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おとーさんの愛したクルマ達 その2 ネオン エクスプレッソ


今を去ること5年前,おとーさんは研究者として北の国...実は,カナダに留学しとりました。
その時に乗ってたクルマがこの"Neon Expresso"(ネオン エクスプレッソ)です。


↑カナダ,プリンスエドワード島にて。助手席に乗ってるのは...

"Neon"(ナオンじゃねーぞ)はもともと,クライスラー社が安くて質のいい日本車に対抗すべく必死になって作り出した低価格が売りのコンパクトカーで,「日本車キラー」として一世を風靡,一時期日本にも輸入されていたため,ひょっとすると見たことがある方もおられるかもしれません(まあ「乗ったことがある」という人はかなり珍しいと思いますが)。結局日本ではほとんど売れなかったようですが,北米では現在でも極めて一般的なクルマで,日本で言うとカローラやシビックのような存在でしょうか。


前から見ると,丸い目玉のようなヘッドライトが可愛らしく,女性向きの低価格外車としてもっと流行っても良かったんじゃないかと思いますが,日本で売れなかったのは,外車とは思えないあまりに質感の低い内装や,クルマそのもののスペックの低さが災いしたんでしょうかね。


このネオンにはいくつかのモデルがあり,おとーさんが乗ってたのは,96年型(96スペックやぁ)の"Expresso"というモデルでした。

こいつはクライスラー系列の中でもスポーツ系のイメージのある"Plymouth"(プリマス)というディーラーから販売された「ネオン・スポーツバージョン」みたいなモデルで,専用のスポーツサスと,シートがちょっとだけバケットちっくになっていることと,可愛いリアスポイラーがついていることなどが特徴。日本でいうとTRDバージョンとかオーテックバージョンとかそういうカンジかな。


エンジンその他のスペックは他のネオンと同じで,だいたい以下のようなモノ。


Engine:
直4 SOHC NA 1500cc
132ps/6000rpm 17.2kgm/5000rpm
3速AT

Body:
車重 1080kg 4ドア 5名乗車
前後ストラット 前ディスク・後ドラムブレーキ
タイヤ 175/65-14


まあお世辞にも大したスペックではありません...f(^-^;)
しかし,比較的車重が軽いのとエンジンの特性が素直なのとで,意外や意外,結構よく走ってくれたんです,このクルマ。


カナダは...というか北米は完全なクルマ社会で,誰がどこへ行くのも基本的にアシはクルマ。高校生からクルマに乗れますし,ヨボヨボの爺さん婆さんも毎日クルマに乗ります。日本ほど鉄道が発達してない分,高速道路網は極めて充実しており,しかもごく一部のハイウェイを除いて完全タダ。ハイウェイ=フリーウェイです。


日本ではどちらかというと鉄道に沿って街が広がって行くイメージがありますが,北米では幹線道路に沿って街が出来ていく感じです。大きな国道は高速道路化が進んでいて,ちょっとした街のあるところには必ず高速道路が通ってるし,たいてい家を出てちょっと走れば高速に乗ることができます。非常に便利。


そして,高速に乗るとみんな結構飛ばすんだ,これが。
平均車速は120km/hってとこですかね...日本の高速じゃ,制限100km/hでも90-100km/hぐらいでチンタラ走ってる連中が多いですが,そういうクルマは少ないです。爺ちゃんも婆ちゃんも,小型車も超デカい化け物じみたトラックもみんなガンガン飛ばしてます。車間距離も近いでぇ...阪神高速並みの車間距離でみな120km/h...慣れないうちはおとーさんでも怖かったっす。


道幅がやたらと広く,路側帯も非常に広く作られているので,自然とスピード上がっちゃうんでしょうね。北海道のクルマのスピードが速いのと同じ理由で。


おとーさんが住んでる街からトロントまでは120kmほどの距離があったんですが,これをいつもだいたい1時間で行き来してました。っつーことは平均120km/h以上で走ってたわけね...でもそれがごく普通の運転だったし。


このネオンは,こういう生活環境の中でも全く問題なく元気に走り回ってくれました。
おとーさん一家がカナダにいた1年9ヶ月ほどの間に4万kmほど走りましたから,年間で2万km以上走ってます。かなりの走行距離です(笑)。


子供の日本語学校のために毎週トロントまで行ってましたし,夏は超・遠方までドライブ旅行に行きましたし,高速道路だけではなく,ちょっとイナカの方に行けば,↓こんな道もありますし,


↑WRCに出てきそうなキレイな幅広グラベル

冬場になると近所の道路も全て↓こうなりますから


↑積雪量は大したことないんですが,とにかく気温が低いのでガチガチです

まあ,元・走り屋にとっては結構楽しい生活。走行距離も伸びるってモンです。


もちろん,トラブルがなかったわけではありません。
買って間もなくの頃からATフルードがポタポタ漏れて,しょちゅうフルードを継ぎ足しながら走ってましたし,よくパンクするし,ドアのヒンジはガタガタ鳴ってるし...まあいかに日本車が優秀か,よーく分かりました。
でもクルマがシンプルな分,案外ややこしいトラブルや大きなトラブルはなく,CAA(カナダのJAF)を呼んだのはバッテリー上がった時,1回だけでしたね(当然ながら寒いのでよくバッテリーは上がります)。メンテはこまめにやってましたし。


日本に帰る直前,中古車ディーラーに売却が決まり,お別れする時は悲しかったなぁ。どこへ行く時もこのクルマと一緒やったし,カナダでの生活のいろいろな想い出がグッと胸に込み上げてきて,またしても泣きそうになりました。


カナダではクルマのナンバープレートというのはクルマに対して発行されるのではなく,所有者個人に発行されるものなので,クルマを売却して残ったナンバープレートは,ライセンスセンターに返却すれば50-60ドル(カナダドルなので日本円で4-5000円ぐらい)ほど返金されるんですが...返すのがどーしてもイヤで...


中古屋のオヤジさんがナンバープレートの返却の仕方を教えてくれるので,「ライセンスセンターなんか持って行かへん,日本に持って帰る」って涙目で言ったら,オヤジさん,「そうか,持って帰るんか,珍しいやっちゃな。そやけど気持ちは分かるで...」と汚れたプレートをすごい丁寧に拭いてキレイにして渡してくれました。どこの国でもクルマ屋のオッチャンはみないい人です。言葉は違っても,クルマが好きな気持ちは万国共通。


そしてこのナンバープレートは,太平洋を渡り,地球の裏側にあるおとーさんの部屋の壁にかかってます。もうグラベルの高速コーナーやガチガチに凍結した街並みを走ることはないでしょうが,カナダでのたくさんの想い出とともにのんびり余生を送っているわけ。


そしてこのナンバープレートを見上げるたび,おとーさんの想いは海を越えて,広大な大地を,遥かな道,遠い道を駆け巡るわけです。


...そしてまた,こうやっておとーさんの部屋にはガラクタが増え,嫁さんの「いい加減に片付けてよ!」という鉄拳が炸裂するわけですが ヽ(´ー`)ノ



PS:
おとーさんの別サイトにあるドライブ旅行の紀行文です。このクルマで1週間に4000kmを走破しました。
お暇でしたらどーぞ...「カナダ東部縦断旅行記



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