもあれこれ質問させてもらいます。




今回走るのは「1年ぶり」なんて言ってるけど,my嫁さんのあの剣幕を見てると,次に走れるのはまた「1年後」とかっていうのも十分あり得る話。としたら,今,思いっきり走らんかったらいつ走るねん。今,デミ助の力を出させてやらんかったらいつ出すねん。

そんなことを考えながら,意地になって歩き回ります。


さあ,何かいつもの展開になってきました。
いつものおとーさんらしくなってきました。

そうそう。ミスをしないように丁寧に・慎重に,なんていうオッサンじゃないのよね。
足がこむら返り起こしても,スロットル踏んだ足を緩めない。そういうヤツなのよね。
もっとガンガン行かないと。もっと踏んで行かないと。
そう。ここからが本当の闘い。


セッティングは完全ドライ用で行きます。
路面温度も26℃まで上がってる。

タイヤの空気圧は2.3k/2.8k。ショックの減衰は6段/8段戻し。

サイドターン2発は比較的得意な左回りなのでそんなに強く意識する心配はなさそうですが,その他のコーナーでも,リアがズルズル行くよりはスパーンと行ってくれた方が今のおとーさんの気分には合ってる(そういう理由で決めていいのか)。そういうリアの空気圧。そもそもS1500クラスのコンパクトカーがジムカーナで走る時の一般的なラジアルの空気圧がどんなものかも知らないし。


さあ,2本目がスタート。
完全ドライになって各クラス大幅にタイムアップのアナウンスを聞きながら,ぼちぼちデミ助を出走待ちの列に並べます。

今度は,さらに水温を下げるために,ヒーター全開にします(もちろんエアコンは切ってファンだけでね)。こうするとラジエターがもう1つあるような感じになって,水温が若干下がる。
もちろん室内は猛烈に暑い。窓を全部開けてても汗がダラダラ出てくる。
これは夏場にはできないワザ。この季節でもかなり辛い。

でもがんばった甲斐あって,水温はちょうど80℃でスタートラインにつきました。

さあ,いよいよ本日のラスト走行。
これでまた1年間は競技会に出られないかもしれない。
思い残すことのないように。精一杯攻めよう。
ミスってもいいじゃん。その分,得意なところで取り戻すつもりで。


さあ,スターターのお兄さんがこっちを向いて...3...2...1...GO!

タコは3500rpmぐらいで,さっきより少し勢い良くスタート。若干ホイールスピンしてますが,んなモン気にすな。踏め〜!

さっきとは大違いで,攻めてる分,ドライなのに随所でABSが発動します。しかし案外ABSが作動しても気合いで何とかなるモンで,気にせずにガンガン踏んで行きます。

島回りもハデにタイヤが鳴ってます。でもデミ助のリアはスパッと行かず,滑りながらも粘ってくれてます。フロントもわずかに外に逃げてますが,それでも無理やりパイロンに寄せる!

そして最初の1番2番パイロンに折り返して左180度ターン。
おおっと,勢い良く回り過ぎ,一瞬次に向かう方向を見失いますが,それでも踏む。
ロスはしてますが,気にせず踏む。
思い残すことのないように踏む。

青パイロンを右に100度回り,一番奥の左180度に。

手間の直線で,1速のまましばらくレブってしまいますが,どりゃぁ〜とシフトしてまた踏む。

左180度も勢い良すぎで,ABS作動した上に狙ってた以上にリアが流れるが,気にせず踏む!

さあ,1本目に失敗して,2本目で抑え過ぎたセクションですが。
んなモン2速のままで突っ込め〜! 行け行け〜!

当然のようにABSがカカカカカカカ・・・と笑ってますが,1本目ほどはアンダーにならず,とりあえずパイロンには寄せた状態でクリア。最後のオニギリに突入。

ここも「回転半径が云々...」などとセコいことは言わず,サイドは引かずアクセル踏みっぱで走りきります。

結果的に旋回半径はぐりぐり広がって明らかにアンダーですが,これでいいのだ。
思いっきり走ったからこれでいいのだ。


...ヘルメットを脱ぎ,ドッと噴出す汗をレーシングスーツの袖でぐいっとぬぐい,窓を開けてアナウンスを聞くと,52秒ちょいのタイムが出たらしい。2秒半...いや2本目が遅かったので3秒近くのタイムアップか。

窓を開けて風をいっぱいに浴びながらパドックに戻る。
軽く息が切れてるけど,あ〜,気持ちいい。

とりあえず,ミスはいっぱいあったけど,今のおとーさんにはこれが精一杯。たぶんこれ以上の走りはできない。もう1回走っても,たぶん同じようなモンだろう。あのヌルイ,抑え過ぎの走りからは確実に抜け出せたので,おとーさんとしては満足。


・・・・・・


競技結果を言うと,このすぐ後のイケメン君に何と0.004秒かわされ,最終ゼッケンのベテラン・マーチさんに0.1秒抜かれて3位ということになりました。


※撮影:@まさきちさん special thanks!

0.004秒って言うと,今回の1-2速主体のコースで平均時速50km/hとして計算して,わずか5.6cmの差っていうことになります(笑)。まさにハナの差っていうかバンパーの差。

今回彼は純正のホイールでおとーさんより小さいサイズのタイヤを履いての参戦でしたから,ハンデがある状態でこのタイムっていうことになる。顔でも若さでも速さでも勝てないとなると,もうおとーさんに勝ち目はないです。素直に脱帽です。

彼が中部のS1500に出るとなると,また一人速いデミオ使いが現れるわけで,本当に楽しみですね。中部S1500からはホント,目が離せません。


優勝したマーチさんの走りは,これまた本当に見事でした。
特に最後の3本目の走りは,それまでと違って結構アグレッシブで,最後の三角オニギリでもサイドを2回引いてグリグリ回ってられました。抑えるのも,攻めるのも,自由自在という感じ,本当に「乗れてる」っていう表現がピッタリでしたね。中部S1500でも活躍されてるのは当然でしょう。今後もがんばって欲しいです。


さて,3位ということでブロンズ色の「G6ステッカー(レアアイテム)」をいただき,早速デミ助に貼ってやりました。



こいつはデミ助の勲章です。
わずか113psのお買い物グルマのクセにシビックやインテグラ並みのタイムを出しやがるすごいヤツです。もっと腕のある人が乗ればもっとすごいタイムが出るはずなんですが,今のところはこれが精一杯。何とかこいつの能力をもっと引き出してやれるようになりたいですね。


さて。

闘い済んで日が暮れて。

山のお寺で鐘が鳴る。

気分爽快で帰路に就いたはずのおとーさんですが,何故かだんだん,だんだん,気分が重くなってくる。そう,家が近づいてくるほど息苦しくなってくる。


...そう,それは。

本当の闘いは,これから,だから。


とりあえず,SAでひこにゃんグッズでも買って帰ろう。あ,それとケーキでも... f(^-^;)

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