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本当の闘い(その1)


奥伊吹スキー場でG6第3戦が開かれる3日前,5月22日木曜日の夜10時半ごろのこと,大阪の不惑家においてその事件は起こりました。


事前にネット上に公表されたコース図をプリントアウトして眺めながらあれこれ攻略法を練っているおとーさんのところに,my嫁さんがつかつかとやってきてこう言いました。


アンタ,それいったいどういうつもり?
そんなモンに行ってもいいて,私,言うた覚えないで!


えっ? ええぇぇぇぇ???


そ,そんなハズはない。
5月の初め頃,しつこく参戦許可を迫るおとーさんに対して,確かに嫁さんは『しゃあないなぁ,もう』という感じで「ほなもう好きにし」と言ったはず。だからこそおとーさんは「参戦許可げっつ」と判断して参加申し込みをした。

それから何回か別の日曜日の予定を話している時にも「25日は走りに行くで」とおとーさんは言ったはずだが,その時には嫁さんは何も言わなかった。そして数日前に参加受理書が送られてきた時にも,嫁さんはそれに気づいていて「何や怪しげなモンが来とるな」と言ったが,それでも決してそれ以上のことは言わなかった。

それなのに,何故,今になっていきなりそんなことを言うのだ...(;´д⊂)


必死になって「行っても別に構わんて言うたやんか」と主張するも,言った,言わない,の水かけ論で,話が全くかみ合わない。そりゃ,実際に嫁さんから「参加許可証」が発行されてるわけでもないので証拠はどこにもない。


しまいには,

行くんやったら勝手に行ったらええけど,それなりの覚悟して行きや!

とか,極妻みたいな怖いセリフまで出てくる始末。


「それなりの覚悟」って何やねん...

と訊くと,

もうアンタのメシは作らんし洗濯もせんし,好きにせえっちゅうことや!

とのこと...





も,もうダメぽ..._| ̄|....○ コロコロ

いや別にメシぐらい何ぼでも作れるし,洗濯も自分でできますから,そんなのはいいんですけど,ここまでブチ切れてる嫁さんに逆らって走りに行くだけの勇気は,おとーさんには,ない。デミ助購入の際の「誓約書」でも「競技参加にあたっては,常に家族の理解を得られるよう努力すべきである」という一文があったし...


@3日まで来ていた念願の実戦復帰が,デミ助のデヴュー戦が,遠のいて行きます...

ああ,悲しすぎる不戦敗。
しかも参加費8000円だって返ってこない。
この日のために積み上げてきた半年間の努力がガラガラと音を立てて崩れて行きます。
どうでもいいが座布団5枚は返してもらおう。


その日の晩は一睡もできませんでした。

翌日の金曜日。

もともとずーっと胃の具合が悪かったのがさらに悪化して,何も食べられません。
何も食ってないのにやたらとゲップが出て,時々ゲロまで出てきそうになります。
そうなってくると,もう,「ついで」みたいにゲリピーまで出てきます。
脱水を起こしたのか,気がつくと微熱まで出てます。

その他にまだ出てくるものがあるとすれば,それはもうひたすらため息ばかり也。

身体ガタガタです。情けねぇ。
ずーーっとそればかり楽しみにしてた運動会が雨で流れた時の,勉強のできない小学生みたいな反応。


それでもお仕事は普段と変わりなくやって行かなければなりません。

早く主催者さんに参加中止の連絡を入れないといけないのですが,連絡したからって参加費が返って来るわけでもないし,仕事はアホみたいに忙しいしで,何となく電話しそびれたまま大会前日の土曜日になります。


もちろんこの日もおとーさんは朝からお仕事。

お昼に時間があったら主催者さんに電話しようと思ってましたが,仕事が超忙しくて,食欲のあるなしにかかわらずメシを食う時間なんてナッシング。仕事が終わって気がつけばもう夕方よ。

本来なら「早く家に帰って明日の準備をしよ〜」っていうところですが,おとーさんに準備すべき明日はもうありません。とりあえず急いで主催者さんに電話しようと携帯を取り上げたら,チカチカとメール着信のLEDが。見ると嫁さんからのメール...


"アンタのその陰気くさい顔見てたらものすご不愉快やから,明日は競技会に行って! 絶対に家におらんとって!!"

...とのこと。


行けとか行くなとか,何かもうワケ分かりませんが,「行け」と言うなら行きましょう。
つーか,それなら最初からゴチャゴチャ言うな!と言いたいところですが,それを言うとまたモメるので「じゃあ,行くから」とだけ返信します。


・・・・・・


という,ものすごハードな前哨戦をクリアしたおとーさん,とりあえず体調はガタガタ,モチベーションも今一つ,クルマの準備もロクにできてない,っちゅう悲惨な状態で当日朝4時に起きて,名神を走り,奥伊吹スキー場へ向かいます。


しかも,お天気は雨。結構本格的な雨。もちろん路面はヘビーウェット。

ちょうど1年前,不惑インテ号をハイドロによるクラッシュで亡くしてから,おとーさん,ヘビーウェットがめちゃくちゃ怖い。特にフロントがつつつーと流れると,もうオシッコちびるぐらいびびってしまう。午後からドライになればいいんですが,1日ウェットだったりしたら終ってる。




しかもすでに発表されているエントラントリストを見ていたら,おとーさんが出場するFF1クラスには,中部の地区戦S1500クラスの上位常連の方や,昨年の東海シリーズN4クラスチャンピオンな方,G6の入賞常連の方などなど,正に歴戦の猛者がずらっと並んでおり,一目見ただけで「ああ,こりゃ勝負にならんわ」という感じ。


どっちにせよ,今回の参加コンセプトは「とりあえず楽しく走って,クラッシュせず無事に家に帰ってくる」というもの(笑)なので,まぁ半分より前の順位に入れたら上出来,というぐらいの気構えで行きましょう。それにいったんは参加をあきらめた大会。参加できただけでもうけモン。お気楽に行きましょう。


だいたい予定通りの時間に会場に着き,雨が降ったり止んだりしている中,荷物を下ろし走行の準備をします。さすが全国的に有名なショップ,プレジャーさんの主催だけあって,有名全日本選手がオフィシャルとして何人も参加されており,大会の運営は「痒いところに手の届く」スムースな進行です。taroアニキやbingさんとも久々にお会いできました。


デミ助はラジアルタイヤで出場するので,本番タイヤといっても普段履いてる通勤タイヤのまんま。以前Sタイヤで競技をやってた時のような,前後ジャッキアップして,4輪全部履き替えて,空気圧調整して,なんて作業は不要。やることはせいぜい空気圧の調整とショックの番手の調整ぐらいなんでラクチンです。

午前中1本目の「練習走行」はヘビーウェット確定なので,フロントは空気圧を2.8kgまで上げ,ショックの番手は逆に10段まで落とします。リアは空気圧を1.8kgまで下げ,ショックは12段戻しで行きます。前後でエア圧が極端に違うのですが,いろいろやってこれが一番マシだったんです。何せラジアルタイヤで競技に出るのは今回初めてなので,全てが手探り。




おとーさんがデミ助の横にしゃがみ込んで空気圧を調整していると,向うからなかなかイケメンの好青年がやってきます。

「あのー,ボク,今回デミオで初めて走るんですが...色々教えてもらっていいですか?」

と,いかにも「今日,初めて競技走行します」という風情で声をかけて来られます。しかしおとーさん以外にもう1台エントリーしているデミオのドライバーは,昨年の東海シリーズN4クラスでぶっちぎりのチャンピオンを決めたトンデモなく速いランサー乗りの方のはず。競技走行が初めてなんてはずはない。「デミオで競技を走ること」が初めて,っていうことなのか?

いささか困惑しながらも,おとーさん,正直に上記の空気圧の数字やパーツの情報などをお教えします。だって,本当に初心者の方だったら大事に大事にしないといけない。初心者じゃなかったとしても,こうやってサイトに公表してるし,隠すような情報でもないし。

それにしても,初心者ではないとすると,デフォルトでこのように腰の低い謙虚な方なのか,それとも初心者っぽい雰囲気を醸し出しながらライバルの情報収集に来てるのか(失礼!)...でも気がついたらおとーさん,自分の情報はベラベラしゃべってるのに,イケメン君の情報はほとんど何も聞いてない...

ううーむ,やはり相手の方が1枚も2枚も上手のようです。
顔や年齢以外でもすでに3秒ぐらい負けてます。


・・・・・・


で,コースの方は,サイドを間違いなく引くターンが2ヶ所。引くかどうか迷うところが2ヶ所。
特にゴール直前の三角オニギリの部分は半径が微妙で,サイドを引くかどうか悩ましい。

デミ助はステアが大きくスパっと切れるので,サイドを引かなくっても意外と小回りがきく。むしろヘンにサイドを引き損なうと失速しちゃうし,非力なためいったん落ちた車速はなかなか回復しないので,迷うところはサイド引かないでグリグリ行こうという作戦にします。

今回,間違いなくサイドを引くターン2ヶ所はいずれも左180度。
チン××が右曲がりの人は左ターンが得意,と聞いたことがありますが(ホントかよ),おとーさんもその例に漏れず右よりも左サイドターンの方が得意。サイドはそれほど心配なさそうです。




ということで,いよいよ1本目の「練習走行」開始。

路面はヘビーウェット。
路面温度も16℃ぐらいに冷えてます。

常に「タイヤを縦に使う」ことを心がけ,コーナーは全てインベタで小さく回り,進入と立ち上がりをなるべく直線的にライン取りします。ABSは最初から発動するものと割り切って,それを見越したブレーキングでコーナーに入ります。

途中まではまあまあ狙った通りの走りができていたんですが,最終セクションに入る手前の左直角ターンの進入を欲張って2速のまま入り,最終セクション入口の右150度ターンでABSを思いっきり作動させてしまって痛恨の大アンダー。

ラインを大きく外し失速状態で最後のオニギリに入りますが,ここでも入口で思った以上にアンダーになり,リカバリーのつもりで当初の予定を変更しサイドを引いたら今度は4輪ドリフト(アンダー風味)発生。ステアを右に左に修正しながらのゴール。


タイムはイケメン君をギリでかわし,中部地区戦でも実績のあるベテラン・マーチさんに続く2番手のタイム。しかしこのマーチさんの走りはすごかった。派手さはないが,いぶし銀のような「踏むところはしっかり踏む,抑えるところは無理せずきっちり抑える」という職人技の走り。

それにしてもイケメン君,純正14インチ鉄っちんホイールにおとーさんよりも1サイズ細いタイヤを履かせた状態で(こちらも偵察に行った)おとーさんと全く変わらないタイムを出してくるあたり,絶対に競技初心者なんかではないことが判明(笑)。


やっと雨は上がり,路面から徐々に水膜が引いて行きます。
それでもまだ今は完全ウェットですが,本番トライアル中にはどんどんドライになって行きそう。

さあ,本番トライアル1本目に向けて,俄然面白い展開になってきました。



本当の闘い(その2)に続く>


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