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2009年 > 7月27日
壁---トラウマ---を超えて〜2009年ミドル第5戦〜
本業の忙しさにかまけて先週末の公式参戦レポートをなかなか書けずにいたら,友人から「早う書け!」と怒られました(笑)。書きますよ,書きますってば。
さて名うてのデンジャラスコース,名阪スポーツランドEコースで先週末行われた近畿ジムカーナ・ミドルシリーズ第5戦ですが。
結果はどうだったかというと...10台中3位でした!
前回のdiaryに書いたように,こういうコース脇すぐにコンクリート壁が迫る場所で走ることにトラウマがあるおとーさん,怖い怖い怖い...特にインフィールド部分からコース外周に出るところや,外周を全開で走ってきて最終コーナーに突っ込むところなど,コンクリ壁に向かって走るところは一瞬身体がすくんだようになってアクセルを踏み込めない。
それでも一応3位に入って表彰台に上がったということは,コンクリ壁に対するトラウマを無事に乗り越えられたってことなんでしょうか...?
・・・・・・
最初は日曜日だけ雨の予報でしたが,日ごろの行いが良かったのか(笑),日曜日が近づくにつれてお天気予報は好転し,梅雨の末期の豪雨の中でEコースを走るという最悪のシチュエーションは回避されました。
っつーか,カンカン照りの真夏日で暑い暑い。話が違い過ぎよ。
慣熟歩行中...暑い...(汗)
慣熟歩行でコース上を歩いてるだけで,腕が日焼けでヒリヒリ,汗が滝のように流れ出ます。
しかも今回,コースが長い長い。1.5kmぐらいあるんじゃないかっていう感じ。
走り出しは1コーナーからインフィールド部分にかけてウロウロ,その後広場に出て右にパイロンを2本ぐる〜っと回り込み,3本目をぐるっと270度ターン。
コース真ん中を通ってスタート地点近くまで戻り,ホームストレートから半月島をひっかけて1コーナー手前から外周に立ち上がる。あとは最終コーナーまでずーっと外周をフルスロットル。
最終コーナーからホームストレートに立ち上がり,ゴール付近でバスストップ状にシケインを通り,三度スタート付近まで来て今度は左180度ターンをして,そしてゴール。
なかなか走り応えのある,楽しそうなコースです...ここがEコースでなければ(汗)。
おとーさん的にはやはり,1コーナー手前から外周に立ち上がるところとか,その後外周を走ってきて最終コーナーに突っ込むところとか,コンクリート壁に向かって走るところが怖い...どうしても怖い。そんなにビビらなくっても...っていうぐらいビビってます。
ここでこういう方向にコースアウトするとこんな風にクラッシュするだろな...とか,ここでこういう風にスピンアウトするとリアがこんな風にコンクリ壁にぶつかるだろな...とか,慣熟歩行中にもそういうことばっかり考えてしまいます。
「そんなこと考えなきゃいいのに」って,自分でも思うんですが...人間の心の中には不思議な働きがあって,わざわざトラウマを,心の傷を,自分でイジイジほじくり出してしまうんですね。ちょうど,乾きかけた傷のカサブタをぺりぺりっと剥がしてしまうのと同じで...
そんなことしたら傷がいつまでも治らない,いつまでも痛みもとれない,そう分かってるのに,わざわざ外傷を負った過程を心の中でまたなぞってしまう...精神分析学では「反復強迫」というそうですが,何のためにこんな心の働きがあるんでしょうか。
さて。
今回はゼッケン56番。出走順がいつもよりだいぶ後の方なので,比較的タイムスケジュールには余裕があります。
コース脇からNクラスの走りを観察。N1のヴィッツやN2のインテグラの走りをよーく見ながらコースの攻略を考える...つもりでしたが,自分が走るのが怖いだけでなく,人の走りを見てても怖い。見てれば見てるほど走るのが怖くなってくるので,適当なところで観戦を切り上げ,自分のクルマに戻ってコックピットに座り精神統一...というより恐怖感と戦います。
いよいよ出走順が回ってきて,いつものS1500クラスの面子がクルマを並べます。
出走待ちの車内。いつもは軽く上半身の準備体操をしながら,頭の中ではコースのイメトレなんかをしてるわけですが...頭に浮かんでくるのはコンクリ壁のことばっかり。 いくら何でもビビりすぎだろ。気がつくとかすかに両手が震えている...情けねえ(泣)。
しかしドライバーがどんな心理状態にあろうと,そんなことにはおかまいなしに出走順は回ってきます。スタートラインにつくと,いつも以上に心臓がどっきんどっきんしてて,できることならもう走るのを止めて逃げ出したいぐらい。
今回,スターターのお兄ちゃんは,3・2・1とカウントはせず,いきなりぱあっと旗を振る方式。自分で「よし!行け〜!」とか何とか,大声出して気合入れて走り出します。
↑1本目の走行 (ビデオ撮影:やまもっちゃん Special Thanks!です)
まず,1コーナーの手前のコーナーへの飛び込み。
ここは真っ直ぐ入って1速で立ち上がるか,ワイドに入って2速で走りきるか迷うところですが,デミオは1速が全く伸びないため,ここで1速に入れてしまうとかえって速度が頭打ちになってしまうかなと考え,2速でワイドに入り,怖いのをガマンしてアウトいっぱいに立ち上がります。
一瞬全開にしてすぐにインフィールドに折り返し,狭いところを抜けて1コーナーを逆走,すぐにまた手前のコーナーに入ります。ここの縁石が結構高いのに,思い切り踏んでしまって左フロントが完全に宙に浮き,トラクションが抜けてしまいました。
気を取り直してまた狭い部分に入り,外周に抜けます。ここも1速でレブに当てながらガマンして行くか,2速に上げてダラダラ行くか迷うところでしたが,手前でトラクションが抜けて速度が乗らず,2速だと3000rpmを切りそうな感じだったので,1速でレブに当てたまま走りきります。
外周を少し走って広場へ。ここで3本パイロンのテクニカルセクション。
1本目,2本目のパイロンはギリギリを狙って入り,後でビデオで見ても結構インについてます。3本目の270度ターンも,苦手の右ターンですが,うまくリアが出てくれてキレイに回りました。
さあコース中央をショートカットして,ここから後半のハイスピードセクション。
いったんホームストレートまで戻って半月島をひっかけ,さっきと同じ1コーナーの手前のコーナーを回って外周に立ち上がります。あ,ちょっと挙動が乱れてブレーキを3回踏んでしまいました。若干失速気味(汗)。
さあ,ここからがおとーさんにとって最も恐ろしい外周高速セクション。
1コーナー手前から外周に出る部分は,方向としてはコンクリ壁に向かってますが,視線は外周の先の方を見ているのであまり怖くないのが幸いでした。
しかし外周に出て2速→3速全開,あっという間に目の前に迫ってくる最終コーナーとその先のコンクリ壁...怖いよ〜!
不惑インテ号の最期は,ストレートエンドの右コーナーに入るため2速全開からフルブレーキングした際に,折からの豪雨でハイドロを起こし,真っ直ぐ滑走してコーナー左側のコンクリ壁に左フロントから突っ込んだ...ちょうどレイアウトがここEコースのこの部分と全く一緒。
...頭の中にちらっと不惑インテ号の最期の瞬間がよぎります。
...心の中にばっくり開いた傷口から,また新たに鮮血が噴き出します。
...コンクリ壁の向こうには,周囲の光景がネガになったような闇が待ち構えている。
怖い怖い怖い...怖いよーーーー!!((((;゚Д゚)))
しかしここでスロットルを抜いてヌルイ走りになってしまってはダメ。
ギリギリまでしっかり踏んで,がつーんとブレーキ一発で最終コーナーを回らないと...
ここで壁を超えないと,いつまで経っても名阪では走れない。
否,名阪だけじゃなく,どこのコースを走るためにも,この壁は絶対に超えないといけない。
コーナーの左側にそびえ立つこのコンクリ壁は,おとーさんの心の中の壁。
「怖いことあるかぁーーーーー!!」
おとーさん,ヘルメットの奥で,本当にそう叫びながら最終コーナーに突入(笑)。
コンクリ壁の方に吸い寄せられる視線を,必死でコーナーの脱出方向に向けます。
タイヤを鳴らし,若干アンダー気味になりながらも何とかコーナーをクリア。
その後,ホームストレートからシケインを通り,最後の左ターンはサイド不発ながらグリップで小さく回ってゴール!
ファンファーレが鳴って,この時点ではトップタイムを更新。
小さくガッツポーズをしてパドックに帰りますが...まだ手が震えてます(笑)。
そしてこの後,S1500クラス・ラストゼッケンのM君デミオがおとーさんのタイムを0.3秒上回ってきますが,脱輪のペナルティがついて5秒加算。ようするにおとーさんのタイムが1本目のベスト,おとーさんが現時点では暫定1位ということになります。
暫定1位。
あくまで「暫定」ですが,決して悪くない気分。
これまで優勝経験はありますが,2本目逆転で勝っているので,1本目が終わって暫定1位というのは,長い競技人生の中でも(そんなに長くないか)初めてだったりします。
ここで急に土砂降りの雨が降ってきて2本目以降はウェットになって...なんてことも一瞬は頭をよぎりますが,雨のEコースを走るのは怖過ぎるので,その案は却下です(笑)。
走り終わってだいぶ経ってから,ようやっと手の震えが止まってきます。
よっぽど怖かったのね。
でもやっと...やっと壁を超えた気がします。
まだコンクリ壁は怖いけど,もうそんなにビビらなくても走れる感じがします。
今回,久々に観戦に来られたhirobot師匠からいろいろアドバイスをいただいて,2本目に向けて気合が入ってきます。
よし。2本目はもっと踏んでいくぞ。もうコンクリ壁は怖くない。もっと踏んで行けるはず。
・・・・・・
ところが人生,そううまくは行かない。
確かにトラウマを乗り越えることはできたっぽい。
1本目で怖くて踏めなかったところもしっかり踏めるようになった。
でもその分,全体的に走りが粗くなってしまって,踏まなくてもいい縁石を踏んで車体を大きく浮かせてしまったり,突っ込みすぎてターンを失敗したり。結果的に1.3秒もタイムダウン。何やってんだか... f(^-^;)
↑決定的瞬間 (ビデオ撮影:やまもっちゃん Special Thanks!です)
最終的に1本目のタイムでもって何とか3位に踏み留まり,表彰台とスーパーラップ出場権は確保しましたが,本当に危ないところでした。ちょっとビビリ入ってるぐらいの方が,結果的には抑えるところをしっかり抑えることができてタイムが出るんでしょうか。
2本目でがんがん踏んで行って大丈夫だったので,コンクリ壁に対する恐怖心はさらに軽減してきました。もう大丈夫。壁は怖くない。
しかし,調子に乗ってまた荒っぽい走りになってしまうとタイムは出ないので,3本目のスーパーラップは若干押さえ気味に,丁寧に走ることにします。もちろん踏めるところはしっかり踏んでいくつもりで。
↑3本目のヌルい走り (ビデオ撮影:曲調さん Special Thanks!です)
しかしやはり「抑えよう」なんて思っててタイムが出るわけないですね。
2本目よりさらにタイムダウン,1本目から1.5秒も遅くなってしまっては順位が上がるわけもなく。結局そのまま3位で終了。
しかしまあ,状況を考えれば,まずまず満足の結果です。
前回に引き続き3位表彰台
・・・・・・
トラウマの治療というのは基本的に,心の中で勝手に反復する恐怖に対して「もう大丈夫なんだよ」と繰り返し言い聞かせていくことだそうです。わざと心的外傷を負った場面を擬似的に再現して(もちろん保護的な状況下で),「ほら大丈夫!」ってやることもあるそうです。
そういう意味ではおとーさんの今回の1本目は,ドライ路面というまずまず安全な状況下で,外側すぐにコンクリ壁のある右コーナーに速度の乗った状態からフルブレーキングして突っ込むという,外傷場面をそっくりなぞる経験をしたことになる。そして,無事にコーナーをクリアして,かつ,たまたま暫定1位になるという結果が,「治療」として作用したのかもしれませんね。
ジムカーナの女神様のされることは気まぐれです。
与え,そして奪い,傷つけ,そしてまた癒す。
しかし,女神様に魅せられてしまった以上,そこから逃げることはできません。おとーさんはこれからも女神様に翻弄され続けるのでしょう。
女神様,あなたの僕に,ぜひまた良い夢を見させてやって下さい。
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壁---トラウマ---を超えて〜2009年ミドル第5戦〜
本業の忙しさにかまけて先週末の公式参戦レポートをなかなか書けずにいたら,友人から「早う書け!」と怒られました(笑)。書きますよ,書きますってば。
さて名うてのデンジャラスコース,名阪スポーツランドEコースで先週末行われた近畿ジムカーナ・ミドルシリーズ第5戦ですが。
結果はどうだったかというと...10台中3位でした!
前回のdiaryに書いたように,こういうコース脇すぐにコンクリート壁が迫る場所で走ることにトラウマがあるおとーさん,怖い怖い怖い...特にインフィールド部分からコース外周に出るところや,外周を全開で走ってきて最終コーナーに突っ込むところなど,コンクリ壁に向かって走るところは一瞬身体がすくんだようになってアクセルを踏み込めない。
それでも一応3位に入って表彰台に上がったということは,コンクリ壁に対するトラウマを無事に乗り越えられたってことなんでしょうか...?
・・・・・・
最初は日曜日だけ雨の予報でしたが,日ごろの行いが良かったのか(笑),日曜日が近づくにつれてお天気予報は好転し,梅雨の末期の豪雨の中でEコースを走るという最悪のシチュエーションは回避されました。
っつーか,カンカン照りの真夏日で暑い暑い。話が違い過ぎよ。
慣熟歩行中...暑い...(汗)
慣熟歩行でコース上を歩いてるだけで,腕が日焼けでヒリヒリ,汗が滝のように流れ出ます。
しかも今回,コースが長い長い。1.5kmぐらいあるんじゃないかっていう感じ。
走り出しは1コーナーからインフィールド部分にかけてウロウロ,その後広場に出て右にパイロンを2本ぐる〜っと回り込み,3本目をぐるっと270度ターン。
コース真ん中を通ってスタート地点近くまで戻り,ホームストレートから半月島をひっかけて1コーナー手前から外周に立ち上がる。あとは最終コーナーまでずーっと外周をフルスロットル。
最終コーナーからホームストレートに立ち上がり,ゴール付近でバスストップ状にシケインを通り,三度スタート付近まで来て今度は左180度ターンをして,そしてゴール。
なかなか走り応えのある,楽しそうなコースです...ここがEコースでなければ(汗)。
おとーさん的にはやはり,1コーナー手前から外周に立ち上がるところとか,その後外周を走ってきて最終コーナーに突っ込むところとか,コンクリート壁に向かって走るところが怖い...どうしても怖い。そんなにビビらなくっても...っていうぐらいビビってます。
ここでこういう方向にコースアウトするとこんな風にクラッシュするだろな...とか,ここでこういう風にスピンアウトするとリアがこんな風にコンクリ壁にぶつかるだろな...とか,慣熟歩行中にもそういうことばっかり考えてしまいます。
「そんなこと考えなきゃいいのに」って,自分でも思うんですが...人間の心の中には不思議な働きがあって,わざわざトラウマを,心の傷を,自分でイジイジほじくり出してしまうんですね。ちょうど,乾きかけた傷のカサブタをぺりぺりっと剥がしてしまうのと同じで...
そんなことしたら傷がいつまでも治らない,いつまでも痛みもとれない,そう分かってるのに,わざわざ外傷を負った過程を心の中でまたなぞってしまう...精神分析学では「反復強迫」というそうですが,何のためにこんな心の働きがあるんでしょうか。
さて。
今回はゼッケン56番。出走順がいつもよりだいぶ後の方なので,比較的タイムスケジュールには余裕があります。
コース脇からNクラスの走りを観察。N1のヴィッツやN2のインテグラの走りをよーく見ながらコースの攻略を考える...つもりでしたが,自分が走るのが怖いだけでなく,人の走りを見てても怖い。見てれば見てるほど走るのが怖くなってくるので,適当なところで観戦を切り上げ,自分のクルマに戻ってコックピットに座り精神統一...というより恐怖感と戦います。
いよいよ出走順が回ってきて,いつものS1500クラスの面子がクルマを並べます。
出走待ちの車内。いつもは軽く上半身の準備体操をしながら,頭の中ではコースのイメトレなんかをしてるわけですが...頭に浮かんでくるのはコンクリ壁のことばっかり。 いくら何でもビビりすぎだろ。気がつくとかすかに両手が震えている...情けねえ(泣)。
しかしドライバーがどんな心理状態にあろうと,そんなことにはおかまいなしに出走順は回ってきます。スタートラインにつくと,いつも以上に心臓がどっきんどっきんしてて,できることならもう走るのを止めて逃げ出したいぐらい。
今回,スターターのお兄ちゃんは,3・2・1とカウントはせず,いきなりぱあっと旗を振る方式。自分で「よし!行け〜!」とか何とか,大声出して気合入れて走り出します。
↑1本目の走行 (ビデオ撮影:やまもっちゃん Special Thanks!です)
まず,1コーナーの手前のコーナーへの飛び込み。
ここは真っ直ぐ入って1速で立ち上がるか,ワイドに入って2速で走りきるか迷うところですが,デミオは1速が全く伸びないため,ここで1速に入れてしまうとかえって速度が頭打ちになってしまうかなと考え,2速でワイドに入り,怖いのをガマンしてアウトいっぱいに立ち上がります。
一瞬全開にしてすぐにインフィールドに折り返し,狭いところを抜けて1コーナーを逆走,すぐにまた手前のコーナーに入ります。ここの縁石が結構高いのに,思い切り踏んでしまって左フロントが完全に宙に浮き,トラクションが抜けてしまいました。
気を取り直してまた狭い部分に入り,外周に抜けます。ここも1速でレブに当てながらガマンして行くか,2速に上げてダラダラ行くか迷うところでしたが,手前でトラクションが抜けて速度が乗らず,2速だと3000rpmを切りそうな感じだったので,1速でレブに当てたまま走りきります。
外周を少し走って広場へ。ここで3本パイロンのテクニカルセクション。
1本目,2本目のパイロンはギリギリを狙って入り,後でビデオで見ても結構インについてます。3本目の270度ターンも,苦手の右ターンですが,うまくリアが出てくれてキレイに回りました。
さあコース中央をショートカットして,ここから後半のハイスピードセクション。
いったんホームストレートまで戻って半月島をひっかけ,さっきと同じ1コーナーの手前のコーナーを回って外周に立ち上がります。あ,ちょっと挙動が乱れてブレーキを3回踏んでしまいました。若干失速気味(汗)。
さあ,ここからがおとーさんにとって最も恐ろしい外周高速セクション。
1コーナー手前から外周に出る部分は,方向としてはコンクリ壁に向かってますが,視線は外周の先の方を見ているのであまり怖くないのが幸いでした。
しかし外周に出て2速→3速全開,あっという間に目の前に迫ってくる最終コーナーとその先のコンクリ壁...怖いよ〜!
不惑インテ号の最期は,ストレートエンドの右コーナーに入るため2速全開からフルブレーキングした際に,折からの豪雨でハイドロを起こし,真っ直ぐ滑走してコーナー左側のコンクリ壁に左フロントから突っ込んだ...ちょうどレイアウトがここEコースのこの部分と全く一緒。
...頭の中にちらっと不惑インテ号の最期の瞬間がよぎります。
...心の中にばっくり開いた傷口から,また新たに鮮血が噴き出します。
...コンクリ壁の向こうには,周囲の光景がネガになったような闇が待ち構えている。
怖い怖い怖い...怖いよーーーー!!((((;゚Д゚)))
しかしここでスロットルを抜いてヌルイ走りになってしまってはダメ。
ギリギリまでしっかり踏んで,がつーんとブレーキ一発で最終コーナーを回らないと...
ここで壁を超えないと,いつまで経っても名阪では走れない。
否,名阪だけじゃなく,どこのコースを走るためにも,この壁は絶対に超えないといけない。
コーナーの左側にそびえ立つこのコンクリ壁は,おとーさんの心の中の壁。
「怖いことあるかぁーーーーー!!」
おとーさん,ヘルメットの奥で,本当にそう叫びながら最終コーナーに突入(笑)。
コンクリ壁の方に吸い寄せられる視線を,必死でコーナーの脱出方向に向けます。
タイヤを鳴らし,若干アンダー気味になりながらも何とかコーナーをクリア。
その後,ホームストレートからシケインを通り,最後の左ターンはサイド不発ながらグリップで小さく回ってゴール!
ファンファーレが鳴って,この時点ではトップタイムを更新。
小さくガッツポーズをしてパドックに帰りますが...まだ手が震えてます(笑)。
そしてこの後,S1500クラス・ラストゼッケンのM君デミオがおとーさんのタイムを0.3秒上回ってきますが,脱輪のペナルティがついて5秒加算。ようするにおとーさんのタイムが1本目のベスト,おとーさんが現時点では暫定1位ということになります。
暫定1位。
あくまで「暫定」ですが,決して悪くない気分。
これまで優勝経験はありますが,2本目逆転で勝っているので,1本目が終わって暫定1位というのは,長い競技人生の中でも(そんなに長くないか)初めてだったりします。
ここで急に土砂降りの雨が降ってきて2本目以降はウェットになって...なんてことも一瞬は頭をよぎりますが,雨のEコースを走るのは怖過ぎるので,その案は却下です(笑)。
走り終わってだいぶ経ってから,ようやっと手の震えが止まってきます。
よっぽど怖かったのね。
でもやっと...やっと壁を超えた気がします。
まだコンクリ壁は怖いけど,もうそんなにビビらなくても走れる感じがします。
今回,久々に観戦に来られたhirobot師匠からいろいろアドバイスをいただいて,2本目に向けて気合が入ってきます。
よし。2本目はもっと踏んでいくぞ。もうコンクリ壁は怖くない。もっと踏んで行けるはず。
・・・・・・
ところが人生,そううまくは行かない。
確かにトラウマを乗り越えることはできたっぽい。
1本目で怖くて踏めなかったところもしっかり踏めるようになった。
でもその分,全体的に走りが粗くなってしまって,踏まなくてもいい縁石を踏んで車体を大きく浮かせてしまったり,突っ込みすぎてターンを失敗したり。結果的に1.3秒もタイムダウン。何やってんだか... f(^-^;)
↑決定的瞬間 (ビデオ撮影:やまもっちゃん Special Thanks!です)
最終的に1本目のタイムでもって何とか3位に踏み留まり,表彰台とスーパーラップ出場権は確保しましたが,本当に危ないところでした。ちょっとビビリ入ってるぐらいの方が,結果的には抑えるところをしっかり抑えることができてタイムが出るんでしょうか。
2本目でがんがん踏んで行って大丈夫だったので,コンクリ壁に対する恐怖心はさらに軽減してきました。もう大丈夫。壁は怖くない。
しかし,調子に乗ってまた荒っぽい走りになってしまうとタイムは出ないので,3本目のスーパーラップは若干押さえ気味に,丁寧に走ることにします。もちろん踏めるところはしっかり踏んでいくつもりで。
↑3本目のヌルい走り (ビデオ撮影:曲調さん Special Thanks!です)
しかしやはり「抑えよう」なんて思っててタイムが出るわけないですね。
2本目よりさらにタイムダウン,1本目から1.5秒も遅くなってしまっては順位が上がるわけもなく。結局そのまま3位で終了。
しかしまあ,状況を考えれば,まずまず満足の結果です。
前回に引き続き3位表彰台
・・・・・・
トラウマの治療というのは基本的に,心の中で勝手に反復する恐怖に対して「もう大丈夫なんだよ」と繰り返し言い聞かせていくことだそうです。わざと心的外傷を負った場面を擬似的に再現して(もちろん保護的な状況下で),「ほら大丈夫!」ってやることもあるそうです。
そういう意味ではおとーさんの今回の1本目は,ドライ路面というまずまず安全な状況下で,外側すぐにコンクリ壁のある右コーナーに速度の乗った状態からフルブレーキングして突っ込むという,外傷場面をそっくりなぞる経験をしたことになる。そして,無事にコーナーをクリアして,かつ,たまたま暫定1位になるという結果が,「治療」として作用したのかもしれませんね。
ジムカーナの女神様のされることは気まぐれです。
与え,そして奪い,傷つけ,そしてまた癒す。
しかし,女神様に魅せられてしまった以上,そこから逃げることはできません。おとーさんはこれからも女神様に翻弄され続けるのでしょう。
女神様,あなたの僕に,ぜひまた良い夢を見させてやって下さい。
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