home > diary menu > 2012年 > 4月12日

弱気の虫を退治せよ


このシーズンオフの間には,いろいろセッティングを変えてみたり,寒稽古でパイロンを走り込んでみたり,例年に比べると結構しっかり準備をしてたはずでしたが...蓋を開けてみれば開幕戦はむしろ近年になかったぐらいの惨敗。


特に,S1500主力車種の中でも最軽量の初代スイスポに,近畿地区戦N2クラス2年連続チャンプやまもっちゃんの組み合わせ。まあ当然速いだろうなとは思ってましたが,彼自身のクルマではない(Wエントリー)だけに少しぐらいはつけ入る隙があるかと思ったら,見てよ,鉄壁の速さ。どうしようもない。手も付けられない。

それどころかこれまで負けたことのなかったライバルドライバーにもどんどん抜かされ,デミオ勢の中でもトップを取れずじまい。クルマとコースの相性のせいにもできず,もう何も言い訳なんかできない。よーするに「自分が遅い」という事実。


この逃れようのない事実と向き合う1ヶ月。
まあかなり意気消沈,(´・ω・`) ショボーンの1ヶ月でした。

しかし季節は巡り,今はもう春爛漫。桜も満開。
気が着けばもう第2戦は今週末。


まあ一応リアブレーキのドラムを一新(例のトラブったやつね),久々にフルードも換えてエア抜きして,最低限の準備はしてるんですが...どうにも気持ちが持ち上がらない。勝ち目がない...いや勝ちとかいうより表彰台にすら上がれそうな気が全然しない。

あれからイヤになるほど開幕戦のロガーのデータをいじくり回し,ここをこうしてあそこをこうして...とタラレバを積み上げることで@2秒ほどはタイムを縮める方策をひねり出したけど,それでもやっと表彰台に届くかどうか。トップ2台はさらに1秒先を走ってるし,タラレバはあくまでタラレバ。しかも第2戦は元々苦手なEコース。

こうなってくると何処からかもうどんどん弱気の虫がわいて来て,こんなに何年もやっててマジで走ってあの結果って,もうこの先何年やったって変わらねえってことじゃねえ? トップ連中の「ああこいつもうマーク不要だな」って声が聞こえるわ,全日本で勝ったってったって地元のコースでしかも特設クラスだろ? そんなモン勝ちじゃねーよ,そもそも全日本なんて口にすべきドライバーじゃねえんだよ, ...などなど耳を覆いたくなるようなネガティブなことを囁きかけてきます。


弱気の虫は万病の元。とうとう熱まで出てきました。
いや,まあ,これは単なるカゼのようですが(笑)。

それでも弱り目に祟り目というか,弱気の虫が次々に悪い気を呼ぶのか,なかなか熱は下がらないしノドが腫れ上がって食べたり飲んだりすると痛いの何の(泣)。お仕事柄どうしても人としゃべらないといけないのですが超ガラガラ声で,しかも長時間ずっとマスクをしてると頭まで痛くなってくる。もう心身ともに弱りきって泣きそうな状態。これで週末走れるのかな...


そんな感じでこの水曜日,お仕事お休みの日,嫁さん子供達がそれぞれ出払った後,家でオッサン一人布団をかぶってメソメソ泣いてたら(泣くなよ),

ピンポーン...何か荷物が来ました。


仕方なくゴソゴソ起き出し,サリパパ状態の寝癖頭を直しもせず宅急便を受け取ります。

あれ? 別に何も通販パーツなんか買ってないけどな...と思いながら差出人を見ますと「トーヨータイヤ ジャパン」とな。


こ,これは...TOYOスカラーシップ参加者のためのステッカーやワッペンのセット一式。

そういえば先日,スカラーシップの申請が通った旨のメールをもらってたな。


包みを開けて中を見ると,新しいデザインのウィナーキャップと大小のステッカー6枚,それにこれも大小2種のレーシングスーツ用のワッペン。買ったら結構な値段しそう。大盤振る舞いじゃない? これ。大きい方のステッカーなんかはもう特大サイズで「これどこに貼りますのん?」というカンジですけど(笑)。


スカラーシップなんて条件さえ満たしていれば誰でももらえるじゃん,なんて言うなかれ。
ステッカーなんて原価なんぼやねん,全然コストかかってへんやん,とか言うなかれ。
勝ってポイントとれへんかったら何にもならへんやんか,とか言わないの。

ありがたい話じゃありませんか。

こんなしょーもないおっさんに,この世知辛いご時勢に,ちょっとでも企業がお金を出そうというのはすごいこと。

それにこのTOYOさんには特に,他の3大タイヤメーカーにはない企業理念を感じる。

R1Rなんていう一般人から見れば「誰が使うねんこんなタイヤ」っていうような尖がったスポーツラジアルをしつこく販売し続け(しかも低価格で),時代がSタイヤからラジアルに流れていく中で徐々にシェアを伸ばし,とうとう地方のジムカーナでは超定番タイヤになっちゃった。今では3大メーカーの方がR1Rに負けないタイヤを出そうと必死になることに。やっと時代がこの先鋭的なタイヤに追いついた,というべきでしょうか。

こういう骨のある会社さんはおとーさん大好きですよ。


今年はもう一つ,「speedHeart」さんのオイルのスカラシップも受けてます。こちらも小さい会社さんながら「良いモノ作って安く提供しよう!」という気概を感じます。実際ここのエンジンオイルは品質の高さを実感します。しかも商品のパッケージが実に簡素なところが気に入った!


ずっと以前,初めて別のスカラシップを受けた時には,今から思うと欲に目がくらんでプレッシャーばかり感じてしまい,結局自爆(クラッシュ)してしまいました。しかし今シーズンは勝ち目が全くないだけに,ポイントの還元なんてまあいいや,こんなおとーさんにわずかでも出費してくれるメーカーさんに対してちょっとでも貢献できたら,ちょっとでも宣伝になれば,とそういう気持ちが湧いてきます。


そう思って「TOYO TIRES」という巨大なステッカーを眺めていたら,ちょっと元気が出てきました。

弱気の虫なんかどっかやってしまえ!
ステアの切れ角がどうとかセコいこと言わず,好きなタイヤで思いっきり走れ!
3回勝てたら(勝てないけど)R1Rを2本くれてやるから,とりあえずマジメにしっかり走れ!

そう言われてる気がしてきました。


ジムカーナも,あくまでモータースポーツ。自分が勝つために走るという面もあるでしょう。

スカラーシップだって単純に,勝ってポイント集めてご褒美のタイヤやオイルをゲッツだぜ!でもいいでしょう。

しかし。

自分のお気に入りのタイヤやオイルやパーツを使って走る。そして感じたことをメーカーにフィードバックする。メーカーはその意見を少しずつ一般商品の開発や販売に投影する。こうしてモータースポーツはモータリゼーションの一部として機能します。これもモータースポーツの持つ大事な使命の一つだと思います。

そしてサポートやスカラーシップを受けているドライバーというのはまさにそういう意見を言いやすい立場にいますよね。

それを思うと,弱気の虫にいっぱいたかられて「勝てないよ...ぐずぐず」なんて言ってる場合じゃない。勝とうが勝てまいがとりあえず走る。そして感じたことをメーカーの人に伝える。オベンチャラだけじゃなくって正直に感じたことを話す。そうすることでオレもこの世界のモータリゼーションの一部,ごく一部だけど確かに一部を背負って走ってるんだ...と思わないか!? 思いませんか,あ,そりゃスンマセン(笑)。


話が大層になりましたが,とにかくステッカーを眺めてるうち,スカラーシップって単なる宣伝と報酬のギブアンドテイクだけでなく,大きなモータリゼーションの中で小さいけど大事な使命を持ってるんだなというところに思い至りました。

そんなことを考えてるうち弱気の虫が退散して,熱もノドの痛みもちょっと引いてきたような気がしてきたおとーさんなのでした。

がんばりますよ。TOYOさん。speedHeartさん。



前のDiaryへ前のDiary | PAGE TOPへPAGE TOP | 次のDiaryへ次のDiary