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コドモの世界


先週末,ウチのクラブの主宰する練習会が舞洲でありました。


3月の本番までにちょっとでもSタイヤでの走りのカンをつかんでおきたいおとーさんにとっては,ノドからオイルが噴き出すほど参加したい練習会でしたが(ノドからオイルって...),以前の日記に書いた通り,毎月定期的に走りに行くことは嫁さんから禁じられているため,涙をのんで諦めました。


しかしいつまでも黙って涙をのんでいるおとーさんではありません。( ̄ー ̄)

もしウチの子供達,特に上の息子がもう少しクルマの競技に興味を持って,オヤジの趣味につきあってくれるなら,嫁さんも子守りの負担が減るため,隔月走りに行くところを毎月でもOKとなる可能性はないわけではない。


よーしこうなったら洗脳しかないですな(笑)。

しかも今回,ちょうど練習会の日に嫁さんが梅田へ出かけるという,耳寄りな情報が。

...よーし,嫁さんの送迎と子守りという名目でそのままガキ連れて舞洲行ってやろ。競技車の激しい走りをたっぷり見せて洗脳してやろ。


1-2週間前から下準備を。
舞洲行きの伏線を用意します。


まずは子供達に:

今度,海の近くの広〜い原っぱに行こうか〜

いくらでも自転車の練習できるよ〜

下が草地だからコケても痛くないよ〜

キャッチボールもできるよ〜

それとね〜,おとーさんの友達がカッコいいクルマに乗ってグルグル回ったりすんごいことするよ〜

おとーさんと同じクルマに乗ってる人もいるんだよ〜


...これでまずガキどもの気持ちを舞洲に向けておいてだな。


次に嫁さんに:

このあいだ舞洲行ったけど,広くていいところだったよ〜 (ただ,広いだけのところやけどな)

○○ちゃん(下の娘)の自転車の練習にちょうど良さそうだよ〜 (別にそこまで行かんでもどこでも練習できるけどな)

○○(息子)とキャッチボールもできそうだよ〜 (同上,やけどな)

オートキャンプ場もあるから,暖かくなったらキャンプにも行けるよ〜 (今は寒いだけやけどな)

梅田まで送迎してやるから,空いてる時間にちょっと子供達を遊ばせに行ってくるよ〜 (アンタはダシ!)


そして最後に追加で:

たまたま同じ日に練習会やってるから,ちょっと顔出してくるかも〜 (こっちが主目的やけどな!)

もちろん,自分が走るわけじゃないからインテじゃなくてアテンザ(ウチのファミリーカー)で行くよ〜 (アンタが警戒するしな!)


年末の「DC2で鈴鹿に行こう」作戦は見事に大失敗しましたが(泣),今回の「舞洲でガキ洗脳」作戦は成功。インテに乗って行くのではない,というところにさすがのMy嫁さんも油断したようです。とうとう,前の日にはガキどもに「明日はレース見に行くんだ〜」と言わせるまでに至りました。うーん,順調に洗脳が進んでいるな。( ̄ー ̄)


で,当日のお昼すぎ。


久々に会うお友達とのランチとお買い物の計画で頭がいっぱいの嫁さんは,おとーさんの恐るべき計略にも気づかず,ニコニコ顔で梅田へ。


そして今から自分たちが恐るべき洗脳計画の犠牲者になるとも知らないウチのガキどもは,アテンザの後部座席でオヤツをむさぼりながらニコニコ顔で。


そして全てが計画通りに進んで思うツボ!のおとーさんもニコニコ顔で。
...みんなニコニコ。家内安全。世界平和。人類みな兄弟。


そして舞洲到着。


あれ〜,誰も走ってないぞお,と思ったら...

...ちょうどタイムアタック(クローズド競技)の表彰式やってるところでした。

いきなり退屈しだすガキども。お,お前ら,ちゃんと表彰式見んかい!って,まあ,走ってるとこ見ないでいきなり表彰式じゃ,ガキどもには理解できませんな,確かに。U氏や35すぺっくさんに入賞のシールを見せてもらってる間にもガキども,そのへんをウロチョロと邪魔しやがります。


うるせーよ,お前ら!クルマに戻ってオヤツでも食ってろ!


おとーさんの周囲がやっと静かになります...しかしこれじゃ洗脳にならんし。家に帰ってMy嫁さんに「全然面白くなかった〜」とかチクられた日にゃ,計画まるつぶれだし。


少々焦ってどうしようかな,と思いましたが,しばらくすると午後の練習走行が始まりました。


さあ,見ろ。ガキども。
このアツイ走りを。
この見事な技を。


息子の方は,すぐに反応し始めました。


「おお〜!速え〜!」
「おお〜!すげ〜!」
「おお〜!回ってる〜!」


うむうむ。良い反応じゃ。( ̄ー ̄)。さすがに母親の腹の中にいる時,AV仕様のSWに乗っていただけのことはある*

※おとーさん,結婚後も長男の出産直前までガチガチの競技車に乗っていました。おかげで嫁さんは早産しかけましたが(汗)。



ウチの息子的には,インテ軍団よりも,にーななレビンさんとFD乗りの方達の走りがお気に召したようで。やはり派手にドリフトする車が好きなのか?(笑)


娘の方はさっぱりダメ。
クルマよりもオヤツの方が気になるようで f(^-^;)。


とゆーことで,今後の方針決定。

今後この息子を洗脳し,オヤジが走りに行く際の「ダシ」として立派に成長していただきたい,と。家に帰ってからも,息子の方は,嫁さんに「面白かった〜」と語っていたので,とりあえず洗脳の第一段階はクリア!ですな。


・・・・・・


まあ,それはそうと...

大体において,「息子」っつーのは親父の趣味に無理やりつき合わされるもんで。


因みにウチの実家の親父の趣味は山歩き。


ですからして,おとーさん,物心つくかつかないうちから強制的に山に連れて行かれて,高いところはイヤだっつーのに岩登りさせられたり,イノシシだの熊だのいるところで寝るのはイヤだっつーのに山奥でキャンプさせられたり,不味いメシなんか食いたくないっつーのに親父の作った得体の知れん晩飯食わされたり,はっきり言っていい迷惑でした(笑)。


おまけにウチの親父はすっげえ無口。

山道を歩いてる間,数時間一切しゃべらないなんてことも稀じゃなくて。ずーっと黙ったまま,文字通り黙々と歩く。


さらにこのクソ親父が結構な早足で。

幼稚園や小学生の子供が親父と同じ速度で歩けるわけないのに,知らん顔してスタスタ先に歩いて行ってしまう。自分達以外はだーれも歩いてない,とんでもない山の中ですよ。置いて行かれたら命に関わるから,こっちも必死でベソかきながらついて行きます。


親父と二人で1-2日間を山の中で過ごしシャバに下りてくると,本当にホッとしたもんです。この時点では,すっかり疲れ切っている上にアタマに来ていて,もう二度とこんなクソ親父と山へなんか行くもんかと思っているのですが,しばらくするとまたベソをかきそうになりながら親父の後ろをチョコマカ小走りについて行く自分がいるわけで...


最後にテント背負って親父と山に入ったのは高校に入った頃でしたか。

さすがにそれ以降は自分自身の世界が忙しくなり山には行かなくなりました。高校でも大学でも山岳部とかワンダーフォーゲル部とかには決して近寄らず,親父とは全く別の趣味を持つに至りました。反発もあったんでしょうねえ。


でも,山が嫌いになったわけではなくて。

海か山かと訊かれたら,絶対に「山」っていう人だし。

ほら...今日も峠道を仇のように攻めてるし(笑)。


誰も来ないような山奥の,夜の峠道を攻め疲れて,路肩に車を停め,ヘッドライトを切り,エンジンを切った途端に押し寄せてくるあの静寂と暗がりが好きなんですよね。もちろんカーステなんて野暮なモンはオフですよ。

「チチチチチチ...」っていうエンジンが冷えていく時のかすかな音以外は,虫の声や風の渡る音だけ。「静寂」が実体を持ってこちらに迫ってくるような圧迫感。ヘッドライトに照らされてたら「ただの山道」にしか見えなかった周囲の木立も,「闇」として圧倒的な存在感でこちらに迫ってくる。そして,ふと気がつくとすんごいキレイな星空だったり。何となく日常の延長としてやって来た「峠」が,急に,小さい頃クソ親父と過ごしたあの大ーきくて怖くって,でもちょっと懐かしい「山」に変わる瞬間。

「...っチクショー...」
意味もなくつぶやき,再度エンジンをかけ,わざと派手にホイールスピンさせながら走り出します。

意地になってサイドをガコガコ引きながら峠を駆け下りるおとーさんの横顔は,ベソをかいてるように見えるかもしれません。


・・・・・・


おとーさんから洗脳を受けることになったウチの息子はどうなるでしょうね。

自分もクルマ好きになるのか。
それとも反発してクルマには乗らなくなるのか。


いずれにせよ,自分もどこかで息子に「っチクショー」と言わせるような存在感を示してやりたいとは思いますね。それが父親としての大事な仕事なんじゃないか,とも思います。


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